今回予告 主曰く、『復讐するは我にあり』。 復讐は神のもの、人は自分で復讐してはならない、と説かれている。 だが。 この身を焦がす怨讐の炎よ。 行き場のない憎悪よ。 復讐心の果てを、何とする。 ゆるせない、ユルセナイ、許せない、赦せない! ならば……復讐するは、我にあり。 神の名の下に下すこの報復は、正義。 ……本当に? エンゼルギア天使大戦TRPG 大罪篇 第三話 『V.A.R』-Vengeance,Avenge or Revenge?- septem peccata mortalia/ira 汝、己の罪と向き合わん。 (セプテム・ペッカータ・モルターリア/イラ) ハンドアウト PC1:ギアドライバー/ナビ:セラピア 先日、対反救世主神罰執行部隊アンチ・メサイア・パニッシャーズ、通称AMPのメンバーが引き起こした男女間の対立が色濃く残り、夏期特別クラスの雰囲気は良くない。 瑞穂中の教師だけでなく、基地内でも問題に上がる程だ。 そんな折、転校生の一人である瀬戸杏が、キミに話し掛けてくる。 対立に加わっていない彼女も、この状況を憂いているようだが、発言の真意はいったい…… シナリオダーザイン【瀬戸杏からの興味】 PC2:ギアドライバー/ナビ:紀央 キミは紀央の『時間切れ』から彼女を救った、紀央にとって命の恩人、いやそれ以上の存在だ。 ある日紀央が、何度占っても、セラピアの身辺に何やら危険が迫っている結果になる、と言う。 しかも、以前の諍いが再燃する、というではないか。 キミの脳裏に不安が過ぎる。 紀央の言う通り、勿論用心はするが……いざその時、自分達は間に合うのだろうか。 いや、間に合うか、ではない。必ず間に合わせる。 これ以上、仲間を失いたくないから。 シナリオダーザイン【司鏡紀央からの不安】 PC3:オフィーツィア キミはヴィヴリオから、AMPの調査及び対応を任されている。 AMPの構成員が、七つの大罪の悪魔の名を洗礼名とし、それに対応した能力を持つこと、そして夏期特別クラスを標的にしていることまでは判明したが、その他はいくら調べても情報が出て来ない。 その為に、対応も後手後手だ。 さりとて、何もかもを、誰彼構わず疑ってかかる訳にもいかない。 軍人であり教師でもあるキミにとっては、非常に頭の痛い案件だが……やるしかないのだ。 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 PC4:ソルジャー キミはギアドライバー達の護衛を兼ねて、瑞穂中の警備任務に従事している。 最近、またしても夏期特別クラスの様子がおかしい。 よくもまあ、次から次へとトラブルが起きるものだ。いかん、失言失言。 それはともかくとして、キミは安部瑠璃ことベリアルの協力の下、調査に乗り出した。 シナリオダーザイン【自己からの使命感】 ※ 注意書き ※ シナリオタイトルは『ブイ・エー・アール ヴェンジャンス、アベンジ・オア・リベンジ?』と読む。 本シナリオは、佐世保くんが今回のボスによって洗脳され、セラピアに向かって銃を向けるシナリオである。 佐世保くんへの仕打ちがあんまりだ、と思う人は回れ右して、参加を取り止めること。 参加しない自由もある。自由とはそういうものだ。 尚、作者は佐世保くんが嫌いだったり恨みがある訳ではない。 作者が桂が好き過ぎる為、桂のエピソードに絡む=辛い目に合ってしまう、それだけである。 また、AMPの面々について、今回の首謀者以外については、調べても何一つ情報が出て来ない。 複数話キャンペーンとして遊ぶ為に必要な処置なので、その辺はご容赦いただきたい。 オープニング シーン1 シーンプレイヤーはPC1 あの一件(好色&嫉妬のシナリオである『Honest Love』を指す)以来、クラスがギスギスしている。 ちょっとしたことでも口論や喧嘩が起き、非常に雰囲気が悪い。 そんな中、休憩時間に瀬戸杏が話し掛けてきた。 杏「みんな気が立ってるなー。まあ、あんな事あったら仕方ないか。人間関係、ぐっちゃぐちゃだから」 杏「人の心なんて、移ろいやすいもの。ちょっとしたことで、関係なんてすぐ壊れてしまう」 杏「そして、渦中から離れた無関係な人間は、傍観者として、それを眺めて楽しむ。人間なんて、そんなもんだよな」 杏「……アンタは、どっち側?」 シナリオダーザイン【瀬戸杏からの興味】 シーン2 シーンプレイヤーはPC2 キミは紀央と朝食を取りながら話している。 紀央「PC2様。今朝の易占い(えきうらない)で、気になる結果が出たんです」 紀央「六十四掛の離(火)の掛の21番、火雷噬ゴウ(からいぜいごう)。パルマコン様の身辺に、何か良からぬことが起きる、と」 ※ゴウ、の字は『口偏』に『去』の下に『皿』と書くが、表示出来ないのでカタカナで表記している。 紀央「例えるならば、鎮火した筈の火が、実際にはまだくすぶり続けていて、再び燃え上がって業火となる」 紀央「何度やっても同じ結果なので、さすがに見過ごせなくて」 紀央「何を指しているのか、までは分かりません。でも、PC1様にもお伝えして、注意された方が良いと思います」 シナリオダーザイン【司鏡紀央からの不安】 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 キミは授業の合間にヴィヴリオに呼び出され、瑞穂基地とテレビ電話をしている。 ヴィヴリオ「今までの経緯から鑑みるに、夏期特別クラスが狙われているのは間違いないだろう」 ヴィヴリオ「だが、相手も曲者揃いのようで、なかなか尻尾が掴めんな」 ヴィヴリオ「……夏期特別クラスを解散させるべきだ、という意見もあるが……私は反対だ」 ヴィヴリオ「ギアドライバー達の、日常との接点。それを無くすわけにはいかん。守るべき日常があることを、意識させるのが重要だからだ」 ヴィヴリオ「お前に頼みがある。夏期特別クラスの生徒達の、メンタルのケアを頼む」 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 シーン4 シーンプレイヤーはPC4 キミは用務員室で、瑠璃と話し合っている。 瑠璃「どうやら校内に、合衆国の工作員が潜入しているようだね」 瑠璃「普通に考えれば、転入生たちが怪しいんだけどね。身辺を洗っても、何も出て来やしない」 ※PLに質問されたら、シナリオの都合です、とぶっちゃけてしまって良い。 瑠璃「ただね……子供達のメンタルが心配なんだ。多感な年齢だから、多少の諍いはよくあることだろう。でも、こう何度も続いてはね……」 瑠璃「そうだね。これまでの事から考えるに、今回も対応は後手だろう。だけど、状況が悪化しないようにするのは、決して無駄じゃない筈だ」 瑠璃「勿論、ボクも手伝うよ。乗り掛かった舟、だからね」 シナリオダーザイン【自己からの使命感】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC3、PC4自動登場、PC1とPC2の登場は不可 ヴィヴリオが夏期特別クラスの状況を憂うシーン ヴィヴリオ「皆も分かっていると思うが、現在夏期特別クラスの運営に支障をきたす状況となっている」 ヴィヴリオ「先日の、対反救世主神罰執行部隊アンチ・メサイア・パニッシャーズの謀略により、男女間の対立が発生し、険悪な状態だ。医師によるカウンセリングを行っているが、ケアが完全に行き届いている訳ではない」 ヴィヴリオ「だが、夏期特別クラスは今まで通り継続する。……このままの状態で、生徒達を放り出す訳には行かん」 ヴィヴリオ「PC3には負担をかけて済まないが、生徒達を気にかけてやってほしい」 ヴィヴリオ「そしてPC4、潜入者の調査を引き続き行ってくれ。傍から観察することで、敵の動向が分かるかも知れん」 ヴィヴリオ「面倒な仕事を押し付けているのは承知している。すまないが、よろしく頼む」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC2、PC1自動登場、PC3・PC4の登場は任意 佐世保進と会話するシーン、セラピアはこのシーンには不在である。 佐世保「……キミ達はいいよな。シュネルギアで敵と戦えて、遠山先輩の仇が取れて」 佐世保「僕もシュネルギアに乗れればなあ。……君、何か伝手とかない?」 佐世保「そりゃそうだよな。悪い、変な事言って」 去って行く佐世保の後ろ姿に、紀央が呟く。 紀央「シュネルギアに乗れることが、幸せになれるとは、限らないんですが……今の佐世保さんにそうお伝えするのは、逆効果、でしょうね」 紀央「わたしは……どうなんでしょうか。一度死んだが故に、ナビゲーターとなることを強制され、でも、あなたと出逢えた。そして再び死にかけたのを、あなたに救ってもらったから、今、わたしはここにいられます」 紀央「禍福は糾える縄の如し。とても一言では、言い表わせません。あなたへの感謝なら、いくらでも伝えられますけども」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 マスターシーン 佐世保「はぁ……シュネルギア、乗りたいなあ」 独り言を呟きながら歩く佐世保に声を掛ける、杏。 杏「佐世保。どうしてシュネルギアに乗りたいんだ?」 進「あ、瀬戸さん。……うん、初恋の人の、仇が討ちたいんだ」 杏「……ちょっと詳しく、聞かせてもらってもいいか?」 杏の目が一瞬、妖しく輝いた。 杏は仇の話を聞き出す為、《妬む神》を佐世保に対して使用。 佐世保は、初恋の人である遠山桂が天使化し、セラピアによって“処理”されたことを杏に話した。 杏「それは……仇討ちの相手は、天使じゃなくて……パルマコンじゃないのか?」 杏は本シナリオオリジナルの災厄《怨讐の炎》を使用。佐世保の憎悪をかき立て、復讐者に仕立て上げる。 佐世保「そうか……そうだよね……やっぱり、僕は、彼女が許せない!」 杏「そうとも、神お赦しになる、君の行いは正義だと。罪を犯した者には、罰を与えないと。……フフフ」 →情報項目『佐世保進の復讐心』追加 シーン4 シーンプレイヤーはPC4、他PCの登場は任意 佐世保進の様子が最近おかしい、と瑠璃から忠告されるシーン キミは瑠璃に、校舎裏に呼び出された。 瑠璃「PC4、ちょっといいかな」 瑠璃「夏期特別クラスなんだけど、全体的には落ち着いてきたようだよ。ただ……ちょっと気になる生徒がいてね」 瑠璃「佐世保進、という生徒なんだけど、知ってるかい?どうも最近、セラピアの後を尾行してるみたいなんだ」 瑠璃「気になる、というのはね。彼は……セラピアが遠山桂を『処理』したことを非難した生徒の一人なんだ」 瑠璃「杞憂であればいいけれど、セラピアに復讐を考えてないか……心配でね」 瑠璃「だからキミにも、可能な限り彼に目を光らせてほしいんだ」 瑠璃「ボクもある程度は監視するけど、何せボクは瑞穂基地全体を動かしてるだろ?彼一人にリソースを集中させられないんだ」 瑠璃「済まないけど、よろしく頼むよ。報酬は……そうだね、事件が解決したら、ボクとデートしようじゃないか」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 シーンプレイヤーはPC3、全員登場 情報収集シーン 情報項目は『佐世保進の復讐心』『瀬戸杏』の二つである。 『佐世保進の復讐心』 《情報処理》〈事情通〉〈話術〉〈軍略〉難易度3 彼の想い人である遠山桂は、エーテル濃度が非常に高い状態で出撃し、戦場で天使化を開始。 放置すればマスケンヴァル現象を起こし基地が全滅する為、命令通りセラピアは桂を『処理』……すなわち射殺した。 その事実はすぐに一般クラスの生徒達の知る所となり、結果セラピアは、佐世保進を含む一般クラスの生徒数名に糾弾された。 その後両者は和解するが、だが、頭で理解していても、本心は納得出来る筈もない。 忘れるには、あまりにも時間が短過ぎた。 その心の隙を、杏は突いた。 進の、セラピアに対するわだかまりを歪め、極限まで悪意を増幅し、殺意を持つよう仕立て上げたのだ。 『瀬戸杏』 〈情報処理〉〈事情通〉〈軍略〉いずれかで難易度3 対反救世主神罰執行部隊アンチ・メサイア・パニッシャーズ、通称AMPの一人、『憤怒』を司る“サタン”、瀬戸杏。 杏は佐世保進に対し暗示をかけ、セラピアを殺害するように仕向けている。 これは、本シナリオオリジナルの災厄、《怨讐の炎》の効果によるものである。 《怨讐の炎》 対象:単体 射程:至近 効果:対象のどんなに些細な憎悪でも、極限までその憎悪を膨れ上がらせ、相手を殺害するしかないと思い込ませる。 この災厄は、復讐を果たすまで、すなわち進本人がセラピアに向かって引鉄を引くか、あるいはPCが杏を殺すかしない限り、解除できない。 《ルベン》《ナヘル》では解除出来ない。 ただし、進が引鉄を引く直前に、下記の行動が可能。 ・『セラピアをかばう』 かばったPCは自動的にダメージを受けるが、セラピアは無傷 ・『〈回避〉難易度7に成功する』 成功した場合はダメージなし。失敗した場合、セラピアが怪我する ・『〈格闘〉難易度7に成功する』 成功した場合、組み付いて銃口を明後日の方向に向けることが出来、ダメージなし。失敗した場合、誤射により〈格闘〉を試みたPCかセラピアのいずれかに[差分値+1]点のダメージが発生する。 PCかセラピアかはダイスで決める。※奇数がPC、偶数がセラピア この一連の判定は、PCいずれか一人が挑戦出来る。 つまり、如何にしてセラピア自身に危害が及ばないようにするか、が重要である。 セラピアが怪我した場合、セラピアはクライマックスの戦闘に参加出来なくなる(PC:セラピアのナビゲーター修正がなくなる)。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 シーンプレイヤーはPC:セラピア、全員登場 セラピアの身辺警護・監視を務める情報将校から、彼女の周りを佐世保が付きまとうようになった、と報告を受ける。 そして、ついにその時は来た。 慣れない手つきで、拳銃をセラピアに向けて構える佐世保。 佐世保「お前のせいで……お前のせいで、桂さんが!」 セラピア「……そりゃ、そうだよね。表面上は許してても、心の中ではずっと、ボクを怨んでるよね。……いいよ、撃ちなよ。それで、キミの心が晴れるのなら」 紀央「パルマコン様!?」 懐から符を取り出そうとする紀央。 セラピア「紀央ちゃん、手を出さないで。これは、ボクと、進ちゃんの問題、なんだよ」 紀央「ですが……!」 ここで判定を行う。 一連の判定が終わった後 佐世保は拳銃を落とし「ぼ、僕は、何てことを……」  セラピア「……洗脳、されてたんだよ、多分」 セラピアが無事だった セラピア「ありがと、(PC)ちゃん。身を挺して、かばってくれて」 セラピアが撃たれた セラピアは撃たれた左腕を押さえながら「……大丈夫。これくらい、痛くない。桂ちゃんや、進ちゃんの受けた痛みに比べれば、ボクの怪我なんて、大した、ことじゃ、ない」 PCが無事だった場合、下記の台詞を追加する。 セラピア「何にせよ、キミが、無事で、良かったんだよ……」 佐世保「あ、あ……」 セラピア「……進ちゃん、キミは、悪くない。悪いのは、キミの気持ちにつけ込んだ、誰か」 セラピア「ボクが、許されない罪を犯したことに、変わりはない。犯した罪への罰は、受けなきゃ、だから……」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン7 マスターシーン 瑞穂中の裏山。 杏が召喚陣を発動し、フーファイターを召喚する。 杏「成功とは言えないけど、成果は間違いなくあった。ギアドライバーの連中に揺さぶりをかけられただけでも充分だ」 杏「……でも、これ以上誰かを煽るのは無理だな。最後は力尽くで、か……」 杏「愛莉と明日香の二人がかりで勝てなかった相手に、アタシ一人で?無謀もいいとこだ」 杏は自嘲しながら「ハハッ、ナンセンスだな。そんなんで止まれるくらいなら、はなっから何もしないだろ?」 杏「……アタシの怒りは止められない、誰にも」 杏はフーファイターに乗り込み、更に召喚陣を展開。 帝都からホイシュレッケを呼び寄せ、瑞穂市へと殺到させる。 シーン8 シーンプレイヤーはPC4、全員登場 瑞穂市内にまたもフーファイターが出現する。 キミ達はフーファイター出現の知らせを受け、司令室へと集合した。 ヴィヴリオ「瑞穂市内にて天使反応が検出され、フーファイターが出現した。恐らく、AMPの瀬戸杏だろう」 ヴィヴリオ「また、帝都方面からホイシュレッケの大群が、瑞穂市目掛け飛来している。工作員が市内に潜入している以上、後れを取るのは致し方ないが……」 ヴィヴリオ「奴を放置すれば、市民たちは些細な事から憎しみ合い……すぐさま、殺し合いへと発展するだろう。そのような事態は、阻止しなければならない」 しれっといる瑠璃「それはそうさ。いくら世紀末とは言え、そんな無法の暴力が支配する世界なんて、誰も望んでいないからね」 ヴィヴリオ「……その通りだ。現在、帝都、九嶺、隼雄が呪法弾道ミサイルにより陥落、太平洋上のギガプラント二号棟が消失した事実は、軍による報道管制によって、一般人には未だ伏せられた状態だ。もしそれらの情報が少しでも洩れたら、世情は一気に不安定になる」 ヴィヴリオ「そんな状態では、誰かが悪意をもって扇動すれば、暴動なんてすぐ起きる」 ヴィヴリオ「奴の能力ならば、その程度造作もないだろう。治安維持を考える上で、最も危険な相手だ。故に、これ以上何かされる前に、排除する必要がある」 ヴィヴリオ「奴を決して逃すな。必ず確保しろ。……この際、生死は問わん。だが」 ヴィヴリオ「手を下すのはPC3、PC4、お前達だ。子供達にこれ以上、手を汚させる訳にはいかん」 ヴィヴリオ「PC1、PC2、お前達の手は、未来を掴む為にあるものだ。人を殺す為のものではない」 クライマックスフェイズへと移行する。 ここのエモーションで全ダーザインのオープンアップ、レベル5への上昇を許可する。 クライマックスフェイズ キミ達は、杏の駆るフーファイターと対峙している。 杏「撃っていいのは、撃たれる覚悟の出来ている奴?知った事か!」 杏「アンタ達はあたしたちからみんなを奪った。なら、復讐するのは当たり前だろ!?」 杏「アンタ達だって同じだろ?。これは戦争、どっちが先に始めたも何もない。理不尽なんだよ、戦争って奴は!」 ボスデータは、エンドレスサマー掲載のフーファイターを使用する。 ただし【HP】を+100する。 フーファイターの撃破後、杏の処遇を決めたらシーンを終了する。 エンディングフェイズ シーン1 マスターシーン AMP本拠地の一室。 凛「杏ちゃんも駄目だったかあ……やっぱやんなきゃ駄目?」 凛「そろそろ、撤退を考えた方がいいと思うんだよねー」 瑠衣「……法王聖下の命令は、絶対だから」 凛「……ん、分かった。言ってみただけ」 凛「じゃあ適当にやってくるから、後よろしくー。まあ当てにはしないでねー」 瑠衣「……うん、お願い」 凛を見送ってから 文「瑠衣、顔色悪いけど……大丈夫?」 瑠衣「流石に、立て続けに4人も仲間いなくなると……堪える、ね」 文「……そうだね」 沈痛な表情の瑠衣と文。 杏の言っていた通り、これは戦争。 理不尽なのは、頭では分かっていても……心が受け入れられるとは、限らない。 シーン2 シーンプレイヤーはPC4 ヴィヴリオとヴィヴリオBの過去について、瑠璃が話すシーン。 キミは瑠璃と喫茶店パッヘルベルに来ている。 瑠璃がどうしても行きたい、と言って、ヴィヴリオに無理やり認めさせたのだ。 瑠璃「一度来てすごく雰囲気が良かったから、キミと一緒に来たかったんだ」 瑠璃「ところで、ちょっと前に話したことなんだけど」 瑠璃「ボクの存在自体が、ヴィヴリオを過去に縛り付ける呪縛、って言ったのを覚えているかい?」 瑠璃「あれは比喩でも何でもない。……ボクは、ヴィヴリオがかつて失った半身なんだ」 瑠璃「話は60年以上前に遡る。ボクとヴィヴリオは、ノルトラントの第三研究所、ああ、マスケンヴァル事件の起きた地と言った方が分かり易いかな。そこでとある純血の天使をクローニングした、成功例の二人。だから、ボクはヴィヴリオと双子みたいなものさ。とは言え、その事実を知る者自体、ごく少数だったけれど」 瑠璃「昔はクローン技術が今ほど発達してないからね。クローンは数多く作られたけれど、成功したのはヴィヴリオとボクの、二人だけだった」 瑠璃「まあノルトラントで何があったかは、あんまり言いたくないから割愛させてもらうけど、ボクはヴィヴリオの代わりに天使核を摘出された」 瑠璃「その後ボクの天使核をヴィヴリオは持ち出し、紆余曲折を経て、瑞穂基地地下にある巨大霊素頭脳ベリアルのコアとして、ボクの天使核を使った。まあ、まさか勝手に身体を用意して出歩く、なんてことは予想してなかっただろうけどね」 瑠璃「だから……ボクの存在自体が、ヴィヴリオにとって、ノルトラントでの出来事を否応なく思い出させてしまう。呪縛、というのは、そういうことさ」 瑠璃「ちなみに研究所なんだけど、色々あってラルフ・マスケンヴァルという、人造救世主として造り出された男によって壊滅した。天使化の際のマスケンヴァル現象は、その壊滅の際の現象及び、その男の名前から取られている」 瑠璃「……そして、ラルフ・マスケンヴァルは、合衆国の現法王。何故そうなったのかは、誰にも分からない」 瑠璃「ちなみにセラピアの母親のエクリシア、そして雛子の母親の東雲光子も、ノルトラントの関係者さ。つまりが、この天使大戦は、60年以上前からの因縁が、ずっと続いている」 瑠璃「なんでこんな事をキミに話したか、って?それはね。キミに、ボクの共犯者になって欲しいんだ」 瑠璃「ヴィヴリオを過去から解き放つ為に、ボクに協力して欲しい」 瑠璃「……ありがとう。キミを見込んだ甲斐があったよ」 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 ヴィヴリオと佐世保進の処遇、また夏期特別クラスの継続について会話するシーン。 ヴィヴリオ「佐世保進……彼は軍の病院に、処置入院してもらうことになった。本人の希望があり、また家族の承諾も得ている。表向きは、軍事行動に巻き込まれた為の入院だ」 ヴィヴリオ「彼は洗脳されていたとは言え、他者に銃を向け、殺害しようとした。……大元の原因は、我々にある。だから、彼の治療は、我々が責任もって行わなければならない」 ヴィヴリオ「また、夏期特別クラスだが……このまま継続する。彼のたっての願いでもある。ようやくクラスが元に戻りつつあるのに、自分のせいでまたおかしな関係に戻ってしまうのは嫌だ、とのことだ」 ヴィヴリオ「それに、一般生徒との交流を続けさせ、特別クラスの面々に、日常を守る、ということを強く意識させる為にも、夏期特別クラスは必要だ」 ヴィヴリオ「そしてもう一つ……AMPの連中の計略への囮としてもな。今回も充分に、囮としての役割を果たしてくれた。無論、代償はそれなりにあったとは言え……必要な代償だ」 不意に現れた瑠璃「ヴィヴリオ。維馬篭みたいなこと言ってる自覚、あるかい?」 ヴィヴリオ「何?……それは拙いな。効率を求めるあまり、人の心を失う所だった」 ヴィヴリオ「いや……大して変わらんか。どう取り繕ったところで私は、子供達に戦いを強いる外道なのだから」 シーン4 シーンプレイヤーはPC2 紀央と事件解決を安堵し合うシーン。 キミは紀央と一緒に夕食を取っている。 紀央「パルマコン様にお怪我がなくて(大きな被害が出ず/軽傷で済んで)、何よりです」 紀央「パルマコン様が、撃たれることを良しとした時は、どうなるかと思いましたが……」 紀央「……人の心は、脆いものです。一度ヒビが入ってしまえば、二度と元には戻りません。そして、未練、というものは、長く尾を引くもの。それが、亡くなった方への未練なら尚更です」 紀央「その未練を突かれて、どうして抗えましょうか。わたしも、もし今あなたを失ったら、と思うと、正気でいられる自信は全くありません」 紀央「だってあなたは、わたしが一度諦めたもの全てを、取り戻して下さいました。その時から、一生かけてでも御恩をお返しする、って決めたんです」 紀央「一人では力及ばずとも、あなたと二人で力を合わせれば何とかなると、わたしは強く信じてます」 シーン5 シーンプレイヤーはPC1 セラピアと会話するシーン。 場所は無傷なら基地の休憩室、怪我をしていれば病室となる。 セラピア「……我ながら無茶したなあ、って反省してるとこなんだよ」 (怒られた) セラピア「うう、ごめんだよ。今後はもっと自分のこと、大事にするんだよ」 セラピア「この前散々、キミがボクの全てとか運命そのものだ、なんて言ってたくせにね。命を投げ出すような真似して、ごめんね」 セラピア「進ちゃん、大丈夫かなあ。あんまり思い詰めてなければいいんだけど……」 セラピア「進ちゃんは、ボク達とは違う。普通の人は、人を殺す覚悟なんて、ない方がいいに決まってる」 セラピア「ところで敵性言語である合衆国語の、復讐を意味する単語に、Vengeance、Avenge、Revengeっていうのがあるんだけど、知ってる?」 セラピア「ヴェンジャンスは広義での復讐。アベンジは正義感による復讐。リベンジは個人的な恨みによる復讐。AMPの杏ちゃんは多分、進ちゃんに『これはアベンジ、正義の行いだ』って囁いたんじゃないかな」 セラピア「だけど、例え進ちゃんの心が悪意で捻じ曲げられていたとしても、ボクが桂ちゃんを殺したのは事実だから……進ちゃんには、ボクを非難するに正当な理由があった」 セラピア「だから、ボクには何も言えなかった」 セラピア「はぁ……桂ちゃんのばかー」 セラピアはぽろぽろと涙を零す。 セラピア「世紀末覇王ならなあ、こんなに苦しいなら愛などいらぬ、って言えるんだけどなあ。生憎、ボクは……」 そう言ってPC1の顔を見て「キミと、出逢っちゃったからなあ」 そして、彼女は泣き顔のまま、笑った。 メモ書き 憤怒 憤怒:瀬戸杏←→慈悲:紀央 ただし、シナリオの中心になるのはセラピア