JSS.3 『機械仕掛けの聖女』 ※ このシナリオをやるのは、公式ルールブックの第一話、第二話を既にプレイした後が望ましい。 ※ シナリオ開始前に、ゲーマーズフィールド8−3に掲載されたT−Xのイラストを必ず見せる事。 PC1用ハンドアウト シナリオダーザイン 【T−Xからの既視感】 クラス/ギアドライバー (サンプルキャラクター:ギアドライバー/シューター) ナビゲーター/T−X キミは、八坂凍と今まで組んでいた。 だが、新しいナビゲーター、完全機械化兵である「T−X」と組むよう命令される。 キミを見たT−Xは、キミの顔をじっと見つめる。 「………どこかで会った事ある?……そんな筈、ないか」 ※ 公式ルールブック掲載シナリオの第一話、第二話での、ギアドライバー/シューターである。 ※ また、PCの性別は極力、男性にすること。凍とT−Xの板挟みにし、茨の道を用意することで、他のキャラとの会話が発生させられる筈だ。 ※ 初期取得の『ナビゲーターからのダーザイン』は、【八坂凍からの感情】を取得すること。   PC2用ハンドアウト シナリオダーザイン 【セラピアからの戸惑い】 クラス/ギアドライバー (サンプルキャラクター:ギアドライバー/スナイパー) ナビゲーター/セラピア・パルマコン キミとセラピアは偶然、PC1の新しいパートナーである、T−Xの姿を目撃する。 セラピアはただ呆然と、ひどく悲しそうな瞳で、T−Xの姿を見ていた。 キミの呼びかけにも、気付かず。 ※ 公式ルールブック掲載シナリオの第一話、第二話での、ギアドライバー/スナイパーである。 ※ すなわち、第一話で『遠山桂に命を救われた』キャラである。   PC3用ハンドアウト シナリオダーザイン 【自己からの負い目】 クラス/管制官 (サンプルキャラクター:管制官) ナビゲーター/なし キミはあの時、遠山桂を引き止める事が出来なかった。 その結果、彼女は天使化し、命を落とした。 その記憶は、今でも、キミを苛み続けていた………。 ※ 公式ルールブック掲載シナリオの第一話、第二話での、管制官である。 ※ 該当するキャラのクラスを別のものに変更している場合は、そちらに準じる事。   PC4用ハンドアウト シナリオダーザイン 【ヴィヴリオからの信頼】 クラス/機械化兵 (サンプルキャラクター:機械化兵) ナビゲーター/なし T−Xは、暴走、あるいは崩壊することが『決定事項』となっている個体だと言う。 ヴィヴリオはキミに、T−Xの監視を命じた。 だが、ヴィヴリオが時折見せる、苦悩の表情は何を意味するのだろうか? ※ 公式ルールブック掲載シナリオの第一話、第二話での、機械化兵である。 ※ 該当するキャラのクラスを別のものに変更している場合は、そちらに準じる事。 ※ PC1、PC2の教官役である。   今回予告 天使化し、"処理"された少女が、いた だが、彼女に安らかな眠りは許されなかった 彼女は蘇る………兵器として   蘇る記憶 奇跡か、それとも悪夢か   「思い出したくなんてなかったのに!」 少女の悲痛な叫びは届くのだろうか……空に   エンゼルギア天使大戦TRPG 「機械仕掛けの聖女」 残された時間は………後、わずか。 舞台は1999年7月20日頃、『力の、在処』から約2週間後と設定する。     オープニングフェイズ ●シーン1/追憶 ◆解説 マスターシーンである。 描写を一気に読み上げること。 ◆台詞と描写 夕暮れの墓地 『遠山桂』の墓前、佇むキミ その手の中には、桂が最後にキミ宛に出した、一通の手紙 そこには、『伝えたい事があるから、何日に来て』と、書かれていた だが、その日は奇しくも………彼女の、命日となって 夜の帳が、降りる それでも尚、墓の前に佇むキミ 思い浮かぶのは、桂の笑う顔と、声 ………そして、気付く キミも、桂が好きだったことに だが………気付くには、遅過ぎた もう、彼女は、この世にはいない ◆結末 そして、キミは、また一つ、大人になる ………やり場の無い、想いを抱いて   ●シーン2/召喚 シーンプレイヤーはPC4 ◆解説 ヴィヴリオから、PC1のナビを凍からT−Xに変更する、と告げられるシーンである。 ◆台詞と描写 キミは引き続き、PC1とPC2の教官役を、ヴィヴリオに任されていた。 そんなある日、キミはヴィヴリオに司令室に呼び出される。 「よく来てくれた、PC4。」 「現在、PC1は八坂特務少尉を組んでいるが……今回、ナビゲーターを変更する事になった」 「……本人は何と言うか、分からんがな。」 苦笑しつつ。 「ところで、本題だが……」 そう言うと、書類の束を投げて寄越す。 そこには、一人の完全機械化兵について、書かれていた。 写真は、フルフェイスのヘルメットを被っており、顔はよく分からない。 「V機関に黒色天使核を用いた、次世代完全機械化兵、『T−X』だ」 視線を落とし、呟くように「ああ………開発局が、『実験』として、作成したそうだ………だが……ひどく『不安定』でな……暴走、あるいは崩壊する可能性が、ある。」 PC4の返答を貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 「そうなった場合に備え、貴官には……T−Xの監視を命ずる。最悪の場合……"処理"しても、構わん……」 何処と無く、歯切れが悪い。 「用件は、以上だ。では、下がれ。フリーデン・イン・デア・ハント」 司令室を後にするキミ。 その背中越しに、ヴィヴリオが溜息をつくのが聞こえた。 シナリオダーザイン:【ヴィヴリオからの信頼】   ●シーン3/悔恨 シーンプレイヤーはPC3 ◆解説 2週間前、桂が天使化した時のことを夢に見るシーンである。 ◆台詞と描写 それは、2週間前。1999年7月7日のこと。 天使大戦の勃発直後、一人の少女が天使化しかけ、"処理"された。 『私がいなくなったら、後のこと、よろしくお願いします』 彼女……遠山桂は、あの時、キミにそう言った。 彼女の体内エーテルが高過ぎる……天使化の危険性が高いと、キミは彼女を止めた時のことだ。 桂「だって、私が戦わなかったら、誰が戦うんですか?」 笑いながら答える。 桂 微笑みながら「大丈夫ですよ、PC3の元気を貰えば、頑張れますから」 だが、何処となくその笑みも、作ったようで。 肯定であれ否定であれ、PC3の回答を貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 「………はい。じゃあ………行ってきます」 そう言って、PC3の脇を抜け、走っていく。 結局……キミは、彼女を制止することは出来なかった。 そして………桂と、PC3の約束は、守られる事は、なかった。 そこで、キミは目を覚ます。………あれは、夢。 瞳、そして頬には、涙。 『私がいなくなったら、後のこと、よろしくお願いします』 ………今でも、その時の光景を、あの時の言葉を、何度も夢に見る。………後悔の念と、共に。 シナリオダーザイン:【自己からの負い目】 ●シーン4/目撃 シーンプレイヤーはPC2 ◆解説 セラピアがT−Xを目撃し、ショックを受けるシーンである。 PC2には、そのセラピアを支えるロールを期待したい。 ◆台詞と描写 キミは、セラピアと一緒に、訓練室に向かうところでした。 「ねえねえ、PC2ちゃん〜、今日の訓練はどうしようなんだよ〜?」 手を繋ぎ、キミの顔を見上げるセラピア。 廊下に差し掛かった所で、誰かが窓の向こう側を通り掛かる。 「ん……?あの子、誰かなあ………?」 繋いでいた手を離し、窓際に向かう。 「え……うそ、そんな………」 口元に手をやり、しばし呆然とする。その瞳には、涙。 PC2の台詞を受け、結末に移ること。 ※ 尚、 ここではまだ、セラピアに誰を目撃したかを言わせてはいけない。 ◆結末 セラピア「う、ううん……な、何でも無いんだよ……」 明らかな嘘だ。 セラピア「うん……ごめん……でも、ちょっと待って、PC2ちゃん………」 そう言って、俯き……キミの手を堅く、握り締める。 シナリオダーザイン:【セラピアからの戸惑い】   ●シーン5/衝撃 シーンプレイヤーはPC1 ◆解説 他のPCよりも先に、PC1とT−Xが対面するシーンである。 無論の事、見た瞬間にPC1は、T−Xが桂そっくりであると気付いてよい。 GMもそのように示唆する事。 ◆台詞と描写 ある日キミは、ヴィヴリオに司令室に呼び出される。 「PC1……八坂特務少尉とは、上手くやっているようだな」 やや視線を逸らしつつ「貴官には済まないが……ナビゲーターを変更する事になった」 気付くと、ヴィヴリオの隣には、フルフェイスのヘルメットを被った完全機械化兵らしき少女の姿があった。 そう言われて、キミの前に現れる………完全機械化兵T−X。 T−Xはヘルメットのシェードを開け、顔を見せる。   その顔も。 その声も。 何もかも、覚えている。   天使化し、"処理"された筈の………遠山桂、だ。   T−X「初めまして。……? わたしの顔になんかついてる?」 ヴィヴリオ「彼女が……T−Xが、貴官の新しいパートナーだが………他の者との顔合わせは、明日行う」 T−X「わたしを……知ってるの?」 そう言って、PC1の顔をじっと見つめる。 PC1のリアクションを貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 ヴィヴリオ「用件は以上だ、下がれ……フリーデン・イン・デア・ハント」 T−X 無表情に「フリーデン・イン・デア・ハント」 部屋を出て、T−Xはキミに手を差し出す。 T−X「これからよろしく……どこかで会った事ある?……そんな筈、ないか」 呆気なく言い放つ。 シナリオダーザイン:【T−Xからの既視感】 ミドルフェイズ ●シーン1/対面 シーンプレイヤーはPC1、ただし全員登場 ◆解説 PC全員と、T−Xの顔合わせを行うシーンである。 PC間に動揺が走れば、ここはあなたの勝利である。 ◆台詞と描写 瑞穂基地統合司令室。 新しいナビゲーターが着任し、PC1が凍とのペアを解消して組む、という事で、顔合わせをする事になったのだ。 ヴィヴリオが杖をカツッと鳴らし、口を開く。 「さて……お前達に新しい仲間を紹介しよう。………入りたまえ」 そして、6人の前に姿を現す、T−X。 「やっぱり、桂ちゃんだったんだよ〜!?」 滂沱の涙を流すセラピア。 「………かつ、ら……?」 呆然とする凍。 T−Xは6人の様子に、興味が無さそうな表情を浮かべ「うん、知らないよ。完全機械化兵、T−Xです。よろしく」 ヴィヴリオ「本日付を以って、PC1は八坂特務少尉とのペアを解き、T−Xと組んでもらう。………これは、命令だ…」 心なしか、表情が暗い。 凍「………了解」 PC1の顔を、寂しげな表情を浮かべて見た後、俯きながら言う。 ヴィヴリオ「ただし当面は、八坂特務少尉はT−Xの補助という形に回って貰う。」 凍「………了解」 顔を上げて敬礼する。 ヴィヴリオ「1時間後、訓練を開始する。では、下がれ……フリーデン・イン・デア・ハント」 T−X「フリーデン・イン・デア・ハント」 凍「………………フリーデン・イン・デア・ハント」 セラピア「フリーデン・イン・デア・ハント、なんだよ………」 結末に移ること。 ◆結末 ヴィヴリオが去った後。 T−Xは正に他人事のように「ふうん………わたしのベースになった人は、あなた達がよく知ってる人だったみたいだね」 この台詞に、各人一言ずつ返してもらい、以下の描写を読み上げてシーンを切る。 T−X「兵器に過去なんかいらないよ」 何の感情もこもらぬ呟きを残し、去っていく。   ※ 以降、ミドルフェイズは『意図的に』PC1と2、PC3と4を分断している。 ※ 『何も知らない子供』と『知ってしまった大人』の対比をさせる為、PC同士での情報交換もさせない。 ※ 『PLは全部知っていても、PCは全く知らない』って事で。   ●シーン2/訓練 シーンプレイヤーはPC2、PC1自動登場、PC3とPC4は登場不可です。 ◆解説 訓練中に、T−Xが自らの記憶の片鱗を思い出すシーンである。 ◆台詞と描写 PC1とT−Xの初めての訓練。 T−Xのナビゲートは、凍に勝るとも劣らない技術を持っていた。 凍はその様子を横目に、凄まじい速さで二人のシミュレート結果をノートパソコンに入力していく。 凍「………シミュレート、エンデ」 ノートパソコンのエンターキーを押す。 同時に、シミュレーターに、訓練終了のランプが点灯する。 T−X「なかなか、やるじゃない」 そう言って、PC1の肩をポンと右手の甲で叩く。 その瞬間……T−Xの表情が一瞬曇る。 それは………桂が、PC1を褒める時に必ずする癖、だった。 T−X「今……、前にも同じこと……」 T−X「いや、気のせいだね」 すぐに元の表情に戻る………が。 セラピア その様子に無言で、辛そうな表情を浮かべる。 凍 同様に、苦しげな表情をする。 T−X「どうかしたの?」 周囲の顔を見て、不思議そうに尋ねる。 T−X「………どうしたんだろう、わたし。頭の中で、何かがもやもやしてる」 顔に手を当て、呟く。 T−X 「誰かに、何かを伝えなきゃいけない、そんな気がするの」 T−X 考え込むように、頬に手を当て、俯く。 PC1か2がT−Xに対し発言したら、結末に移ること ◆結末 T−X 一瞬はっとし、眉を顰め「ごめん、PC1………シュネルギアの所に、連れて行ってくれる?」 凍「………どうするの、PC1……?」 不安そうな瞳で、PC1を見つめ。 セラピア PC2の服の裾を引っ張り「PC2ちゃん………どうしよう………」 PC1とPC2に一言ずつ返してもらい、シーンを切る。   ●シーン3/調査 シーンプレイヤーはPC3、他PCは登場不可。 ◆解説 羽村と共に、T−Xについて調べるシーンである。 ◆台詞と描写 深夜のコンピュータールーム。 普段は使われない、予備のエーテル端末の置かれた小部屋に、キミはいる。 そしてキミは、軍医の羽村を呼び出していた。 約束の時間きっかりに、羽村は現れた。 「や、久しぶり。元気してたかい?」 軽薄そうに「深夜の逢瀬、ってのも乙なモンだと思わないかい?」 「ま、前にも言ったけど、協力出来ることがあれば、協力するよ。」 「ふぅん、あの子のこと、か……俺も、詳しい事は良く知らないからね。開発局のサーバにでも、エクセスしてみたらどうだい?」 〈情報処理〉か〈軍略〉で判定させる。どちらで判定しても、難易度は3。 PC3の判定結果により、描写を変更する。 成功した場合は、クラッキング成功。 「お、やるねえ」 失敗時 「ちょっと無理か………」 「さて、と……伝家の宝刀でも、抜こうか」 《伝家の宝刀:高級士官用IDカード》 そう言って、高級士官用IDカードを取り出す。 「じゃ、もう一度よろしく」 判定の結果如何に関わらず、情報は羽村から入手できる。 PC3の反応を見ながら、描写を読み上げる事。 「へぇ……成る程ね」 引き出した情報を眺め、そして、苦い表情を浮かべる。 「T−X、だったっけ……あの子は、桂ちゃんを無理やりクローニングしたみたいだね」 「天使化して"処理"された、遠山桂の死体から、黒い天使核を回収」 「奇跡的に残された脳をクローニング技術によって修復、義体に埋め込む、か………」 「何々………本来蘇生できるような状態じゃなかったら、生前の記憶は持たない……?また遠からず暴走、あるいは負荷に耐えきれず崩壊することは"決定事項"だと……?」 「……開発局としては、早急な天使の襲来を望んですらいる、か。………ふざけてるな」 描写を読み上げたら、PC3の台詞を貰い結末に移ること。 ◆結末 「どうだい?お役に立てたかい?」 にやけた笑みを浮かべようとしたが、顔が引きつって笑えず、苦笑する。 「確かに、ね……死んだ奴を何だと思ってんのかね、上の連中は……」 苦々しい呟き。 「俺が言うのも、何だけどさ……不憫過ぎるよ、あの子。……そして、今回の騒ぎに巻き込まれた、パルマコン少尉や、PC1、八坂特務少尉、それにPC2も………ね」 「俺に言えた義理じゃないけど、さ………ヴィヴリオ大佐も、相当辛いだろねぇ……」 「ま、その意気だよ。………あと、あの子の件に関しては………彼女の正式なスペックが分からない限り、これ以上は何とも言えない ね。ただ、確かな事は………そう、先が長くない、って事だけさ。………奇跡でも、起こらない限りは、ね」 自嘲気味に呟く。   ●シーン4/予兆 シーンプレイヤーはPC4、他PCは登場不可。 ◆解説 T−Xの限界が近いことを示唆するシーン。 ◆台詞と描写 深夜、キミはヴィヴリオに司令室に呼び出される。 「………PC3が、ヤシマ陸軍特務中尉、羽村と接触したようだ」 「別に構わん……いずれ、分かる事だ」 「これを見ろ」 そう言って、一枚の書類を投げ渡す。 その書類は、T−Xの各器官の詳細なデータが。 「V機関の、エーテル循環が不安定だ……これがどういう意味か、お前なら分かるだろう?」 ※ ここで、PC4に対し、V機関は心臓、エーテル循環は血流みたいなもの、と示唆する。 そしてPC4の台詞を貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 「………そうだ。エーテル循環が不安定になれば、いずれ、身体組織が崩壊し……死に至る。正しく、死の病だよ」 「この状態では、もってあと3日、だな」 「ベースの身体は、蘇生出来るような状態ではなかった。それを、無理やり蘇らせた……辛うじて上手くいったのは、今のあの身体だけらしい」 「つまりが、だ。T−Xは他の完全機械化兵と違い、部品交換など出来ないんだよ」 「だが……今の技術では、T−Xの身体は、どうあっても、治せん……。タイムリミットは、後3日以内に必ずやってくる、そして………また、あの悲劇が、繰り返される………奇跡でも起きん限り、な……」 そう呟いて、ヴィヴリオは、歯をぎりっと噛み締める。   ●シーン5/記憶 シーンプレイヤーはPC1とPC2、PC3とPC4は登場不可。 ◆解説 T−Xが、桂としての記憶を思い出すシーン。ミドルフェイズの山場である。 ◆台詞と描写 場所は格納庫。 そして、シュネルギア:ヤークトのコックピット内。そこにいるのは、PC1、PC2、セラピア、凍。 セラピア 恐る恐る「………T−Xちゃん……何か、分かった……?」 T−X ヤークトのギアドライバー側操縦席に座る。 T−X そして、T−Xの、表情が………凍り付く。 T−X 自分の両手を見つめ………しばし呆然と。 T−X 両手が、小刻みに震えだす。 T−X 震えは両手から、やがて、全身に伝わって。 T−X そして、絶叫「……いやぁぁぁぁぁっ!」 思わず顔を背ける、セラピアと凍。 桂「思い出したくなんてなかったのに!」 顔を両手で隠し、叫ぶ。そして滂沱の涙。 ※ ここの叫びは、恥ずかしがってはいけない。ここのロールは、気合を入れる事。 ※ また、以降はT−Xではなく、桂とする。 セラピア わっと泣き出す「ごめんなさい、ごめんなさい、桂ちゃん……ボクが、あの時戦うの止めさせれば、引き金を引かなければ、こんな事にならないで済んだのに………ごめんなさい……」 そう………桂の死に、最も関与し……そして、"処理"を行ったのは、彼女なのだ。 凍「………桂………」 双眸に、涙を浮かべ「………助けられなかったのは………私も、同じ………ごめん、桂……」 PC側の台詞を待とう。 PCが桂またはナビゲータたちを奮起、あるいは更に追い込む筈だ。 また、ここでの台詞内容が、クライマックスで、桂を救えるか否かのイベントフラグとなり、もっとも重要。 桂「……おいで、セラピア」 セラピア「えぅ………」 桂「………仕方ないよ、セラピア、凍……。あの時、セラピアがわたしを撃たなかったら……みんな、死んじゃうから。セラピアのやった事は、間違ってなんか、ないよ………」 あくまでも優しく、セラピアの頭を撫でる。 セラピア 桂に撫でられるまま「えぅ〜……桂ちゃん………」 桂「あー、えーと………ただいま」 微笑む。少しだけどこか悲しげに……… セラピア「桂ちゃん、おかえりなさい、なんだよ〜!」 涙をぽろぽろと零しながら、嬉しそうに微笑む。 凍 柔らかい笑みを浮かべて「………桂、お帰り」 PC1とPC2に一言ずつ貰ったら結末に移り、描写を読み上げること。 ◆結末 その時、サイレンが響き渡る。 オペレータ「緊急事態!瑞穂基地より3時方向、距離2万に、エンジェルハイロゥ!総員、第一種戦闘配置!」 桂 真剣な表情に変わって「……行こう、PC1」 走りながら、桂は口元に手をやり、小さく咳き込む。 口元を隠したその手には、喀血による血が。 桂「時間が、ない……でも、やらなきゃ」   ●シーン6/襲来 シーンプレイヤーはPC3、PC4は自動登場、PC1と2は登場不可 ※ 時間が無い場合は省略すること。 ◆解説 天使の襲来を察知するシーンである。 ◆台詞と描写 統合司令室。 コンソールを操り、レーダーを解析する。 するとレーダーにはおびただしい光点……天使反応。 速度からみて約1時間で基地まで到着するだろう。 警報が鳴り響くと同時に背後の扉が開く。PC4とヴィヴリオだ。 ヴィヴリオ「状況は?」 「総員、第一種戦闘配置!市議会に緊急回線で連絡、市民を避難させろ!」 「1番機、2番機をAでセットアップ。……急げ、時間が無い」 ある程度やり取りするか、PC3とPC4の情報交換が終ったら、結末に移ること。 ◆結末 ヴィヴリオが一人呟く「拙いな、この状況は………」 その時、ヴィヴリオ宛にメールが届く。 苦渋の表情を浮かべ、 小声で「そうか……かなりの分の悪い、『賭け』でしか無いが……仕方あるまい……」   ●シーン7/出撃 シーンプレイヤーはPC1、ただし全員登場 ◆解説 作戦についての指示、及びT−Xの『最後の死にフラグ』である。 ◆台詞と描写 ブリーフィングルーム。 ヴィヴリオがディスプレイを見ながら、作戦を指示する。 「天使共の軍勢は……指揮官の主天使1、ホイシュレッケ100」 「PC1は指揮官の天使を霍乱、PC4はその補助。PC2は後方からの狙撃を任せる。PC3、彼らの補助を頼むぞ。……何か異存はあるか?」 各PCの台詞を貰ったら、以下の描写を読み上げる。 オペレータ「……大佐、天使の解析結果、出ました! な、何よ、これ!?」 混乱したような声を上げる。 ヴィヴリオ「………どうした?」 ヴィヴリオ ディスプレイに表示された情報に驚愕の表情を浮かべ「何だとっ!?1945年5月2日に出現した天使兵と、エーテル波形が、全く同じ、だと……っ!?」 ヴィヴリオ「……『記憶』を司る、という主天使の長、ザドキエルか……何の因果だ、忌々しい!」 吐き捨てるヴィヴリオ。 各PCの台詞を貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 ヴィヴリオ「出撃せよ、G3の諸君!」 シュネルギア、そして戦闘機に乗り込む出撃していくキミ達。 ※ この時点で、PC1を除くPCには強制退場してもらう。 その影で、ヴィヴリオは凍を呼び出す。 ヴィヴリオ「T−Xの状態は、予断を許さん……最悪の場合、外部からナビゲートしろ」 凍 俯き、両の拳を握り締め「………了解」 出撃直後、囁くように、桂の声。 桂「ねえ……、PC1は生き残ってね」 PC1からその台詞へのリアクションを貰ったら、以下の描写を読み上げてシーンを切る。 あの時と同じ声、同じ言葉。 キミの脳裏に……あの時の出来事が、フラッシュバックする。 その意味を問いただす前に、桂は口をつぐんだ。   クライマックスフェイズ ●シーン1/崩壊 シーンプレイヤーはPC1、ただし全員登場 ◆解説 桂の死亡するシーンである。 ※ ここまでで、各PC(特にPC1)が桂を助けたい、と意思表示していたかどうかが分かれ目となる。 ◆台詞と描写 場面は、上空。 天使たちとの戦闘に入った直後………桂が激しく咳き込む。 桂「ごほっ………ごめん、PC1……もう少し、保つと、思って、たんだけど………、限界みたい」 見れば、桂の口元は、真っ赤に染まっていた。 「………機械の身体とは言え、自分の身体だもの……限界が近いのは、……気付いてた」 「大佐にも………無理言っちゃったんだ、最後まで、PC1と一緒にいさせて欲しい、って」 「最後に……会えてよかった」 桂は、苦しい筈なのに、限りなく、優しい微笑みを………浮かべて。 PC2に回線を開き「PC2………PC1のこと、これからもお願いね」 その時、エーテル通信で、セラピアが割り込む。 セラピア「桂ちゃん!?いやだよ、せっかくまた会えたのに、桂ちゃん、またいなくなっちゃうなんて………そんなの、嫌だよ〜!!」 ※ ここで、各PC(特にPC1)が桂を助けたい、と意思表示していた場合は、以下の描写を追加する。 セラピアの台詞を追加する。「ねえ、PC2ちゃん、PC1ちゃん、なんとかしてよ〜!!」 凍 通信回線を開き「………PC1、お願い………桂を、助けて………」 桂を助ける、とした場合は以下の方法を読み上げ、助けない、とした場合は即座に◆結末2に移ること。 助ける方法は……PC1が〈エーテル〉で福音を発生させる事。 V機関の出力を安定させてエーテル循環を正常に戻し、尚且つ、崩壊し掛けている彼女の身体を支える事は、正に奇跡でも起きない限り不可能。 そして、その間、敵の足止めを誰かがやらなければ、それを実行する事は出来ない。 敵からの攻撃を3回発生させ、それをPC1以外の誰かにカバーさせる。 判定値20、技能レベル4で判定。成功数をそのまま指定無しのダメージとする。 PCはロゴスを使用しない〈回避〉判定で軽減してもよいと伝える。 尚、このダメージはキャラクターのHPにも振り分けて良いとする。 ※ 判定を行い、〈エーテル〉福音を発生させる事が出来た場合は◆結末1、出来なかった場合は◆結末2に移ること ◆結末1 桂「え………?身体の痛みが……関節の軋みが……V機関の悲鳴が、引いていく………」 半ば呆然としつつ。 ヴィヴリオ 嘆息しつつ「……奇跡を、互いを想う心で引き出したか………。だが……それをボクも、望んでいた………」 目尻にはうっすらと、涙が。 桂「ごめんね、PC1、セラピア、凍、PC2、みんな………ありがとう………」 セラピア「よ、良かったんだよ〜……えぅ〜……」 凍「………桂………」 言葉にならない。 桂「PC1、もう、大丈夫だよ………。PC1が、助けてくれたから………戦える!一緒に、行こう!!」 ◆結末2 そして………桂は、眠るように、ゆっくりと息を引き取る。 セラピア「桂ちゃぁ〜ん!!………えぅ………」 顔は、涙でくしゃくしゃ。 凍「………桂、ゆっくり眠って………あとは、私が……やるから」 凍「………PC1。外部からだから、完全には制御出来ないけど………私が、手伝う」 PC1の ナビゲーター能力値修正を、凍のもの(【肉体】+2、【感覚】+3)に修正させる 凍「………PC1……桂の、弔い合戦」   ●シーン2/戦い シーンプレイヤーはPC2、ただし全員登場。 ◆解説 天使との戦闘である。 ◆台詞と描写 ヴィヴリオ「キミ達に命じるっ!完膚なきまでに、天使共を叩き潰せっ!」 位置は、ザドキエル ←500m→ ホイシュレッケ×5グループ ←1000m→ PC1・PC4 ←1000m→  PC2 ←1000m→ PC3 主天使ザドキエル その名は『記憶』を意味する。 肉体:30 感覚:20 理知:18 聖霊:15 階級:0 HP:70 負傷ゲージ 30/15/8/1 攻撃 オリハルコンの刃(射撃) 判定値:18 レベル:4 射程:2km ダメージ+12(軽) 全体攻撃 絶対結界 対天使武器以外無効・30点以下のダメージ無効 回避はしない ホイシュレッケ/シュトゥルム 肉体:5 感覚:7 理知:6 聖霊:4 階級:0 HP:20 負傷ゲージなし 攻撃 かみつき(白兵) 判定値:10 レベル:4 射程:至近 ダメージ+10 回避 判定値:7 レベル:3 結界 対天使武器以外ダメージ半減 自動封鎖 エンゲージ封鎖 ◆結末 ザドキエル「AHHHHHHHH………」 絶叫すらも、エーテル粒子に分解して。 天使は光となって霧散し、同時に、上空の天界の門が閉じていく。 瑞穂基地は、壊滅を免れたのだ。   ※ エンディングフェイズについては、桂が生存しているか否かによって、描写を適宜変更する事。 ここには、桂が助かった場合のエンディング描写について触れる。 エンディングフェイズ ●シーン1/凱旋 シーンプレイヤーはPC4 ◆解説 ヴィヴリオとの会話。 桂が生存しているか、そうでないかで、適宜演出を変更すること。 ◆台詞と描写 基地に帰還する途中、ヴィヴリオから通信が入る。 申し訳無さそうに「………済まなかった、無茶な作戦を遂行させて」 「だが………望んでいた通りの、結果を出してくれた」 苦笑しつつ「………配下に無茶な賭けをさせるボクは、司令官失格なのかも知れんな」 くすりと笑い「PC4、これからも、彼らの指導を頼む。」 この台詞に対するPC4の回答を貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 ヴィヴリオ「あんな馬鹿げた計画は、もう二度とさせん。………まあ、ほんの少しだけ、感謝しているが、な………」   ●シーン2/裏方 シーンプレイヤーはPC3 ◆解説 羽村との会話。 桂が生存しているか、そうでないかで、適宜演出を変更すること。 ◆台詞と描写 基地に帰還して直後、羽村から電話が掛かってくる。 「や、お疲れさん。………何はともあれ、良かったねぇ」 真面目な声で「奇跡、ねぇ………あ、そうそう、老婆心から忠告。桂ちゃんの身辺、今後気を付けた方がいいよ。今のあの娘は……完全機械化兵のV機関を持った、生身の体だからね。開発局に限らず、色んな所から何かちょっかいあるかも知れない」 「ああ、ちなみに俺はその情報は流さないよ。ま、色々と事情もある からね」 この台詞に対するPC3の回答を貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 羽村「そうそう、いいお店見つけたんだけど、どうだい?」 やはり羽村はいつも通りの羽村だった。   ●シーン3/任命 シーンプレイヤーはPC1とPC2 ◆解説 ヴィヴリオから、今後についての命令を与えるシーンである。 PC1、凍、PC2、セラピア、生存時は桂も一緒である。 桂が生存しているか、そうでないかで、適宜演出を変更すること。 ◆台詞と描写 ヴィヴリオ「T−X、いや、遠山少尉。良く戻ってきてくれた」 桂「………ただいまです、大佐」 ヴィヴリオ コホン、と咳払いし、顔を赤らめて「お帰り、桂」 セラピア「大佐が照れてるんだよ〜………」 凍「………珍しいものを、見られた」 ヴィヴリオ「………ところで、だ」 ヴィヴリオ「遠山桂少尉、貴官は死亡時の2階級特進で、今後は大尉となる」 桂「ええええっ!?ど、どうしよう、みんな………」 PC1と2から回答を貰った後、凍とセラピアの台詞を適宜入れて、結末に移ること。 ◆結末 ヴィヴリオ「PC1自身は、八坂特務少尉と、遠山桂大尉、どちらと組みたいのだ?」 桂 にっこり笑って「勿論わたしだよね、PC1♪」 PC1の右腕を抱き締めて。 凍 ふるふると頭を振って「………駄目、PC1とは、私が組む」 PC1の左腕を抱き締める。 PC1から一言だけ貰い、以下の描写を読み上げてシーンを切る。 ヴィヴリオ 冷や汗を拭きつつ「………回答は、後日と聞くことにしよう」 ※ この結末については、事前にPCがどうしたいか(どちらと今後組みたいか)を聞いておき、反映させるのが最も良い。   ●シーン4/告白 シーンプレイヤーは、桂との恋愛フラグが立ったPCがいた場合はそのPC、そうでない場合は省略する。 ◆解説 桂が、自分の墓前で心情を吐露するシーンである。 ◆台詞と描写 場所は夕暮れの墓地、そして『遠山桂』の墓前。 桂は自分の墓を目の前にして「わたしの本体が、ここに眠ってるんですよね………何か、複雑」 PCの方を振り向き「そうですね。あ、あの、PC………」 顔を赤らめ、俯いて「あの日、戻れたら………あなたに、言うつもりだったんだ」 消え入りそうな声で「PC……あなたが、好き。ずっと、わたし達を励ましてくれたもの、全部………」 そう言って、PCの胸に飛び込む。 そして………PCの唇に、自分の唇を重ねる。 この台詞に対するPCの回答を貰ったら、結末に移ること。 ◆結末 夕陽が、二人の姿を赤く染めて。 そして、その影は………一つに重なって、延びていく――――お互いの、道標の様に。     以上、経験点の発行などの処理をしよう。 お疲れさまでした。