JSS.4
『ヘルメスの翼』

※ シナリオ開始前に、ゲーマーズフィールド8−4に掲載された三条恭花のイラストを必ず見せる事。


PC1用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【三条恭花からの妬み】
クラス/ギアドライバー
サンプルキャラクター:ギアドライバー/ストライカー
ナビゲーター/トゥアレタ・クレーリオン
※ 元一般クラスであり、恭花の元クラスメートである。

キミはかつて一般クラスに所属していた。
だが、黒い天使核持ちである事が分かり、特務クラスに編入された。
天使と戦いたいなんて、今までも、これからも、思っていなかった。
だがキミは、恭花が右足を失い、義足をつけ「私を兵士にして」と言っている、という噂を聞く。
力を得てしまった自分。
力を欲しても得られない恭花。
二人の間に、広く深い相容れぬ溝。

 

PC2用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【三条恭花からの懇願】
クラス/機械化兵
ナビゲーター/なし
※ 『よい大人』になってほしい。

キミは身体を機械に置き換え、戦い続ける。
今までも、これからも。
そんなある日、キミは、一人の少女を見かける。
その少女は、瑞穂基地の関係者を捕まえては、繰り返しある願いを口にした。「私を兵士にして」と。
そして今日、キミも同様に彼女に捕まった。
だがキミには、彼女の願いを叶える事は出来ない………

 

PC3用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【黒崎章吾からの疑惑】
クラス/指揮官 or 情報将校 or 管制官
ナビゲーター/なし
※ 『悪い大人』になってほしい。

ヤシマ陸軍開発局から、一人の技師が派遣される。その名は、黒崎章吾中尉。
いけ好かない感じのその男は、インプラントの研究者であるという。
今回の派遣は、PC1のインプラントのデータを取る為だ。
だがキミの勘が告げる、彼の目的は他にもあると。
そして、ヴィヴリオはキミに、黒崎の監視を命じる。
杞憂に終ればいい。しかし………

 

PC4用ハンドアウト
シナリオダーザイン 【自己からの不信】
クラス/ギアドライバー
サンプルキャラクター:ギアドライバー/シューター
ナビゲーター/八坂凍
※ 負けロール

天使が出現したとの報を受け、現場に直行したキミ。
だが、僅かに到着が遅れ、市民に被害が出てしまう。
キミが悪い訳では無い。
だが、瑞穂中学一般クラスの生徒が十数人、命を落とした。
その事実は………キミの肩に、重く圧し掛かる。

 

 

今回予告
希望と言う名の翼を、もがれた少女
失ったのは、右足と、友達と、そして………笑顔
全てを奪われた者は、それを取り戻す為に、戦いを望む
………復讐の為に
………再び、空へと羽ばたく為に
手にした鋼の翼は、今一度の希望か、それとも

エンゼルギア天使大戦TRPG 『ヘルメスの翼』

もう、あの頃には、戻れない。

 

オープニングフェイズ
●シーン1/作戦、完遂せず
シーンプレイヤーはPC4

◆解説
天使の襲撃が発生し、出撃するが、下校中だった瑞穂中の生徒達に被害が出る。
数少ない生存者の中に、一般クラスの三条恭花の名があった。

◆台詞と描写
瑞穂市街に、突如として天使が出現する。
凍と共に、緊急出動するキミ。
凍「………………今、下校時間」
凍「………………急がないと」
凍「………………被害が、大きくなる」

凍の不安は、的中した。
通学路を、談笑する、下校中の生徒達。
その表情が、瞬時に恐怖に引きつる。
天使がその腕を、その頭を動かす度に。
飛び散る血飛沫と肉片。
響き渡る悲鳴と絶叫。
砕け散る家屋。

キミが到着した事で、天使は目標をキミに変更し、襲い掛かってくる。
PC4に、天使を倒す演出をしてもらい、場面を切り替えること。

天使を撃退する事には成功した。
だが、被害は決して少なくは無かった………。
そして、数少ない生存者の中に、一般クラスの三条恭花の名があった。
凍「………………被害が、大きかった」
凍 顔を伏せて「………………でも………PC4が、悪い訳じゃない」

PC4に、台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
凍の慰めの言葉も、君の心には届かない。
無力さが、自らを苛む。
シナリオダーザイン 【自己からの不信】

 

●シーン2/悪夢
マスターシーン

◆解説
恭花の悪夢を演出する。

◆台詞と描写
深夜。
彼女………三条恭花は、毎夜、悪夢にうなされていた。
彼女は、先日の天使襲撃の、数少ない生存者の一人だった。
しかし………彼女は、右足と、何人も友人を失った。
夢に思い浮かぶのは………親友の生前の笑顔、そして、死ぬ間際の、恐怖に引きつった顔。
そして………夢の中で、右足を天使に食い千切られる。
何度も、何度も。
そして絶叫し、目を覚ます。
恭花「私がっ!私が死ねばよかったんだ!」
ぽろぽろと、涙が零れ落ちる。
………絶望はやがて、憎悪へと変わり。悪夢は、復讐心へと変わる。

結末に移ること。

◆結末
一週間後。彼女は自ら長かった髪を切り落とし、表情から明るさを削ぎ落として、家族の前に現れた。
家族の、疎開の案を拒否し………無意味な訓練を繰り返す。
そして瑞穂基地の関係者を捕まえては、繰り返しある願いを口にした。「私を兵士にして」と。
恭花「……戦えるなら、なんでもします」 ※LV1

 

●シーン3/監視命令
シーンプレイヤーはPC3
シナリオダーザイン 【黒崎章吾からの疑惑】
クラス/指揮官 or 情報将校 or 管制官
ナビゲーター/なし

◆解説
ヤシマ陸軍開発局の技師、黒崎章吾の監視を命ぜられる。

※ 黒崎のロールについてだが、人の神経を逆撫でするような、嫌な嫌な嫌な奴を演出する事。

◆台詞と描写
ある日キミは、ヴィヴリオに司令室に呼び出される。
ヴィヴリオ「よく来た、PC3」
そこには冷たい目付きの、科学者らしき男が、ヴィヴリオと共にいた。
黒崎「………これは、これは、PC3。お噂はかねがね。」
黒崎 ニヤリと笑い、眼鏡をくっと上げて「おっと、自己紹介が遅れました。申し訳ありません………黒崎章吾、ヤシマ陸軍開発局特務中尉です。よろしくお願い致します」
ヴィヴリオ「………彼は、PC2のインプラントのデータ取得の為に、派遣されたそうだ」
黒崎「ええ、ご協力頂き、感謝致します。では、私はこれにて。」 
そう言って、黒崎は司令室を去る。
ヴィヴリオ 黒崎が去ったのを見計らってから「………彼は、特別待遇で扱えと、ヤシマ陸軍からのお達しだ」
ヴィヴリオ 目を瞑り「………PC3。黒崎の監視を命じる。………どうも、きな臭い。」
ヴィヴリオ「場合によっては、羽村を利用しろ。彼も、自分の立場を考えれば、嫌とは言うまいさ」

ここで、PLがエンゼルギアの付属シナリオを知っている場合は、羽村がヤシマ陸軍の情報部員であると伝える。
そうでない場合は、『以前、ちょっとした事件に関わったことから、彼の正体に薄々感付いている』と説明せよ。

PC3の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
ヴィヴリオ「杞憂に終れば、それに越した事は無いがな」
ヴィヴリオ「では、頼んだぞ」
退室するキミの背中越しに、ヴィヴリオが溜息をつくのが聞こえた。

 

●シーン4/私を兵士にして
シーンプレイヤーはPC2
シナリオダーザイン 【三条恭花からの懇願】
クラス/機械化兵
ナビゲーター/なし

◆解説
恭花に掴まり、戦い方を教えてとせがまれる。

◆台詞と描写
キミは身体を機械に置き換え、戦い続ける、機械化兵
今までも、これからも。

そんなある日、キミは同僚からこんな話を聞く。
同僚「なあ、知ってるか、PC2?」
同僚「瑞穂中の女の子が、自分を兵士にしてくれ、って瑞穂基地の関係者を捕まえちゃあ言ってるらしいぜ」
同僚「………何でも、この前市街地を天使が襲撃した時の、生存者らしいよ。」
同僚「でも、天使核も持ってないのに、戦える訳無いんだよなぁ。」

PC2の台詞を貰い、場面を切り替えること。
※ 切り替え後の場面については、数日後の非番の日にするのがもっとも無難だろう。

そんなある日、キミは一人の、右足が義足の少女を見かける。
その少女は、瑞穂基地の関係者を捕まえては、繰り返しある願いを口にした。
そう………噂の、少女だ。
そして、キミも彼女に捕まった。
恭花 真剣な、しかし瞳に闇を秘めた表情で「私は、瑞穂中一般クラスの三条恭花です。お願いです、私を兵士にして下さい」
恭花「なんでもします!私を戦わせて!」

PC2の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
オペレータ「PC2に緊急の命令です。直ちに、基地に帰還して下さい」 PC2に、命令が下る。
恭花「………また、来ますから」 そう言い残し、ひとまずその場を去る。
だが、彼女は、またキミのところに来るだろう。
シナリオダーザイン 【三条恭花からの懇願】

 

●シーン5/トモダチ
シーンプレイヤーはPC1
シナリオダーザイン 【三条恭花からの妬み】
クラス/ギアドライバー
ナビゲーター/トゥアレタ・クレーリオン

◆解説
元クラスメートの三条恭花が、天使に襲われ、右足を失ったと知る。

◆台詞と描写
キミはかつて、一般クラスに所属していた。
三条恭花は、その頃からの友人だった。
だが、黒い天使核持ちである事が分かり、特務クラスに編入された。
天使と戦いたいなんて、今までも、これからも、思っていなかった。

だが、キミのパートナーであるトゥアレタが、こんなことを言ってくる。
トゥアレタ「聞いた、PC1?この前の、天使の襲撃で、一般クラスの子達に犠牲者が出たんだけど………」
トゥアレタ「三条恭花、って子、知ってる?生存者の一人、なんだけど………」
トゥアレタ「何でも、瑞穂基地の関係者に、兵士にして欲しい、って言ってるんだって」
トゥアレタ 複雑な表情で「でも………天使核を持ってないから、兵士になるのは、無理、なんだよね………」

PC1の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
トゥアレタ「力、か………。欲しくなんか無かったな………。力を持ってる者の、わがままかも知れないけど………」
力を得てしまった自分。
力を欲しても得られない恭花。
二人の間に、広く深い、相容れぬ溝が、横たわる。
シナリオダーザイン 【三条恭花からの妬み】

 

ミドルフェイズ
●シーン1/深淵の心の闇
シーンプレイヤーはPC1、PC4は登場可能、PC2と3は納得出来る登場理由があれば許可。

◆解説
PC1が恭花の見舞いに行き、嫌味と皮肉を言われるシーンである。

◆台詞と描写
恭花は、義足とまだ馴染んでいない状態で、無理な訓練をしたのが祟ったらしい。
義足との結合部が炎症を起こした、という話を聞き、見舞いに行くことになったのだ。

恭花 ベッドから起き上がり、やや冷ややかな視線を投げ掛けて「………いらっしゃい」
トゥアレタ 恐る恐る花束を手渡し「あの、これ………お見舞いなんだけど………」
恭花 無表情に受け取る「ありがとう」

恭花 外された義足に目をやり「流石に無理し過ぎたかな」
恭花「強く、ならなきゃ……強く」

タイミングを見計らい、以下の描写を読み上げること。

恭花はPC1に、枕元に置かれた写真立てを見せる。
恭花「これ、昔の私……幸せそうでしょ?」

恭花「………でも、天使が、友達を、幸せを、全部奪って行ったんだ!絶対に、絶対に………私の手で、復讐してやる………!!」

PC1の台詞を貰ったら、結末に移ること。

◆結末
恭花「あなた達に、私の気持ちが分かるっていうの!?幾ら願っても、私には戦える力は手に入らないんだよ!?それなのに!」
恭花「帰って!帰ってよ!」
追い払われるようにして、恭花の家を後にするキミ達。
やり切れなさが、キミ達の心に去来する。

 

●シーン2/決裂
シーンプレイヤーはPC2、PC3は自動登場、PC1と4も登場可能

◆解説
恭花に再びお願いをされるが、断られるシーンである。
PC2は、黒崎によってデータ採取の最中である。

◆台詞と描写
データ採取の為、瑞穂中の校庭のトラックを使って、長距離走をする事に。
黒崎「これはこれは、お手数をお掛けます。」
黒崎「あらゆるデータを取得する必要がありますからねぇ。ご協力感謝しますよ、PC2、PC3」

※PC1やPC4が登場している場合
黒崎「如何でしょう?比較の為に、協力してはいただけませんか?」

登場しているPC間で、ある程度の会話を進めたら、場面を切り替えよう。
会話が進まない場合は、PC1のナビ辺りから、PC2に対し、データ採取について話しかけさせるといい。

そこに、PC2を尋ねて恭花がやってくる。
恭花「………PC2さん、また、来ました」
恭花「銃を教えて。剣を教えて。何か教えて――」 ※LV3
恭花「私は、どうしても戦いたい」

この場面で重要なのは、恭花との話を決裂させる事である。この事は、事前にPLに告げてしまっても良い。
PC1、あるいはPC3が決定的な一言を発言したら、即座に結末に移ること。

◆結末
恭花 落胆したかのように溜息をついて「………分かりました。別の人に、頼みます」 その場を去る。
その時、PC3は気付く。
恭花の後姿を、黒崎が冷ややかに見つめていたことを。

エモーションにて、PC2の恭花からのダーザインを、【失望】や【落胆】に変更する様示唆すること。

 


●シーン3/特殊工作員
シーンプレイヤーはPC3、PC2は登場可能、PC1と4は不可。

◆解説
黒崎の事を調べるシーンである。
黒崎が、『八坂機関』に繋がっている事が判明する。

◆台詞と描写
深夜のコンピュータールーム。
普段は使われない、予備のエーテル端末の置かれた小部屋に、キミはいる。
ヴィヴリオから、黒崎の監視を命じられていたが、キミ自身、彼に対し疑念を抱いたからだ。
彼の経歴は、意図的に隠蔽・修正された部分がある、と、ヴィヴリオから知らされた為だ。

そこに、軽薄そうな笑みを浮かべた羽村が現れる。
羽村「や、どもども。出前で〜す」
羽村 飄々と「いやあ俺、ヴィヴリオ大佐に気に入られてるからさあ」
羽村 悪びれもせず「んで、PC3を手伝って来い、ってお使い頼まれた、って訳」

黒崎のことを知っているか、と尋ねられた場合
羽村 頭をひねって「開発局の黒崎章吾?………知らないなあ。俺、こう見えても、顔広いんだけど………」
羽村「ま、ちょっと見てみますか」

エーテル端末のディスプレイには、何も表示されない。
羽村「………ヤシマ陸軍開発局に、黒埼章吾のデータは無し、か。………おかしいな」

羽村「PC3様、ちょ〜っと手伝っちゃくれませんかね?いや、悪い話じゃないと思うんだけど」
〈情報処理〉か〈軍略〉で判定を行う、難易度は3。
PC3の判定結果により、描写を変更する。

成功した場合
羽村「いやぁ、流石です」

失敗した場合
羽村 苦笑しながら「ん〜………あんまり身内を自分の手で探るの、嫌なんだけどねぇ」
自分の懐からIDカードを取り出して、調べ始める。

羽村「………ははぁん。成る程、ね。そりゃ、開発局にデータ無い訳だ」
エーテル端末のディスプレイには、黒崎章吾の個人情報が映し出される。
羽村「………見てよ、これ」
そう言って指し示したディスプレイに表示される、黒崎章吾の所属する機関名。
………そこには、『八坂機関』とあった。

PLが『八坂機関』のことを知らなかった場合
ルールブックの維馬篭のイラストを見せた上で、ヤシマ陸軍を実質的に牛耳っている、人懐こい笑みを常に浮かべた、ヤシマで最も狡猾で冷徹な男だと説明する。

PC3の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
羽村 眉を顰めて「………ちょっと、これは一筋縄じゃ行かなくなったなあ」
羽村「この名前が出て来た以上、俺は、この件について、これ以上、手伝えない。………色々としがらみもあるし、それに命も惜しいからね」
羽村「ま、俺の辛くて苦しい立場も分かってよ」
口調こそ軽いもの、羽村は苦い表情を浮かべて、その場を去っていく。

 

●シーン4/希望かそれとも
マスターシーン、ただし、PC3はこの様子を監視カメラ・配下の諜報部員などを使って、知っていてもよい。

◆解説
黒崎が、恭花に特殊装甲義肢、及び特殊フライングユニットの実験台にならないかと勧誘する。
台詞と描写を一気に読み上げるべし。

◆台詞と描写
黒崎 蛇のような笑みを浮かべ「三条、恭花さんですね?」
恭花 不信そうに「そうだけど………何ですか?」
黒崎「いや、これは失礼。私は、ヤシマ陸軍開発局中尉の、黒崎章吾という者です。……聞けば、あなたは兵士になりたいとか」
恭花「戦う力が欲しいの。天使に、復讐する為の力が」
黒崎 満足げに頷き「………ほう」
恭花「あなたなら、私を戦わせてくれる?」 ※LV2
黒崎「ええ、勿論ですよ。………戦う力が欲しいのでしょう?」
どう考えても、この誘いには裏があり過ぎる。
彼女が正常な判断力を持っていれば、それにすぐに気付いた事だろう。
だが、復讐の為に力を手に入れる事に固執していた彼女には、それが出来なかった。
恭花「欲しいよ、勿論!」決意を秘めた瞳で頷く。
黒崎「では……手伝って頂きましょう。そうそう、あなた専用の、戦闘機(厳密にはフライングユニット)も用意させて頂きます。そして、便宜上私の部下、という事になりますが、あなたは軍属、少尉待遇となります。」
恭花「ちょ、ちょっと、そんな事までしてもらわなくても!」 ※LV4
黒崎 くくっと口元を歪めて笑い「いえいえ、礼には及びませんよ。私にとっても、その方が都合がいいですから」

結末に移ること。

◆結末
………そして、恭花は特殊な装甲義肢を与えられる。
サイズを極限まで縮小したV機関を搭載した、装甲義肢を。
恭花 両の拳を握り「……これで、私も戦える!」 その表情は、昏い希望に満ちて。
黒崎「三条さん、その意気ですよ。」 口調とは裏腹に、その目には昏い光が灯っていた。

 

●シーン5/実験
シーンプレイヤーはPC1、ただし全員自動登場

◆解説
恭花の操るフライングユニットとの模擬戦闘を行う。
PC2の操るシュネルギアと、ほぼ同等の性能を発揮する。

◆台詞と描写
恭花に与えられた、フライングユニット『アキレア』(ノコギリソウ、花言葉は『戦い』)との模擬戦が行われる事になった。
ヴィヴリオ「PC1と、三条……少尉との、模擬戦闘を行う」
トゥアレタ「た、大佐!?それは………!?」
黒崎「………三条恭花少尉は、私の部下ですが、何か、ご質問でも?」
トゥアレタ「い、いえ……ありません………」

PC2の元へ、恭花がやってくる。
恭花 昏い喜びに満ちた表情で「PC2さん………私、戦えるようになりました。」
恭花 縋る様に「これでも、まだ………何も、教えてくれませんか?」

PC2が何か発言したら、次の描写を読み上げて場面を切り替える。

黒崎「三条少尉、では、こちらへ」
恭花「はいっ!………すいません、PC2さん、また後で」

恭花はアキレアに乗り込み、操縦管を恐る恐る握る。
黒崎「このフライングユニット、アキレアには、シュネルギアに搭載されているSQUIDの簡易版が搭載されています。……細かい説明はさておき、つまりが、あなたが考えた通りに動かせるのですよ」
黒崎の言った通り、全く操縦した事の無い恭花にも、そのフライングユニットを容易に動かせた。
恭花「動く……私でも、戦えるんだ……」
黒崎「………単座型シュネルギアの開発中に出来た、偶然の産物ですよ」

黒崎「では、始めていただきましょうか」
そして、模擬戦が開始される。
トゥアレタ ナビゲートの傍ら、恭花の駆るアキレアの分析を続けていたが、急に声を上げ「こ、このスピードとパワー……シュネルギアとほとんど変わらないっ!?」

2〜3言、アキレアとの能力が互角であるという演出を行ったら、結末に移ること。

◆結末
その時、サイレンが響き渡る。
オペレータ「緊急事態!瑞穂基地より8時方向、距離2万に、エンジェルハイロゥ!総員、第一種戦闘配置!」

シーンに登場しているPCから一言ずつ貰い、シーンを切ること。

黒崎「………これは丁度いい。実戦データも、取って頂きましょう」
眼鏡の奥の瞳が、邪悪な光を点す。

 

●シーン6/出撃
シーンプレイヤーはPC3、ただし全員自動登場

◆解説
ヴィヴリオから、作戦について指示される。

◆台詞と描写
ブリーフィングルーム。
ヴィヴリオがディスプレイを見ながら、作戦を指示する。
ヴィヴリオ「天使共の軍勢は……指揮官の主天使1、ホイシュレッケ200」
ヴィヴリオ「PC1、4は各自得意な距離で天使を攻撃。PC2はその補助。PC3、彼らの補助を頼むぞ。……何か異存はあるか?」
北崎「三条少尉も出撃して頂きます。これは、ヤシマ陸軍からの命令でもあります。よろしいですね、三条少尉、ヴィヴリオ大佐?」
恭花 淡々と「勿論です」 だが、その瞳には、天使に対する憎悪の炎。
ヴィヴリオ 苦い表情を浮かべ「………了解した」 ヤシマ陸軍………いや、維馬篭の命令か、くっ………

各PCの台詞を貰ったら、結末に移ること。

◆結末
ヴィヴリオ「では、総員、出撃せよ!」
ホルテンに乗り込み、戦闘空域へと向かう。
だが、PC3、キミは胸騒ぎがする。
何事も無ければいいが。そう、何事も………。

 

●シーン7/エンジェライズ
シーンプレイヤーはPC3、ただし全員自動登場。

◆解説
恭花の乗ったフライングユニットが、天使化を開始する。

◆台詞と描写
戦闘空域に到達し、恭花のフライングユニット『アキレア』が一機出撃し、突出する。
恭花「天使共………私が……私が、みんな倒してやるっ!!」
雄叫びと共に、両手の対天使ブレード、両肩の対天使20mm機関砲、そして両翼の自動迎撃ジステム・ヴァルキュリアシュペーアを展開し………天使の群れの中に突っ込んでいく。
迫り来る天使共を、叩き斬り、穿ち、粉砕する。
黒崎「ほほう………想像以上に、素晴らしい戦闘能力だ」

だが………様子が、変わる。
ブレードに触れた天使が。
機関砲の弾丸に貫かれた天使が。
ヴァルキュリアシュペーアに切り裂かれた天使が。
………全て、塩の柱に変化して。

オペレータ「………三条少尉の体内エーテル濃度が、急激に上昇していますっ!天使化の可能性がっ!?」
黒崎 まるでそうなる事を予想していた様に「ふむ………やはり、設計に無理がありましたか」
黒崎「右足の装甲義肢のみでV機関を制御するには、エーテル循環の出力を、通常よりも過大にしなければなりませんからね」
黒崎「天使核を持たない者が、過大なエーテル流に晒されれば、天使化するのは自明の理」
黒崎「所詮あの少女は実験台、天使をあれだけ倒せたのですから、彼女も満足でしょう」
黒崎「おや、何か?力を求めたのはあの少女、私はそれを手伝っただけです。感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いは、無いと思いますがね?」

PC1の回答を貰い、結末に移ること。
尚、PLには、黒崎に対して何を言っても、彼が聞き入れることは無い、と言ってしまってよい。
ただし、《威厳》を受けた場合は屈服してもよいだろう。

◆結末
黒崎「ぐっ………わ、私を殴ったところで、あの少女が助かる訳では無いですよ?」 そう吐き捨て、気絶。
ヴィヴリオ「………黒崎特務中尉の身柄を拘束した上で、医務室に連れて行け」 背後の影に命じる。
影 無言で頷き、黒崎を拘束して運び出す。
ヴィヴリオ「………後手に回るな、相も変わらず………っ!」 苦々しく呟く。

ダーザイン5レベルを解禁する。

 

クライマックスフェイズ
●シーン1/ヘルメスの翼
シーンプレイヤーはPC1、ただし全員自動登場

◆解説
天使化を開始した恭花、そしてアキレアを破壊するシーン。

◆台詞と描写
アキレアは天使化を続け………その機体は羽毛に包まれる。
ヴィヴリオ 悲痛な声で「………まずい、このままでは………っ!」
ヴィヴリオ「三条少尉の天使化を、何としてでも食い止めろ!」

恭花を助けたい、とした場合は◆描写1を、助けないとした場合は◆結末2を読み上げる事。

◆描写1
オペレータから、全機に通信が入る。
オペレータ「三条少尉は、右足から天使化を開始しています!」
ヴィヴリオ「………右足………装甲義肢、か………。PC1!一撃で済ませ、やれるな!?」

PC1が最も得意とする、攻撃系の技能で福音を発生させれば、恭花を助けられる。
尚、武器の修正値は適応せず、ダメージ算出はしない。

福音が発生した場合は◆結末1、発生しなかった場合は◆結末2に移ること。

◆結末1
PC1の攻撃は、アキレアの内部の恭花の右足のみをピンポイントに破壊………
そして、恭花をアキレアの内部から救い出す。
だが、高濃度のエーテルに晒された恭花は、ひどく疲労していた。
恭花「やっぱり、私じゃダメなの……かなぁ……?」
恭花「戦争なんて、始まらなければよかったのに……」 ※LV5
恭花「………戻って、来たら………ちゃんと、お礼、言うから………」 そう言って、気絶する。

PC1の台詞を貰い、シーンを切ること。

◆結末2
アキレアをどうにか取り押さえ、内部から恭花を引きずり出す。
だが………高濃度のエーテルに汚染され、彼女は既に瀕死の状態だった。
恭花は、息も絶え絶えに、呟く。
恭花「やっぱり、私じゃダメなの……かなぁ……?」
恭花「戦争なんて、始まらなければよかったのに……」 ※LV5
恭花「………ごめんな、さい、PC1………」 そう言って、PC1の手を握り………息を引き取る。

PC1の台詞を貰い、シーンを切ること。

 

●シーン2/白銀の翼に希望を乗せて
シーンプレイヤーはPC2、ただし全員登場

◆解説
天使との戦闘である。

◆台詞と描写
場面はそのまま、戦闘空域です。
オペレータ「……大佐、天使の解析結果が判明しました!主天使ティアイエル、その名が意味するのは『未来』です!」
ヴィヴリオ 苦々しく「ステイツめ………毎度ながら、皮肉な名前の天使ばかり寄越しおって!」
ヴィヴリオ「三条少尉によって、ホイシュレッケは半減している、総員、残存勢力を殲滅せよ!」

位置は、ティアイエル ←500m→ ホイシュレッケ×5グループ ←1000m→ PC1・PC2・PC4 ←1000m→ PC3

主天使テイアイエル その名は『未来』を意味する。
肉体:30 感覚:20 理知:18 聖霊:15 階級:0
HP:70 負傷ゲージ 30/15/8/1
攻撃 オリハルコンの刃(射撃) 判定値:18 レベル:4 射程:2km ダメージ+12(軽) 全体攻撃
絶対結界 対天使武器以外無効・30点以下のダメージ無効
回避はしない

ホイシュレッケ/シュトゥルム
肉体:5 感覚:7 理知:6 聖霊:4 階級:0
HP:20 負傷ゲージなし
攻撃 かみつき(白兵) 判定値:10 レベル:4 射程:至近 ダメージ+10
回避 判定値:7 レベル:3
結界 対天使武器以外ダメージ半減
自動封鎖 エンゲージ封鎖

◆結末
天使は光となって霧散し、同時に、上空の天界の門が閉じていく。
瑞穂基地は、壊滅を免れたのだ。

※ エンディングフェイズについては、恭花が生存しているか否かによって、描写を適宜変更する事。
ここでは、恭花が生存している場合の描写を記す。

 

エンディングフェイズ
●シーン1/プライド・ドライバー or 取り戻した誇り
シーンプレイヤーはPC4

◆解説
相棒に気分を尋ねられる。

◆台詞と描写
凍「………………勝った」
凍「………………死んだ人たちは………戻ってこないけど」
凍「………………仇は、取れたと、思う」
凍「………………プライド、取り戻せた?」

PC4の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
凍「………………これからも、一緒に」
凍「………………頑張ろうね」
凍「………………戦士の、プライド……守る為に」
今までも、これからも。
相棒の凍と共に、空を駆ける。
戦士の、誇りを掛けて。

 

●シーン2/獅子身中の虫?
シーンプレイヤーはPC3

◆解説
ヴィヴリオから労われる。

◆台詞と描写
基地に帰還する途中、ヴィヴリオから極秘回線で無電が入る。
ヴィヴリオ「ご苦労だった、PC3。」
ヴィヴリオ「そうそう、黒崎中尉の件だが、開発局の人間が引き取りに来た。」
ヴィヴリオ くくっと笑って「恐らく……維馬篭中将の手の者だろう。大っぴらには出来ないが、これで一つ貸しが出来た、ということさ」

PC3の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
ヴィヴリオ 苦笑しながら「今の基地の内情は、味方の中にも敵がいるような状態だからな。いつまでも気を抜けない」
ヴィヴリオ「だが、今はそれでも、共に戦うしかないんだ。まとめ役という損な役回りを、キミにばかり押し付けて済まないが………よろしく頼むぞ、これからも」
その言葉からキミが感じるのは、絶大の信頼。

 

●シーン3/希望という名の翼
シーンプレイヤーはPC2

◆解説
恭花が今後どうするか、打ち明ける。

◆台詞と描写
あれから一週間後。
恭花が病院から退院し、キミの元にやってきた。
恭花 少し恥かしそうにして「あ、あの、PC2さん……助けてくれて、ありがとうございます」
恭花「………入院中、ずっと考えたんです。………戦う力を持たない、私に、出来る事を」
恭花「………私、義足を作る、職人になろうかと思うんです。」
恭花「戦う為の義足じゃなく、手足を失った人が、もう一度自分の力で、何かが出来る様に」
恭花「………私も、足を失った悔しさ、辛さを知ってるから………だから、誰かの為に、きっと」

PC2の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
恭花「私、頑張ります。………だから、応援して………くれませんか?」
そう言って、恭花は微笑む。
………全てを失った、あの日から、ずっと、無くしていた………笑顔で。

 

●シーン4/取り戻したもの、手に入れたもの
シーンプレイヤーはPC1

◆解説
恭花から励まされる。

◆台詞と描写
キミは、病院に恭花の見舞いに行く。
恭花「………PC1、助けてくれて………ありがとう」
恭花「……友達のこと、絶対に………忘れない。確かに、失ったものは多いけど……それで、手に入れたものも、あるから。」
恭花「私は、戦う力は無いから………私の分まで、頑張って欲しいんだ」

PC1の台詞を貰い、結末に移ること。

◆結末
恭花「頑張ってね………これからも、みんなの為に」
恭花「応援、してるよ」 そう言って柔らかい表情を浮かべて、右手を差し出す。

一度失った筈の友情。
だが……改めて、キミは恭花と友情を結べた。
取り戻したもの。
手に入れたもの。
それは、小さいけれど、とても意味のあるもの。
 

 

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