JSS.5−3
『断罪の聖女』

PC1用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【鳴神志穂からの懐旧】
クラス/ギアドライバー
(サンプルキャラクター:ギアドライバー/フェンサー)
ナビゲーター/草薙伊音
※性別は男性限定

幼い頃の約束。
キミが引っ越す前日、キミは志穂と一緒にタイムカプセルを埋めた。
「今度会った時に、一緒にタイムカプセルを開けようね」
だが、その数日後、故郷の町は消滅した。
何故、今頃になって、その夢を見るのだろう。
そして………目の前に現れる、成長した志穂。
「会いたかったよぅ………」
しかも、彼女は新型の単座式ギアのギアドライバーとして、キミの前に現れる。
この再会は、何を生み出すのか。

※ PC1が住んでいた町の名前を、PC1と相談の上で決めること。
特に指定が無い場合は、菅原市とする。また、志穂の昔の名前は、桑原志穂とする。

 

PC2用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【司鏡紀央からの不安】
クラス/ギアドライバー
ナビゲーター/司鏡紀央

菱井重工から、新型の単座式ギアと共に瑞穂基地にやって来た、技師の鳴神亨。
格納庫で彼は、シュネルギアを憎々しげに見つめていた。
それを目撃する、キミと紀央。
紀央はキミにこう告げる
「………嫌な予感が、いたします」
何事も起きなければいいが。
そう、何事も。

 

PC3用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【羽村総司からのお仲間意識】
クラス/指揮官 or 管制官 or 情報将校
ナビゲーター/なし

羽村総司は、瑞穂基地の軍医でありながらヤシマ陸軍の情報部員である食わせ者だ。
向こうがキミを利用しようとしているのは知っているが、キミも羽村を利用しているから、お互い様というヤツだ。
「俺、こいつの顔どっかで見た気がすんだよねぇ〜」
その日、彼が持ち出したのは………菱井重工から出向して来た、鳴神亨の話だった。

 

PC4用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【ヴィヴリオからの信頼】
クラス/完全機械化兵
ナビゲーター/なし

キミは、戦争の為だけに作られた人造生命、完全機械化兵である。
現在、ヴィヴリオ直属の部下として、ギアドライバー達の護衛(お守りともいう)を命じられている。
そして今回、新たにギアドライバーとして配属された、鳴神志穂、そして鳴神亨の監視を命じられる。
「あの2人の行動に注意しろ………。場合によっては………分かっているな?」
ヴィヴリオは手で銃の形を真似る。
正直、気の乗らない任務だが………。

 

今回予告
幼い日の約束
それは苦い思い出と共に
長い時を経て、再び巡り合う
だが、その手は互いに血塗られて
誰かがキミに問いかける
『一番罪深いのは、誰?』と

エンゼルギア 天使大戦TRPG
『断罪の聖女』
―Time Capsule―

右手に裁きの剣を、左手にキミとの思い出を。

 

シナリオNPC

鳴神 志穂(なるかみ しほ)
14才、女 ヤシマ人
今回のシナリオヒロイン。8年前のPC1の幼馴染み。黒い天使核保有者。
大好きなPC1を失い、悲しみにくれていた時に、天使核(本人はムーンストーンだと思っている)を拾ったことで天使化し、町を廃墟にしてしまう。
爆心地で気を失っていたところを、現合衆国情報将校、鳴神亨に拾われ、共に合衆国へ亡命。
天使核兵器の実験体として育てられる(合衆国で育ったという記憶は、亨によって書き換えられている)。
性格は、明るく気さく。誰とでも打ち解けられる反面、寂しがりや。瑞穂基地でも積極的に友達を作ろうとする。

 

鳴神 亨(なるかみ とおる)
30才、男 ヤシマ人
合衆国情報将校。ヒロインの保護者(所有者)。
元はヤシマ陸軍の情報部に在籍、壊滅事件(志穂の起こしたマスケンヴァル現象のせい)の際に、気を失っていたヒロインを保護。
彼女の力が解明すると、志穂を連れて合衆国へ亡命。
現在は菱井重工(ステイツの息が掛かっている)に所属している。
人を見下したような態度と、高慢な口調の男。神に仇なす統一帝国=ヤシマに神の鉄槌を下すため、志穂を洗脳し、教育してきた。
志穂のことは、道具としてしか見ていない。
(名前の由来は真・女神転生Tの鬼神トールより)

 

オープニングフェイズ
●シーン1/幼い日の約束
シーンプレイヤーはPC1

◆解説
志穂の事を思い出すシーン。
大きな木の下にタイムカプセルを埋める。

◆台詞と描写
キミは、夢を見ていた。

それは、8年前。
キミがかつて住んでいた街。
キミは、両親の仕事の関係で引っ越す事になった。

キミの家の隣に住んでいた、志穂の言う名の少女。
志穂は、涙を堪えて、キミを裏山の大きな木の下に呼ぶ。
それは、キミが引っ越す前日のこと。

志穂は木の下に、きらりと光る小さな石を見つける。
志穂「あ、綺麗な石………今日のことをずっと忘れない為に、この石を、PC1くんだと思って、大事にするね………」

キミは、志穂と一緒に、木の下にタイムカプセルを埋めた。
志穂「次に会えた時に、一緒にタイムカプセルを開けようね」
志穂「………約束、だよ?………指切りげんまん、嘘ついたら………」
涙を浮かべながら、精一杯の笑顔を作り、キミを見送る。

PC1に台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
だが、その数日後、故郷の町は原因不明の大爆発で、消滅した。
今思えば、それはマスケンヴァル現象だったのかもしれない。
志穂は生き残り、親戚に引き取られた、人づてに聞いたが………
幼い頃の約束。
志穂は、今どうしているのだろうか………。

シナリオダーザイン 【鳴神志穂からの懐旧】

 

●シーン2/憎悪の視線
シーンプレイヤーはPC2

◆解説
鳴神亨の姿を目撃し、紀央が不信がる。

◆台詞と描写
格納庫。
キミは、紀央と一緒に、シュネルギアを掃除していた。
紀央 三角巾と割烹着、手にモップを持って「たまには、感謝の意を込めて、わたしたちの手で綺麗にいたしましょう。」

紀央「……あら?どなたでしょうか、あの方は………」
紀央の指し示す方向を見ると、見慣れない男が立っている。
その男は、シュネルギアを憎々しげに見つめていた。

紀央 PC2にだけ聞こえるように「どうやら、シュネルギアを睨んでおられます………。」
紀央 少し逡巡してから「………わたしには、あの方はシュネルギアを憎んでいるように見えます」

PC2に台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
紀央 困惑した表情を浮かべ「………嫌な予感が、致します。杞憂に過ぎれば、良いのですが………」
何事も起きなければいいが。
そう、何事も。

シナリオダーザイン 【司鏡紀央からの不安】

 

●シーン3/再会
シーンプレイヤーはPC1、ただし全員登場

◆解説
PC1にとっては、志穂と再会するシーンである。
他のPCには志穂、亨との顔合わせのシーンになる。

◆台詞と描写
統合司令室。
ヴィヴリオ 顔を見回して「………全員、揃っているな」
ヴィヴリオ「本日、菱井重工より新型の単座式シュネルギア、並びにそれを操るギアドライバーが配属になった。入りたまえ」

二人の男女が司令室に入って来る。
亨 軽く会釈し「失礼致します」
亨「菱井重工より派遣された、技師の鳴神亨です」
PC1には、男には見覚えは無いが、少女には見覚えがある。
PC1には分かるが、司令室に入ってきた少女は、成長し、少し大人びてはいるものの………志穂に、間違いない。
逆にPC2は、その男がさっき格納庫で見た男であると気付く。

8年前は肩ぐらいだった髪は、腰の辺りまで伸びていた。
その髪を束ねているのは、かなり毛羽立ったリボン。
志穂 極めて明るい声で「本日、瑞穂基地に配属された、鳴神志穂です。よろしくお願いしま………」
志穂の視線が、PC1に釘付けになる。
志穂「………PC1………くん?」
志穂 瞳に涙を浮かべ「………ずっと、ずっと、会いたかったよぉ……!」 PC1に抱き付く。
その横で、とても冷たい視線でPC1を見つめる伊音。
亨「……コホン」 横目で志穂を見、咳払い。
志穂 慌てて「ご、ごめんなさい、亨さん……」
亨「志穂、知り合いかい?」
志穂「はい……わたしの、幼い時の、友達、です……。」
亨「……そうか。志穂の従兄弟の、鳴神亨です。よろしく」 そう言って、PC1に握手を求める。

ヴィヴリオ「鳴神志穂少尉は、PC3の管轄に入ってもらう。」
志穂「は、はいっ!分かりました!」
ヴィヴリオ ニヤリと笑い「PC1少尉、PC2少尉。鳴神少尉は来て早々なので基地内のことを知らん。鳴神少尉を案内しろ。これは命令だ」

PC1とPC2にそれぞれ台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
ヴィヴリオ「以上で解散とする。PC4、お前は残れ。」
亨はそのまま退室し、志穂はPC1と一緒に退室する。
退室する際の亨の、そしてキミの後ろにいる伊音の、志穂を見る視線をひどく冷たく感じたのは、気のせいだろうか。

 

●シーン4/同じ穴のムジナ
シーンプレイヤーはPC3

◆解説
羽村から協力を頼まれる。

◆台詞と描写
退室したキミを、羽村総司が呼び止める。
羽村は、瑞穂基地の軍医でありながらヤシマ陸軍の情報部員である、食わせ者だ。
向こうがキミを利用しようとしているのは知っているが、キミも羽村を利用しているから、お互い様というヤツだ。

羽村「や、ど〜も。」
羽村 ヘラヘラ笑いながら「や、PC3様にはいつもお世話になっておりますです」
羽村 全く口調を変えずに「今日来た、あのいけ好かない感じの男いるじゃない?」
羽村「俺、こいつの顔どっかで見た気がすんだよねぇ〜」
羽村 笑いながら「俺、こう見えても記憶力は自信あるんだけどなぁ」

PC3に台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
羽村の方から、キミに接触してくる時は、ロクな事が無い。
だが、羽村の「見た気がする」という言葉は、キミの頭に引っ掛かった。

シナリオダーザイン 【羽村総司からのお仲間意識】

 

●シーン5/監視命令
シーンプレイヤーはPC4

◆解説
ヴィヴリオから、志穂と亨の監視を命じられる。シーン3の続き。
 

◆台詞と描写
キミは、戦争の為だけに作られた人造生命、完全機械化兵だ。
キミは現在、ヴィヴリオ直属の部下として、ギアドライバー達の護衛(お守りともいう)を命じられている。

そして、統合司令室。
一人残ったキミに対し、ヴィヴリオが命令を下す。
ヴィヴリオ「さて………もう分かっているとは思うが。鳴神亨、及び鳴神志穂の監視を命じる。」
ヴィヴリオ「久しぶりに幼馴染に会えた2人を邪魔する程、野暮では無いが………どうも、胡散臭い。」
ヴィヴリオ「あの2人の行動に注意しろ………。場合によっては………分かっているな?」
ヴィヴリオは手で銃の形を真似る。

PC4に台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
ヴィヴリオ「現在、鳴神兄妹の身辺調査を進めさせている。詳しいことが分かり次第、お前にも知らせよう」
正直、気の乗らない任務だが………。
キミは四の五の言える立場では、ない。

シナリオダーザイン 【ヴィヴリオからの信頼】

 

ミドルフェイズ
●シーン1/ご案内
シーンプレイヤーはPC2、PC1は自動登場、PC3とPC4は任意。

◆解説
基地内の施設を、PC1とPC2に案内させる。
このシーンは、志穂とPC1、PC2の交流シーンである。

志穂の明るさ、気さくさを前面に出し、積極的に友情を結ぶようにしよう。

◆台詞と描写
廊下を歩きながら
志穂 恐縮しながら「ごめんね、PC1くんもPC2さんも、それに草薙さんも司鏡さんも、忙しいのに………」
伊音 絶対零度の声音で無表情に「別に構わん。これも任務だからな」
紀央 伊音の様子に苦笑しながら「鳴神さま、あまりお気になさらずとも。」
志穂 微笑みながら「それじゃあ、よろしくお願いします♪」

格納庫では、志穂がシュネルギアを興味津々に見学し、
シミュレーション室では、志穂がシミュレーターに乗り、あっと言う間に終わってしまった。
志穂は移動する間、ずっとPC1のすぐ傍に居た。
そして、PC1と志穂の背中を睨み付ける、般若のような形相の伊音。

紀央「はあ………急ぎ足で回ったから、少し疲れてしまいました。少し休憩致しましょう」
伊音「賛成だ」 ムッとした表情で、一人でさっさと休憩所に向かう。
(ここでPC1以外は一度強制退場、出歯亀・聞き耳・覗き見OK)

志穂 髪を束ねるリボンに手をやり「ねえ、PC1くん………これ、覚えてる?6才の誕生日の時に、くれたリボンだよ。8年間、ずっと、つけてるんだ………。」
志穂「あと、これも………」 制服の胸元から、綺麗な乳白色の石が付いたペンダントを取り出す。
志穂「あの日、拾った石だよ………。わたしが、あの町に住んでた時のものは、もうこの2つだけになっちゃったんだ。」 そう言って、涙ぐむ。
志穂「………ごめんね、泣くつもりなんか無かったのに………」

PC1の台詞を貰ったら、結末に移ること。

◆結末
志穂は時計を見上げ、はっとした表情を浮かべる。
志穂「あ、いけない。わたし、ギアの調整しなきゃならないんだ。みんな、ありがとね〜♪」 手を振って格納庫に向かう。
志穂を見送るキミ達。
志穂が完全にいなくなったところで、キミ達も解散する。(PC2以外は強制退場)

帰り道、紀央が言い辛そうにPC2に告げる。
紀央「………PC2さま。どうやら鳴神さまは、シミュレーターは、わざと失敗されたようです。」
紀央「鳴神さまの操縦の腕前は、昨日今日、一朝一夕で身に付いたものではありません………。それこそ、相当訓練を積んだ、手馴れた者のそれでした。」

PC2の台詞を貰い、シーンを終了すること。

 

●シーン2/無貌の兵器
シーンプレイヤーはPC4、ただし全員登場

◆解説
志穂が乗る、新型の単座式ギアのお披露目をする。
尚この新型ギアは、完全機械化兵の脳髄をナビゲーションユニットとして組み込んだ、シュネルギア:トラバントである。カラーリングは白地に青のライン。
※ 性能は天使化したシュネルギアと同等。コードネームは『ラミエル』

◆台詞と描写
格納庫。
新型の単座式ギアの説明が行われる、ということで、キミ達と、整備班長の中島三郎がいる。
志穂はギアに乗り込み、亨がその前に立って説明を始める。
享「これが、菱井重工で開発された、第四世代型人間戦車、ブリッツギアです」
享「同業者で、無人化させようとして失敗したという話を聞いておりますので、これは有人制御化しています」
亨「志穂は、ブリッツギアのテストドライバーでもあります」
亨「ナビゲーターの代わりに、優秀な兵士の脳髄をクローニングし、ナビゲーションシステムとして搭載しています」
※ 勿論、ステイツの兵士の脳髄である。

亨「では、我々はこれにて。中島整備班長、後はお任せ致します」
そう言って亨は、志穂を伴って格納庫から出て行く。
志穂はちらりとPC1を見て、寂しそうな顔を浮かべて去っていく。
そして、PC4の隣で話を聞いていた中島が、苦々しく呟く。
中島「……どうも気に食わねェな、このギアは。あの嬢ちゃんには悪りィが……」
中島「機械ってのは、使ってる奴、整備してる奴のツラが向こうに見えるモンだ。だが……コイツには、それが見えねェ。のっぺら坊だ。」

PC4の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
中島「お前ェはそんなツラすんじゃねェ、お前ェはただの機械の塊なんかじゃなく、俺らの大事な仲間の一人だ」
中島はそう言って、PC4の頭をわしわしと撫でる。

PC4のダーザインスロットに空きがあった場合、【中島三郎からの父性愛】を取得する様に伝える。

 

●シーン3/持て余すもの
シーンプレイヤーはPC1、他PC登場不可

◆解説
伊音が志穂について尋ねてくる。
伊音のヤキモチを演出するのである。

◆台詞と描写
夜。
キミの部屋に、伊音が尋ねてくる。
伊音は、冷静を保とうとしているのか、何処と無く表情を引き攣らせている。
伊音「PC1、少し良いか?」
伊音「………き、聞かせて欲しいことが、ある」
伊音 言い辛そうに「……お、お前と……鳴神志穂とは……その、どんな、関係なのだ?」

伊音 ますます表情を引き攣らせて「幼馴染み、だと?そうか、幼馴染みか」
伊音 とうとう冷静さを保てなくなり「………ただの幼馴染が、あんなにベタベタするものか!?」

PC1の台詞を貰ったら、結末に移ること。

◆結末
伊音「ええい、五月蝿い!悪かったな!どうせ私は、志穂ほど、顔も性格も体型も可愛くなど無い!」
伊音 視線を落とし「私には、幼馴染と呼べる程親しい者など、誰もいない………」
伊音 はっとした表情を浮かべ、PC1を睨み付け「………邪魔したな!私は帰るっ!!」

そう言って、伊音は部屋から出て行く。
引き止めようとしても、その手をすり抜けて出て行く。
………伊音の顔に浮かんでいたのは、紛れも無い、嫉妬。
そして、去り際の彼女の双眸に浮かんでいたものは………涙?

PC2の台詞を貰い、シーンを終了すること。

 

●シーン4/罪と罰
シーンプレイヤーはPC3、PC4登場可、PC1とPC2は登場不可

◆解説
羽村と共に、鳴神兄妹の調査をする。

◆台詞と描写
深夜のコンピュータールーム。
普段は使われない、予備のエーテル端末の置かれた小部屋に、キミはいる。
そしてキミは、羽村を呼び出していた。
約束の時間きっかりに、羽村は現れた。
羽村 ヘラヘラ笑いながら「毎度、何でも屋の羽村で〜す」
羽村「おっと、そんなに怒りなさんなって。面白くない情報、持って来たからさ」

そう言って羽村が差し出すのは、古びた書類。
羽村「まァ、知っての通り、何処かで奴さんのこと見たな〜って思って、ちょっと漁ってみたわけよ」
羽村「………ビンゴ。奴さん、『元』ヤシマ陸軍の情報部員。イコール、俺の元同僚。」
羽村「奴は、8年前に表向き失踪した、ってなってるけど、合衆国に亡命していたらしいのさ。」

羽村 急に下手に出て「んで、お願いなんですけど〜」
羽村「鳴神のこと、ちょっと探っちゃくれませんかね?や、悪い話じゃないとは思うんだけど」

〈情報処理〉か〈軍略〉で判定させる。どちらで判定しても、難易度は5。

成功した場合
羽村「や、流石ですねえ」

失敗時
羽村「ちょっと無理か………」
羽村「さて、と……伝家の宝刀でも、抜こうか」 《伝家の宝刀:高級士官(大佐相当)用IDカード》
そう言って、高級士官用IDカードを取り出す。
羽村「じゃ、もう一度よろしくお願いします」
判定は不要。

羽村「はぁ………こりゃどうも参ったね………」
ディスプレイに映し出された鳴神亨、そして鳴神志穂の情報は、ほぼ最悪の結果だった。

『断罪の聖女』 鳴神志穂
14才、女 ヤシマ人
滅びた街の爆心地で気を失っていたところを、現合衆国情報将校、鳴神亨に拾われ、共に合衆国へ亡命。
フーファイター:ラミエルを操り、今までに何箇所もの基地・都市を滅ぼして来た。

『パニッシャー』 鳴神亨
30才、男 ヤシマ人
合衆国情報将校。
元はヤシマ陸軍の情報部に在籍、志穂の起こしたマスケンヴァル現象の際に、気を失っていた志穂を保護。
彼女の力が解明すると、志穂を連れて合衆国へ亡命。
志穂の所有者。

ついでに判明する情報:
菱井重工について
ステイツの息が掛かった企業である。
ヤシマで昔から鉄鋼や化学を扱っていたが、クレーム隠しなど行い衰退。
そこにステイツに目をつけられ、ステイツからの資金供与と技術支援の代わりに、菱井重工は天使に関する研究を行っている。ブリッツギアもその一環。

羽村「ちょっとまずいんでない?PC1とあの子、大分仲いいみたいだからさ。」
羽村 参った顔をして「………ったく、そんな都市の殲滅とかは、悪い大人に任せときゃいいのに」

PC3の台詞を貰ったら、結末に移ること。

◆結末
羽村 真剣な表情を浮かべて「………若い子にばっかり押し付けるのは、俺も嫌なんだけどね」
羽村「そんじゃま、後は宜しく。俺に出来んのは、ここまでだからね。俺の苦しい立場も分かってよ。」
そう言って手を振り、羽村は去っていく。

 

●シーン5/滅びた故郷(まち)
シーンプレイヤーはPC2、ただし全員登場

◆解説
PC1、そして志穂の、消滅した故郷に、微弱な天使反応が発生。
調査に向かう事になる。

◆台詞と描写
統合司令室。
ヴィヴリオが全員を呼び出す。
ヴィヴリオ「旧???市にて、微弱な天使反応が確認された」
志穂 口に手を当て、はっとした顔で「えっ………!?」
ヴィヴリオは志穂に視線を合わせず「PC1少尉と、鳴神少尉の故郷だったな」
ヴィヴリオ「原因は不明だ。直接現地に赴いての調査を命じる。」
ヴィヴリオ「せいぜいこの反応では、灰色天使程度だろうが、もしも、という事もある。全員、いつでも戦闘出来る様、準備しておけ」
亨「ヴィヴリオ大佐、我々も一緒で宜しいのですね?」
その時、PC2は、亨が薄笑いを浮かべていた事に気付く。
ヴィヴリオ「勿論だ」
志穂「うー、緊張するなぁ………でも、頑張んなきゃ」
ヴィヴリオ「説明は以上だ。行け」

全PCの台詞を貰ったら、結末に移ること。

◆結末
解散し、格納庫に向かうキミ達。
キミの横で紀央が、唐突に呟く。
紀央「………PC2さま。PC1さまのことを、支えて差し上げて欲しいのです。」
紀央「わたしの勘が正しければ………PC1さまは恐らく、苦しい決断を強いられる事になります。」
紀央「それを………PC2さまが、支えるのです。」

ここで紀央からのダーザインが4レベル以上ならば、この台詞を追加する
紀央 にっこり微笑みながら、PC2を見つめて「勿論わたしは、PC2さまを全力で支えます。………一人では苦しくても、二人で分かち合えば、きっと辛くはありませんから。」

PC2の台詞を貰い、シーンを終了すること。

 

●シーン6/無垢なる罪
シーンプレイヤーはPC1、ただし全員登場

◆解説
タイムカプセルを埋めた木の下で、志穂が記憶を取り戻す。

◆台詞と描写
PC1と志穂の、滅びた故郷の街。
そして何故か、天使反応は、到着した途端に消失した。
※ PCの誰かによって理由を聞かれた場合は、〈情報処理〉で難易度3の判定を行わせ、レーダーが狂わされていたと告げること。犯人は言わなくてよい。

山に今も尚そびえる、大きな木を見て、志穂は一瞬はっとした表情を浮かべる。
何処か遠くを見つめるようにして、PC1に語りかける。
志穂「懐かしいね、PC1くん………」
志穂「………覚えてる?8年前に、あの、木の下に、タイムカプセル埋めたこと………」
志穂「もう一度会えたら、その時に開けようね、って約束したこと………」
志穂「ずっと、それは覚えてたけど………一つだけ、忘れてたことが、あった」
志穂「………思い出したくなんか、無かった………」
志穂「ごめんね………わたし、もう、約束破っちゃってた………」

志穂はPC1の問い掛けに答えず、寂しげに微笑んで、叫ぶ。
志穂「………おいで、ラミエル!」
ホルテンに搭載されていた筈の、ブリッツギアが勝手に起動する。
拘束具を引き千切って飛び立ち、志穂の背後に降り立つ。
ラミエルと呼ばれたギアのその背中には、鋼の翼ではなく、純白の羽毛が生えた翼。

志穂「行くよ、ラミエル………」
そう呟くと、志穂の背中からふぁさっと純白の翼が生える。
志穂「わたしだって、PC1くんと戦いたくない………だけど………こうするしか、わたしには出来ない!」
伊音「待て、鳴神!」
志穂はそのまま飛び立つ。
PC1の方を一度だけ振り向き、悲しげに微笑んだ後、ラミエルの中に吸い込まれる。

PC1の台詞を貰ったら、結末に移ること。

◆結末
志穂「だって、わたしは………戦いの為の、道具、で………」
志穂は、搾り出すように、その言葉を口にする
志穂「……この街を滅ぼしちゃったのは……わたしだもん……」

ダーザイン5レベルを解禁する。

 

クライマックスフェイズ
●シーン1/断罪の聖女
シーンプレイヤーはPC1、ただし全員登場

◆解説
志穂が天使化する。

◆台詞と描写
場面は同じ、滅びた街。
ラミエルに乗った志穂が、PC1に話しかけて来る。
志穂「PC1くんがいなくて、すごく寂しくて………」
志穂 チャリ、と胸のペンダントを握り締めて「この白い天使核と、わたしの中にある黒い天使核が共鳴して、わたしが、天使化して………マスケンヴァル現象で、街のみんなを………家族を、友達を死なせちゃったんだ………」
志穂「それに………わたしは、ラミエルと一緒に、たくさんの人を殺してきたんだよ………?」
志穂「どんなに謝っても、わたしの罪は消えないし、死んじゃった人は帰ってこない……」
志穂「………だから、お願い。………わたしを、殺して……。」

亨「クソッ………折角シュネルギア部隊殲滅のチャンスだと言うのに、記憶が戻ったか……再調整が必要だな」
亨「時々、罪の意識に責められて、記憶が戻ってしまうんだよ。その度に、記憶を消していたんだが………」
亨「駒は思い通りに動いてこそ意味がある、動かない駒はいらないんだよ」

※ 恐らくここで、誰かが亨にアクションを起こすだろう。
その場合、特に判定はいらない。宣言だけで行動不能にさせる事が出来る。

志穂「……PC1くんに、会えてよかった……。初恋の人に、殺してもらえるなら……わたしも、本望だよ……。」

志穂を助ける場合は描写1を読み上げ、助けない場合は結末2に移ること。

◆描写1
志穂の罪の意識が、痛い程、キミに伝わってくる。
それを支える事が出来るのは………キミしか、いない。
そして、伊音がキミの腕を引っ張って懇願する。
伊音 悲痛な表情で「鳴神は、お前に助けを求めている………」
伊音 自らに言い聞かせるように「あ奴に嫉妬など………今はしている場合ではない!」
伊音「PC1、頼む………鳴神を、助けてやってくれ!!」

PC1が最も得意とする、攻撃系の技能で福音を発生させれば、志穂を助けられる。
尚、武器の修正値は適用せず、ダメージ算出はしない。
成功すれば、志穂をコックピットから強制排除し、且つ胸のペンダント(白い天使核)のみを破壊出来る。結末1に移ること。
失敗した場合は、描写2へ移ること。

◆描写2
志穂「ごほっ………!」
コックピットの中の志穂の腹部を、PC1の一撃が貫く。
志穂 口から血を吐きながらも、微笑んで「………ありがとう、PC1くん………」
志穂「さよなら………大好きだったよ………」 そう呟いて、瞳を閉じ………永遠(とわ)の眠りにつく。
亨 忌々しげにその様を見つめ「保険の発動だ………」
結末2へ移ること。

◆結末1
コックピットを、荘厳なる音色を伴った一撃が貫く。
そして、志穂の胸にかかっていたペンダントが、その背中に生えた翼が。
光の粒子となって、はらはらと散っていく。
コックピットはそのまま、脱出装置が作動して強制排除され、ふわりふわりと落ちて行く。
亨 忌々しげにその様を見つめ「保険の発動だ………」
結末2へ移ること。

◆結末2
亨「ラミエルを目標として、呪法弾道ミサイル、『ミョルニル』を発射させた。」
亨「フフフ………私か志穂、いずれかが失敗した時の事を考えて、保険を賭けていたんだよ………。」
亨「この目で、君達が神の裁きを受ける様を、見られないのは残念だが………地獄で待っているよ」
そう言うと亨は、奥歯をギリッと噛み締める。
亨「我らがステイツに、栄光あれ………!」
即効性の致死毒が仕込んであったらしい。
そう言い残し、歓喜の笑みを浮かべて事切れる。

PC1の台詞を貰い、シーンを切ること。

 

●シーン2/神の鉄槌
シーンプレイヤーはPC2

◆解説
天使との戦闘である。

◆台詞と描写
戦いの時は、来た。

位置は、 ミョルニル ←1000m→ ラミエル ←500m→ ホイシュレッケ×5グループ ←500m→ PC1・PC4 ←1000m→ PC2 ←1000m→ PC3

フーファイター:ラミエル その名は『雷』を意味する。
肉体:13 感覚:12 理知:12 聖霊:7 階級:0
HP:92 負傷ゲージ 13/7/4/1
攻撃 裁きの雷(射撃) 判定値:18 レベル:4 射程:300m ダメージ+12(重)
聖結界 対天使武器以外ダメージ1/10
回避 判定値:18 レベル:3
※ シーン1で志穂に対してアクションを起こしていた場合は、福音の発生したか否かに関わらず、死亡ゲージを埋める。

呪法弾道ミサイル『ミョルニル』
肉体:30 感覚:20 理知:18 聖霊:15 階級:0
HP:100 負傷ゲージなし
攻撃 自動反撃システム(射撃/白兵) 判定値:18 レベル:4 射程:2km ダメージ+12(軽)
攻撃 自動迎撃システム(射撃) 判定値:18 レベル:4 射程:2km ダメージ+12(軽) 全体攻撃
絶対結界 対天使武器以外無効・30点以下のダメージ無効
回避せず、必ず突き返しを行う

ホイシュレッケ/シュトゥルム
肉体:5 感覚:7 理知:6 聖霊:4 階級:0
HP:20 負傷ゲージなし
攻撃 かみつき(白兵) 判定値:10 レベル:4 射程:至近 ダメージ+10
回避 判定値:7 レベル:3
結界 対天使武器以外ダメージ半減
自動封鎖 エンゲージ封鎖

◆結末
天使たちは光となって霧散し、同時に、上空の天界の門が閉じていく。
瑞穂基地は、壊滅を免れたのだ。

 

※ エンディングフェイズについては、志穂が生存しているか否かによって、描写を適宜変更する事。
具体的には、PC1のエンディング(シーン4)の描写を変更する事になる。

 

エンディングフェイズ
●シーン1/引鉄の重さ
シーンプレイヤーはPC4

◆解説
ヴィヴリオに労われる。

◆台詞と描写
基地に帰還後、キミはヴィヴリオの私室に呼び出される。
ヴィヴリオ「結局、引鉄を引いたのは、キミでは無かったな………」
ヴィヴリオ 自嘲気味に「子供達に、重責を背負わせたくない、と思っていたが………考えが甘かったか」
ヴィヴリオ「キミは、ボクのその考えをどう思う?

PC4の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
ヴィヴリオ「そうか………。尻拭いばかりさせて済まないが………これからも頼むぞ、PC4」
そう言って、ヴィヴリオはキミに微笑みかけた。

 

●シーン2/化かし合い
シーンプレイヤーはPC3

◆解説
羽村との会話。

◆台詞と描写
基地に帰還し、キミが始末書の処理に翻弄されているときに、ひょいっと羽村が現れる。
羽村 ヘラヘラ笑いながら「や、お勤めご苦労様です。今回も大変だったみたいで」
羽村 不意に真剣な表情を浮かべ「便利な道具を手に入れた、とか言っても、道具扱いされた方は堪ったモンじゃないよねえ」
羽村「アイツも、あの子と出会わなければ………いや、そりゃ今更か。」

PC3の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
羽村「ま、それよりも、その書類片付いたら飲みに行かない?いい店見つけたんだ」
羽村は悪びれもせず、カラカラと笑った。

 

●シーン3/キミとボクを繋ぐもの
シーンプレイヤーはPC2

◆解説
格納庫にて、シュネルギアを見上げて紀央と会話。

◆台詞と描写
格納庫。
キミは、紀央と一緒に、シュネルギアを掃除していた。
紀央 三角巾と割烹着、手にモップを持って「たまには、感謝の意を込めて、わたしたちの手で綺麗にいたしましょう。」
はて、ついこの間も掃除したような。
紀央「あら、そうでしたかしら?」 どうやら、本当に忘れていたらしい。

紀央「PC2さま……この前のブリッツギアも、考えてみれば、不憫でした」
紀央 中島の口調を真似て「機械は悪さをしねェ、悪さすんのは使う奴だ」 完璧な声帯模写。
紀央 にっこり微笑みながら「………中島整備班長の真似をしてみたのですが、いかがでしたか?」

PC2の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
紀央 綺麗に磨かれたシュネルギアを見上げ「わたしは、シュネルギアは好きです。」
紀央 PC2の顔をじっと見つめて「PC2さまと、わたしを結ぶ、一番の絆ですから」
そう呟く紀央の表情は、まるで母親が子供に愛情をもって接する時のような、とても優しい顔だった。

●シーン4/タイムカプセル
シーンプレイヤーはPC1

◆解説
タイムカプセルを掘り出しに行く。

志穂が生存し、且つ恋愛フラグが成立している場合は、PC1と志穂の2人、
志穂が生存し、恋愛フラグが不成立or伊音を選んだ場合は、PC1と伊音と志穂の3人、
志穂が死亡している場合は、PC1と伊音の2人で行く事になる。

◆台詞と描写
あれから、一週間後。
滅びた故郷の、大きな木の下に、キミと伊音(と志穂)は居る。
掘り出されるタイムカプセル。
とは言っても、ビニールテープでぐるぐる巻きにされた、海苔の缶。
その中から出てくるのは、キミがいれたものの他に、一枚の作文用紙だけ。

その作文用紙は、志穂の書いた『わたしのゆめ』という作文。
『わたしのゆめ』
『わたしのゆめは、PC1くんのおよめさんになることです』

PC1の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
そこまでのPC1の行動、及び志穂が生存しているか否かにより、結末を適宜変更せよ。
以下に例を挙げる。

志穂生存・恋愛フラグ成立時
志穂 顔を真っ赤にして「あはは………ばれちゃった。」
志穂「8年間………ずっと、PC1くんのことだけを想って………それだけを支えにして、生きてきたの。」
志穂「こんな、わたしでよかったら………」 そう言って目を閉じ、背伸びする。

志穂生存・恋愛フラグ不成立時
志穂 顔を真っ赤にして「あはは………ばれちゃった。」
志穂 精一杯の笑顔を作って「でも、PC1くんには、草薙さんがいるもんね。草薙さん、PC1くんのこと、これからもお願いします。」
伊音 うむうむと頷き「ああ、PC1のことは、私に任せておけ。これからも、私が全力で支えていく………って、何を言わせるか馬鹿者!」 そう言いつつも、顔は真っ赤っか。
志穂 くすくすと笑いながら「はいはい、ご馳走さまでした。あ〜あ、ふられちゃった………」 口調こそ軽く、しかし、目尻には、涙が一粒浮かんでいた。

志穂死亡時
伊音「PC1……泣いて、いるのか?」
伊音 俯いて「………大丈夫だ、私は此処にいる。」 そう言って腕を伸ばし、PC1の頭を、自らの薄い胸に預けさせる。
伊音「私は、ずっと、お前の傍にいる………だから、安心しろ………」
伊音は、PC1の頭を優しく抱き締め、頭を撫でていた。――――日が、沈むまで。

 

 

以上、経験点の発行などの処理をしよう。
お疲れさまでした。

 

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