今回予告 紫音が届けた手紙 それは既に故人である兄からの手紙 その日から伊音は鬼気迫る表情で訓練する かと思えば、年相応の少女の振る舞いをする彼女 何かが、おかしい。 エンゼルギア天使大戦TRPG 『天国より愛をこめて』 何が正しくて、何が間違っているのか PC1:ギアドライバー/ナビ:伊音 キミのパートナーである草薙伊音の様子がおかしい。 先日、妹の紫音から手紙を受け取ってからだ。 彼女に、それとなく聞いてみなければ。 シナリオダーザイン【草薙伊音からの戸惑い】 PC2:機械化兵 キミの部隊はフーファイターを殲滅したが、直前にパイロットは脱出した。 脱出したパイロットは発見出来ず、また何か事件が起こるのは間違いないだろう。 シナリオダーザイン【自己からの不安】 PC3:ギアドライバー/ナビ:紀央 キミのパートナーである紀央が、伊音の様子がおかしいと相談してきた。 彼女曰く、まるで二重人格のような振る舞いだ、と。 何か良からぬことが起きている、キミはそんな気がしていた。 シナリオダーザイン【司鏡紀央からの不安】 PC4:八坂機関所属の情報将校 キミは八坂機関に所属し、瑞穂基地に派遣されている情報将校だ。 キミは維馬篭から、草薙紫音を瑞穂基地に送るよう命じられた。 シナリオダーザイン【維馬篭代胤からの信頼】 ※1:本シナリオは、天使との戦闘はありませんが対人戦闘が発生、あるいは戦闘自体発生しない可能性があります。 ※2:本シナリオはJ.S.S-3『機械仕掛けの聖女』とJ.S.S-R29『STAINLESS NIGHT』の日程に、意図的に合わせています。 ※GMへ 本シナリオはシナリオクラフトのテンプレート『草薙伊音奮戦記』の[実家からの手紙]を元に、偽者の伊音(合衆国の完全機械化兵が変装した姿)を出して伊音が二人いる構成にしたシナリオである。 オープニングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC4 キミは八坂機関に所属し、瑞穂基地に派遣されている情報将校だ。 7/19。キミは維馬篭から八坂機関まですぐに戻るよう連絡を受けた。 維馬篭「わざわざお呼び立てしてすいません。貴方にお願いがあります」 維馬篭「草薙のご令嬢を、瑞穂基地に送り届けて欲しいのです」 維馬篭「何でも、大事な用があるとの事で……家人に手空きの者がおらず、私を頼ってきたようです。詳しい話は聞いていませんが。私が直接行く訳には行きませんしね」 維馬篭「では、頼みましたよ」 キミは草薙家に赴き、紫音を連れ瑞穂基地に戻った。 シナリオダーザイン【維馬篭代胤からの信頼】 シーン2 シーンプレイヤーはPC1 7/19。伊音の元に、紫音が急にやって来た。 伊音「紫音どうした、急に?」 紫音「書庫の本棚から、理音兄様の、姉様宛ての手紙が出て参りまして……」 伊音は理音兄様、という言葉を聞いて顔をしかめる。 伊音「そう、か……わざわざすまない」 それからというもの、伊音の様子がおかしい。 伊音「……すまない、もう少し心の整理が出来てから話す。今は……少し、放っておいてくれないか」 シナリオダーザイン【草薙伊音からの戸惑い】 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 7/20。フーファイター率いる天使の一軍と交戦し、キミ達の部隊はこれを殲滅した。 部下「隊長、脱出したパイロットの反応、レーダーからロストしました。恐らく、ステルスで行方をくらましたものと思われます」 部下「引き続き捜索を続けますが、山狩りで見つかるかどうか……」 部下「不審な人物を発見次第、報告します。隊長は一度帰還して下さい」 キミの部隊はフーファイターを殲滅したが、直前にパイロットは脱出した。 脱出したパイロットは発見出来ず、また何か事件が起こるのは間違いないだろう。 シナリオダーザイン【自己からの不安】 シーン4 シーンプレイヤーはPC3 7/22。紀央が、伊音の様子がおかしいと相談してきた。 紀央「最近の伊音様、何か変です。何か鬼気迫るものを感じたかと思えば、日向でぼぉっとしていたり。ここのところ、色々なことがあり過ぎて、疲れていらっしゃるのではないでしょうか」 ※シナリオの日程的にも、この前後はT−Xが来たりトゥアレタの暗殺未遂があったりと色々立て込んでいる 紀央「殺人的な訓練をなさる伊音様と、日向ぼっこしてる伊音様。同一人物とは思えない素振りで……あれではまるで、二重人格者です」 紀央「本人に伺っても、戯言を聞いている暇はない、と言われてしまいまして……」 何か良からぬことが起きている、キミはそんな気がしていた。 シナリオダーザイン【司鏡紀央からの不安】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC4、他PCは任意 7/22。キミは朝、伊音が白いワンピースに身を包んで出掛けていくのを見かけた。 その後、剣道場で一心不乱に剣を振るう伊音を目撃する。 伊音「私は朝からここにいたが……」 伊音「確かに、白いワンピースなら持っているが……着て出掛けたことはほとんどない」 伊音「誰かと勘違いしたんじゃないか?幻を見た、と言うなら、羽村の所に行くことを勧める」 伊音「……私はもう少し、訓練していくつもりだ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC3、全員登場 今日の訓練は長距離走だった。明らかにペースを上げ過ぎで、かなり荒い息の伊音。 息を整えたかと思うと、彼女は再び走り出す。 終了後、更に自主練を始めようとする伊音を、紀央が諌める。 紀央「伊音様、明らかにオーバーワークです。ちゃんと休むのも大事です」 紀央の手渡そうとしたタオルを払いのける伊音。 伊音「分かっている、分かっている!だが……私は、強く、強くならなければならないんだ!」 伊音はすぐさまバツの悪そうな顔をして「……すまん、少し頭を冷やしてくる」 紀央「やっぱり、様子がおかしいです。わたしはこの前聞いても、駄目でしたから……PC1様なら、少しは話してくれると思います。悩みを聞いてさしあげて下さい」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC1、他PC登場不可 7/22。紫音から手紙を受け取ってから、伊音の様子がおかしい。 毎日のように、殺人的な訓練に身を置いている。 まるで、死を望んでいるかのように。 伊音「あの手紙のことか?あれは、死んだ兄が生前に書いたものだ」 伊音「……兄は、私が殺した」 伊音「…………比喩ではない。草薙の家は、最強の者が継ぐ。兄は、病弱で、本が好きな人だった。それでも、長男であったから、私と立ち合わねばならなかった。……真剣で」 伊音「結果は、わかるはずだ。一太刀だった」 伊音「だから私は、強くならなければならない。兄を殺した手で、愛する祖国を守るために」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 7/23。 今日は訓練だが、伊音は体調でも悪いのか、座って見学している。 ※ここの伊音は偽者であるが、この時点でそれをPLに伝える必要はない。 アクシア「伊音、ここ最近無理しすぎなんじゃないの?」 伊音「昨日?ああ、そうだな……昨日の疲れが出たのかも知れないな」 伊音「少し休めば回復すると思う。すまないが、医務室に行ってくる」 紀央「PC1様、昨日、伊音様に何かありましたか?わたしの記憶が確かなら、合同訓練以外、外出されていたと思います」 アクシア「あれ?おっかしーわねえ、アタシは伊音から剣道場の丸一日の使用許可の申請受けて、ほぼ一日中剣道場にいたって聞いてるけど」 紀央とアクシアの意見が食い違っている。何かがおかしい。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 7/24、G3統合司令室。 ヴィヴリオ「基地内に、微小ではあるが天使の反応が見られる」 ヴィヴリオ「桂の一件とトゥアレタの一件がようやく片付いたと思った矢先にこれだ。合衆国の連中は、我々に休ませるつもりは全く無いと見える」 ヴィヴリオ「先日撃墜したフーファイターのパイロットが潜入しているのかも知れん。警備の強化もさることながら、各自、警戒するように」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 シーンプレイヤーはPC4、他PC登場不可 7/24。キミは、維馬篭から呼び出しを受けた。 維馬篭「伊音君の様子がおかしい、という話を耳にしました」 維馬篭「……草薙家の者からそれとなく話を聞いたところ、どうやら伊音君の兄上の手紙が原因のようですね」 維馬篭「中身までは知りませんが……伊音君は、己の兄である理音君を、自らの手で殺しています」 維馬篭「草薙の剣は一子相伝。最強の者が剣を、家を継ぐ習わしです。血の繋がった兄妹であろうと、後継者として選ばれるのは、後継者候補同士の戦いに生き残った勝者のみ」 維馬篭「恐らくは、その辺の話絡みでしょうが……出来れば、何かしらフォローしてあげて下さい」 維馬篭「伊音君がここで役に立たなくなるのは、私としても不本意でしてね」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 シーンプレイヤーはPC3、他PC任意 紀央と会話 紀央「伊音様のご様子、やっぱり変です。日を問わず剣道場に入り浸り、限界まで訓練してたかと思えば……平然とした顔で、白いワンピースで出歩いていらっしゃるのを見かけます」 紀央「体力の限界まで訓練しているとかではなくて、こう……別人、みたいな……顔つきも、ワンピース姿の伊音様は穏やかですし……」 紀央「伊音様の姿をした別人が紛れ込んでいるのかも?もしかしたら、その方が、フーファイターのパイロットかも知れません」 紀央「PC3様、何か悪いことをする前に、捕まえましょう!」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン7 シーンプレイヤーはPC2、PC1は登場不可、他PCは任意 基地の警戒中、ワンピース姿の伊音に行き合う ※この伊音は偽者であるが、それをPLに伝える必要はない。 伊音「どうした?何か珍しいものでも見たような顔をして」 伊音「訓練か?何、気晴らしに少し散歩にでも行こうかと思ってな。あまり集中し過ぎるのも体に毒だ」 ここ最近、殺人的な訓練に身を置いていた者とは思えない物言いだ。 伊音?「バレてしまっては仕方がない。まだ捕まる訳には行かないからね、ここは逃げさせてもらうよ」 PCが捕まえようとした場合、《高速戦闘モード》を宣言して脱兎の如く逃げ出し、追い付けない。 《リミッター解除》して追い掛ける、という場合、剣道場まで追い詰めた、としてシーンを終了すること。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン8 シーンプレイヤーはPC1、他PC登場不可 キミは伊音に、話があると剣道場に呼び出された。 伊音「この前の……兄の話だがな」 伊音「……私はあの時、斬られるつもりだった。理音兄様を殺したくなどなかった」 伊音「だが、刀を握ったら、死にたくない、そう思ってしまった。そして、気がついたら、兄様をこの手で……」 伊音「手紙には、こう書いてあった。兄様は病で、余命いくばくもないのだと。だから私に、後継者になって欲しい、と」 伊音「私は、兄様の気持ちにも気付かず、ただ恐怖に駆られた臆病者だ……」 (ダーザインが4レベル以上) 伊音「……そうだな、お前がいれば、私はまだ、戦える。お前を守るため、兄様の想いを継ぐため……それが、唯一の償いだから」 会話を終えたら以下の描写を読み上げ、シーンを終了する。 そこに、ワンピース姿の伊音が剣道場に入って来た。 彼女は本物の伊音と目が合い……「あちゃあ……」と呟き、気まずそうに頭を掻いた。 クライマックス シーン1 シーンプレイヤーはPC1 遂に伊音本人と鉢合わせる、擬態した天使。 伊音?「彼女の行動パターンから、時間をずらして行動していたつもりだったけど……失敗しちゃったか」 伊音「貴様は誰だ!」 伊音?「……私は、コードネーム、アンブリエル。合衆国より遣わされ、潜入した完全機械化兵」 アンブリエル「仮の姿を彼女にしたのは、偶然だけど……私は、キミ達が羨ましいな」 アンブリエル「色々と聞き回った結果分かったことだけど、キミ達には、お互いを認め合える存在がいる。私はただの道具で……キミ達に触れて、それを知った。そこで、提案なんだけど……その場所を、私に譲って貰えないかな?」 伊音「……もう少し前だったら、首を縦に振っていたかもな……。だが生憎、ここはそう易々とは渡せん。私が強くある為には、PC1に居て貰わねば……困るんだ。……そう、約束したしな」 アンブリエル「彼女とは同じ顔なんだし、それにキミが望むなら、私はなんだってしてあげる。違う顔の方が好みなら、好きな顔に、好きな体型にも変えられるよ?私は、変装、潜入工作に特化して作られた完全機械化兵だから」 アンブリエル「ダメ、か……まあ、元々ダメ元で聞いてる話だからね。どうせ、このまま帰ったところで、役立たずは処分されるだけだし。所詮、私は使い捨ての道具だから」 アンブリエル「私は……十把一絡げの使い捨てじゃなくて、誰かの誰かになりたかった、ただそれだけ」 アンブリエル「どうする?私にはもう、キミ達と戦う以外に選択肢が無いけど」 アンブリエルと戦いますか? はい/いいえ はい 対人戦闘となる。 HP:100 負傷ゲージ:なし 【肉体】25【感覚】12【理知】15【聖霊】10【階級】3 攻撃:コンバットナイフ 白兵20 技能レベル3 射程:至近 ダメージ+3 攻撃:マシンガン 射撃22 技能レベル4 射程:150m ダメージ+8 対象:範囲、同一エンゲージに射撃不可 回避22 技能レベル4 《高速戦闘モード》 いいえ アンブリエルの脳内にある通信機及び脳内爆弾の破壊が必要になる。 《整備》《情報処理》《エーテル》いずれかの技能での難易度99の判定に2回成功する必要がある。これは同一のPCでなくて構わない。 通信機の破壊の判定に失敗、あるいは判定しない場合、戦闘となる。 脳内爆弾の破壊の判定に失敗、あるいは判定しない場合、爆弾が爆発してアンブリエルは死亡する。 両方の判定に成功した場合、名目上アンブリエルを殲滅した、という事になり、仲間に引き入れることになる。 ヴィヴリオ「話は分かった。お前を亡命者として迎え入れよう。代わりに条件として、お前の知っている合衆国の機密情報を洗いざらい話してもらう」 アンブリエル「それはもう。殺されずに済んだんですから、私に協力できることは何でもします」 ヴィヴリオ「だが、彼女が裏切らない保証は無い。そこでPC2。お前に監視役を命じる」 アンブリエル「そう言うわけで、よろしくお願いします、PC2(階級)」 エンディング アンブリエルを倒したのか、それとも仲間に引き入れたのか。 シーン1 シーンプレイヤーはPC4 維馬篭と会話 維馬篭「その完全機械化兵は惜しい事をしました」 維馬篭「うちに来てくれれば活用して差し上げられたのに。残念です」 維馬篭「誰かいい人材がいたら、報告して下さい。引き抜きを検討します」 維馬篭「羽村君からはあまり芳しい報告が無いのでね……貴方が頼りです」 シーン2 シーンプレイヤーはPC3 紀央と会話 紀央「アンブリエルさんは、変装する相手を間違えた気がいたします」 紀央「伊音様とはまだ短い付き合いですが……違和感には、気付きました」 紀央「時間そのものは短くても、とても濃密な時間を過ごしていますから」 紀央「……人は、他者と完全に分かり合う事は出来ません。でも、相手のことを知ろうとして、分かり合おうとする努力は、無駄ではありません」 紀央「それでも、PC3様とは、沢山、分かり合いたいです」 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 倒した場合 部下「パイロットは変装に特化した完全機械化兵だったそうですね。道理で見つからない訳です」 部下「隣人が、いつの間にか別の誰かにとって変わられているかも知れない……ちょっとしたホラーですね」 部下「ですが、騒ぎが大きくなる前に確保出来て良かったですね、隊長」 そこに、天使の襲来を告げる警報が鳴り響く。 部下「早速これです。行きましょう、隊長」 仲間に引き入れた場合 アンブリエル「これからよろしくお願いします、マイマスター」 アンブリエル「私は完全機械化兵ですから、マスターを持つのは当たり前ですし、貴方がマスターになってくれれば、万事解決だと思うんです」 アンブリエル「あと……折角なので、私に名前を下さい、マスター。合衆国で付けられたコードネームじゃなくて、私だけの名前を」 シーン4 シーンプレイヤーはPC1 7/25。キミは理音の墓参りに来ている。紫音も一緒だ。 墓参りを済ませた帰路、伊音がぽつりと呟く。 伊音「……私はまた、迷うかも知れない。その時は、私を支えてくれないか?」 紫音「紫音からも、姉様をよろしくお願いいたします」 伊音「……すまないな。いや、違うか。……ありがとう」 伊音「お前と一緒なら……私は、強くなれる、と思う。だから……私の傍を、離れないでくれ」 紫音は二人の姿を、微笑みながら、見つめていた。 時期は7/19〜24、『機械仕掛けの聖女』『STAINLESS NIGHT』と同時進行。そちらと合わせてVMS(注:ファルコンネン・マシーネン・ゾルダート)パニック第三弾。