■■■■■■オープニングフェイズ■■■■■■

■■■■■■シーン:1壊された日常■■■■■■

【GM】 OPフェイズ シーン:1壊された日常 シーンプレイヤー:深月 憲一

【憲一】 はい。

【GM】 キミは放課後の教室にいる。

【GM】 窓から差し込む夕日で、教室はオレンジ色に照らされている。

【憲一】 では、いつも通り、本を読んでいます。

【GM】 初夏の匂いを含んだ風が、カーテンを揺らす―――風に乗って校庭で練習に励む生徒達の声が聞こえる。

【GM】 本を読むキミの後ろから、少女の声がする。

【GM/???】「けーんいちっ。何読んでるの?」

【憲一】「みんな、頑張ってるみたいだなぁ……。夏の大会も近いし。って、何!?」ちょっと驚いて、後ろを振り向きます。

【GM】 幼馴染の、谷村 京子。家は隣通しで、保育園の頃からの腐れ縁だ。

【GM】 背は、ほんの少しだけキミより高い――と本人は主張しているが、彼女が隣町まで靴底の高い靴を買いに行った事をキミは知っている。

【憲一】「なんだ、京子ちゃんか……。びっくりした。急に声掛けないでよ、びっくりするから……」そう言って、溜息を一つつく。

【憲一】 勿論、僕はそんな事をとやかく言う気は無いよ。<上げ底の靴

【GM】 京子「なによー、一緒に帰ろうって朝に言っといたじゃない」口を尖らせて、京子は反論する。

【憲一】「あ……ごめんね、京子ちゃん。ちょっと、本に読み耽っちゃってたんだ。」そう言って、手にしていた本を示す。その本の表紙の題名は、『星の神話』。尚、いつも違うジャンルの本を読んでいます。

【GM】 京子「ん、許す。なになに、星の神話………?」本と顔が10センチを切るぐらい身を乗り出して。

【GM】 憲一の目の前に京子の髪がさらりと揺れ、少女のバニラにも似た甘い匂いが鼻孔をくすぐる。

【憲一】「京子ちゃんも読んでみる?」本に興味を示した幼馴染に対し、微笑を浮べながら。

【憲一】「(あ、いい匂い……。シャンプー、変えたのかな……)」少女特有の甘ったるい匂いに、顔をちょっと赤らめつつ。

【GM】 京子「えー、あたしはパス! こんな字がいっぱいの本なんて、眠くなっちゃうよー」両手をブンブンと顔の前で振って。

【GM】 京子「だから、憲一が読んであたしに教えてよ! ね?」そう言うと、京子は憲一の手を引いて帰り道へと誘う。

【憲一】「そうかなあ……。面白いんだけどな、この本……(ちょっと残念そうに)え、わ、うん。ちょっと待ってね。」そう言って、本をかばんに仕舞い、帰り支度をします。勿論、片手を引かれたままで、やり辛そうに。でも、そんな事は億尾にも出さず。

【GM】 そして二人が廊下を談笑しながら歩き、穏やかな時間が流れ。

【憲一】 それは、今までも、そしてこれからも、僕は変わらないと思っていた。いや、信じていた。

【GM】 校舎を出かける寸前にすれ違った先生に、京子がピョコンとお辞儀をしたその瞬間。

【GM】 ―――グシャァッ!!

【憲一】「え、わ、何だ!?」突然の事に驚き、立ち尽くす。

【GM】 激しい横揺れの次に憲一に認知出来たのは、ぽっかりと空いたオレンジの空。

【憲一】「え……空が、見える?」呆然として、空を見上げる。

【GM】 校舎があったはずの頭上から見下ろす、巨大な奇怪な生物の醜い顔。

【GM】 ―――キシャァァァァァァッ!!!

【GM】 金属を素早く擦り合わせるような、嫌な咆哮がその口から吐き出される。

【憲一】「え、あ、うわぁぁぁぁっ!きょ、京子ちゃん!」そう言って、ついさっきまで隣に居た京子の名を呼ぶ。

【GM】 そして、憲一がつないだ手の先を見た時―――

【GM】 京子の左手が、肘から先が消えていた。

【GM】 その先には崩れた校舎の瓦礫と、その下には真っ赤な水溜り………

【GM】 水溜りは今も広がり、憲一の白い学校指定の靴が汚れていく。

【憲一】「きょ、京子、ちゃん……う、うわぁぁぁっ!」京子の千切れた左腕を胸に抱きしめ、その場で腰を抜かす。血溜まりと腕から流れる血で、見る見る内に染まっていく制服。だが……恐怖で一歩も動けない。それでも……京子の左腕は、決して離さない。

【GM】 ――――ィキュルルルルルルルルル………

【GM】 頭上で、奇怪な生物が喉を鳴らす。

【GM】 どこか人間にも似た、その瞳が憲一を捉える。

【憲一】 奇怪な生物から、目を離せない――。離したら、多分、死ぬ。人間の中に残っている、動物的な本能が、それを僕に告げている。でも……恐いものは、恐いよ……京子ちゃん……

【憲一】 そのまま、その場に動けないまま。

【GM】 シナリオダーザイン【自己からの無力感】

【GM】 ここでシーン終了です。

【憲一】 はい。

 

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