今回予告 人は皆、多かれ少なかれ心に欲望を抱えている なりたい自分になることも 誰かの傍にいたいと思うこともまた、欲望 ……世界は、欲望に満ちている 造られた男は、唯一無二になることを欲し 造られた女は、唯一無二になることを望み 一番欲しいものは、何? 一番望むものは、何? 自分の生まれた意味を 自分の生きる意味を ――存在証明を。 エンゼルギア天使大戦TRPG 大罪篇 第四話 『鴉』 septem peccata mortalia/avaritia さがしものならば、君は此処に在る。 (セプテム・ペッカータ・モルターリア/アワリティア) ハンドアウト PC1:オフィーツィア キミはG3に所属する凄腕エージェントだ。 キミは長年合衆国に潜入し、様々な情報をヤシマ本国へともたらした。 そして法王に関する機密情報を入手した為、数年ぶりにヤシマへと帰還することとなった。 キミは確信している。 この情報は、これからの戦いを大きく左右すると。 シナリオダーザイン【G3からの信頼】 ※立ち位置は情報将校。クラスは片方をオフィーツィアで作成すること。 本シナリオの情報収集で得られる情報は、全てPC1が調査したものとする。 つまりキミは、合衆国を舞台に、007とかスパイ大作戦とかミッション・インポッシブルばりに大活躍した。 それらを語るには時間と紙面が足りないので、今回は割愛する。 PC2:ギアドライバー/ナビ:凍 キミは凍の反応速度についていける、唯一のギアドライバーだ。 そして、感情の薄い(あるいは、出し方を知らない)彼女の感情の機微を理解出来る、ほぼ唯一の人物でもある。 そのせいか最近、凍は自分にべったりな気がする。 まあ、可愛いからいいんだけどさ。 そんなキミ達が、今回とある選択を迫られる。 シナリオダーザイン【八坂凍からの好意】 PC3:ギアドライバー/ナビ:紀央 キミと紀央との仲は、とても良好だ。 元々上手くやっていたが、紀央の命を助けたあの日以降、関係が変化した、と思う。 具体的に、と言われると返答に困る……と言うか現状、彼女はほぼ通い妻である。 いいのかなあ、これ。 そんなキミ達が、今回とある選択を迫られる。 シナリオダーザイン【司鏡紀央からの好意】 PC4:ソルジャー キミはかつてメーヴェに所属し、現在はシュネルギア部隊の護衛を命じられている。 今回PC1の迎えの為、古巣である呪法船団に向かう事になった。 PC1は機密情報を直接報告する為、数年ぶりにヤシマに帰還するとのこと。 これは責任重大だ。 シナリオダーザイン【自己からの責任感】 ※ 注意書き ※ 本シナリオはPC1・PC4の大人組(シリアス寄り)と、PC2・PC3の子供組(ラブコメ)で、シーンの展開にかなりの温度差がある。 また大人組と子供組が、互いに交流しづらいシナリオ構成になっている為、全員登場のシーンでは積極的に交流を心掛けて欲しい。 それらを踏まえた上で、プレイに臨んで欲しい。 オープニングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC1 合衆国への潜入任務を終えて、呪法船団の戦艦に降り立つシーン キミは長きに渡る合衆国への潜入任務を終え、ヤシマに帰還することとなった。 キミに命じられていたのは、法王そして救世主に関する情報の収集。 この情報は、外部に絶対に漏洩出来ない。 故にキミは、この情報をヴィヴリオに直接伝えるべく、ヤシマに帰還するのだ。 合衆国から脱出した(方法は任意)キミを、回収班である呪法船団の艦長が出迎える。 艦長「PC1(階級)、任務ご苦労だった」 艦長「その顔から察するに、とても重要な情報を掴めたようだね?」 艦長「恐らくだが、君の持ち帰る情報は、これからの戦いの行く末すら左右する、そんな気がしてならんよ」 艦長「もうじき、瑞穂基地から迎えが来る筈だ。それまではゆっくりしてくれ」 シナリオダーザイン【G3からの信頼】 シーン2 シーンプレイヤーはPC4 ヴィヴリオから命令を受けて、PC1を迎えに行くシーン。 話は少し遡る。 ヴィヴリオ「合衆国の潜入任務に就いていたPC1から、重大な情報を入手した為帰還する、という報告を受けた」 ヴィヴリオ「呪法船団と合流するまでは、自力で脱出するそうだ。なのでお前には、PC1を呪法船団から連れて来て欲しい」 ヴィヴリオ「ついでに、昔馴染みに挨拶でもして来たらどうだ」 そして呪法船団。 メーヴェ隊員「瑞穂からの迎えは、お前だったか。久しぶりだな」 隊員「小耳に挟んだんだが、今は子供のお守りなんだってな」 隊員「……個人的な意見だがな。シュネルギアってのは、子供には過ぎた力だ。だが、そいつに頼らにゃ、俺達はまともに天使と戦えねえ、ってのも事実だ」 隊員「しっかし、何で子供限定なんかねぇ……」 隊員「そういうもんかねえ。どうもお偉いさんの考えることは、よく分かんねえな」 シナリオダーザイン【自己からの責任感】 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 紀央との日常のシーン キミは紀央と食卓を囲んで、朝食をとっている。 今朝の献立は押し麦入りのご飯と焼鮭、ほうれん草のおひたしにお味噌汁、そして漬物。 勿論、紀央の手作りだ。 紀央「ではPC3様、朝ごはんにしましょうか」 紀央は手を合わせて「いただきます」 紀央は毎日、キミが起きる前に部屋に来て、朝食を作ってくれる。 ※紀央はキミの部屋の合鍵を持っている。と言うか、彼女に押し切られて渡した。 昼食は基地の食堂だが、夕食は何か用がなければ、彼女が作ってくれる。 そのことを友人に話したら『まるで通い妻じゃねーか、うらやまけしからん』と怒られてしまった。 キミがそのことを思い出していると、紀央が「どうなさいましたか、PC3様?お口に合いませんでしたか?」 ふと、頭に疑問が過ぎる。 キミもこの生活を受け入れているは言え、このままでいいんだろうか。 シナリオダーザイン【司鏡紀央からの好意】 シーン4 シーンプレイヤーはPC2 凍との日常のシーン 朝。 凍がキミを起こしに来た。 凍「……朝。起きる」 凍「……ん」 凍「……訓練?」 その前に朝食をとるキミ達。 凍の前にも、キミよりは少ないが食事が置かれている。 食事を全てサプリメントで済ませていた頃と比べれば、これは大きな進歩だ。 自分の分を食べ終えた凍が、まだ食べている途中のキミのお皿をじっと見つめている。 凍「……ちょっと、足りない」 凍「……あーん」 口を開けて待つ凍。待て、誰だ教えたの。 気分はまるで、雛鳥に餌を与える親鳥の気分だ。 最近の凍は、出撃以外は割とこんな調子だ。 悪い気はしないが、最近ちょっと自分に甘えすぎなんじゃないだろうか。 維馬篭大将がこの状況について何も言って来ないのも、正直引っ掛かるし……はてさて、どうしたものか。 ……でも凍可愛いから、ま、いっか! シナリオダーザイン【八坂凍からの好意】 シーン5 マスターシーン 教室で烏丸文が、凍に話しかける。 文「八坂さん、あなたには欲しいもの、何かある?」 凍「……考えたこと、ない」 文「欲しいものは自分で考えて、勝ち取らなきゃ駄目だよ。ただ与えられるものだけ、口を開けて待ってたら、本当に欲しいものなんて、手に入らないよ」 文は災厄《天上の呼び声》を使用し、PC2の持つ凍からのダーザインを【好意】から【困惑】に変更する。 この災厄の効果は、PC2が凍と会話することで、解除される。 具体的にはミドルフェイズのシーン10となる。 凍はかぶりを振って「……分からない」 文「……そうなんだ」 文は何とも言えない顔をして、その場を立ち去る。 凍「……私の、欲しい、もの……」 凍はそう呟くと、自分の両の手の平を、じっと見つめた。 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC4、PC1自動登場、PC2とPC3の登場は不可 呪法船団でPC1を出迎えるシーン 隊員「お、PC1。こちら、迎えのPC4だ。元々メーヴェにいた、優秀なパイロットだぜ」 隊員「何だ、知り合いだったのか。まあいい、PC4、PC1を無事送り届けてくれよ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 マスターシーン 次回のシナリオへの布石となるシーン AMPの本拠地である、マンションの一室。 瑠衣「文、そちらの進捗は?」 文「……いまいち、かな。あの八坂凍って子、ちょっと常人離れしてるというか、自我が希薄で、欲望に訴えかけられない。瑠衣は?」 瑠衣「こっちは上々、って言いたいけど。……私にはこういう任務、あんまり向いてないって今更気付いた。所謂、汚れ仕事はみんなに押し付けて、私は上から威張ってただけだから……」 文「……瑠衣は責任者として、上からの命令とか無理難題、何とかしてくれてたでしょう?適材適所、お互い様だよ」 瑠衣「ありがとう、文。……ここも、少なくなっちゃったね」 文「……そうだね」 瑠衣「凛も、いつの間にか、いなくなっちゃったし。定時連絡だけはくれるけど、何処にいるかは教えてくれない」 文「……あの子らしい、と言えば、そうかも知れない」 瑠衣「……うん。でも今は、生きてるの分かってれば、いいや」 7つの椅子が並んだ円卓。だがその内の5つの席には、誰も座っていない。 文「どうする?合衆国に逃げる?それともヤシマに降伏する?」 瑠衣「まさか。そうするくらいなら、最初からそうしてる。……もっとも、ヤシマに送り込まれた時点で、私たちの運命はほぼ決まっていた」 文は黙って、瑠衣に続けるよう促す。 瑠衣「ヤシマ陸軍や統一帝国の内通者、天使派のテロリストとか、協力者がいるって言っても、大っぴらに支援が受けられる訳じゃない。どれだけ瑞穂基地の連中に嫌がらせ出来るか、少しでも打撃を与えられれば儲けもの、くらいの扱いだった」 文「なら、どうしてこの任務を受けたの?拒否、出来なかったの?」 瑠衣は観念したように「……誰か6人の命を差し出せば、1人だけ助けてやる、って、法王から直々に言われた。私は、選べなかった。自分が犠牲になるのも、誰かを犠牲にするのも」 瑠衣「私はただの臆病者。結局、みんな死なせてしまった」 文「……誰か、瑠衣を責めるようなこと、言ってた?」 瑠衣は首を横に振り「誰も、何も。責められた方が、よっぽどマシだった」 文「……それが、答え。あなたは命令を遂行した。わたし達はそれに従った。ただ、それだけ。誰も、あなたのせいだなんて、思っていない」 瑠衣「そうなのかなあ……」 文「あなたがそんなんじゃ、それこそみんな犬死だよ。だから……最後まで、あなたは見届けて」 文は瑠衣に《天上の呼び声》を使用し、瑠衣の【自己からの侮蔑】を【自己からの執着】に強制的に変更する。 更に《凍り付いた心》を使用して、変更不可にする。 ※文が死ぬか退場することで、この効果は解除される。 つまり、このシナリオ間しか効果がない。 瑠衣「……分かったよ、文」 文「じゃあ、次は司鏡紀央をターゲットにしてくる」 部屋を後にする文。 文「(さよならだね、瑠衣)」 シーン3 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 無事帰還したPC1を全員で出迎えるシーン 瑞穂基地に、PC1を乗せたPC4の機体が降り立つ。 ヴィヴリオ「合衆国での諜報活動を終え、我々の英雄が帰還した」 ヴィヴリオ「PC1、長きに渡る任務ご苦労だった。PC4も呪法船団への出迎え、ご苦労」 ヴィヴリオ「PC1。貴官の任務中に、我々を取り巻く状況も一変した。定期報告では伝えきれなかったことも多くある」 ヴィヴリオ「PC2、PC3とは面識がないだろう。互いに自己紹介しろ」 ヴィヴリオ「ではこの後、PC1には報告してもらう。PC4、お前も同席しろ。 PC2、PC3。お前達に内容を伝えるかは、情報を精査してからとなる。よって、お前達は沙汰あるまで待機とする」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 マスターシーン 文が紀央に声を掛ける。 文「司鏡さんも、一度しかない人生なんだから、目一杯、楽しまなきゃ駄目だよ」 紀央「一度しかない、人生。……そう、ですね」 文「何か、欲しいものとか、あるでしょ?自分の力で、手に入れられたら、とっても幸せになれるよ」 文は災厄《天上の呼び声》を使用し、PC3の持つ紀央からのダーザインを【執着】に変更する。 この災厄の効果は、PC3が紀央と会話することで、解除される。 具体的には次のシーンが、PC3と紀央が会話するシーンになる。 紀央「そう、ですね。では早速、PC3様の所に行ってきます」 文「うん、行ってらっしゃい」 シーン5 シーンプレイヤーはPC3、他のPCの登場は不可 紀央「PC3様、お話があります」 紀央はキミにずぃっと近付く。 鼻と鼻が触れ合う程近く。 紀央「わたしを、あなたの妻にして下さい」 紀央「わたし、気付いたんです。……このままでは、他の誰かに、あなたを盗られてしまう。そう思ったら、いても立ってもいられず」 紀央「はしたない、浅ましい女とお思いでしょうか。ですが、わたしには、こうする以外何も分からなかったんです」 紀央はうっすらと涙を浮かべ、身体を震わせながらキミを見つめる。 キミが紀央の問い掛けに答えると同時に、キミが受けている《天上の呼び声》の効果は解除される。 受け入れた 紀央「本当に……本当に、わたしを、妻にしてくれるのですか?……うれしい、です」 涙をぽろぽろ零す紀央。 紀央「うれしいのに、涙が、止まりません……」 紀央「末永く、よろしくお願い申し上げます。死が、二人を別つまで」 受け入れなかった 紀央「……そう、ですか。分かり、ました。……でも、わたし、諦めません。いつか、あなたを、振り向かせてみせます。お覚悟を」 そこで、紀央自身、暗示が切れた(災厄が解除された)ことに気付く。 紀央「……どうやらわたしには、何らかの術が掛けられていたようです」 紀央「ですが、先程の言の葉は真(まこと)です。確かに、術に操られ、熱に浮かされていたかも知れませんけれど、嘘偽りなく、わたしの本心です」 紀央「……改めて。末永く、お願い申し上げます(お覚悟を)」 紀央「あなたに会いに来る前に話していたのは確か、転校生の烏丸様でした」 紀央「……多分、わたしに術をかけたのは、彼女だと思います。他の誰かに接触しないか、注意しないと、ですね」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 情報収集シーン 判定は行うが、以下の情報は全て、PC1によってもたらされた情報である。 情報項目 『ラルフ・マスケンヴァルが合衆国法王になった理由』 『救世主の条件』 『ラルフ・マスケンヴァルが合衆国法王になった理由』 〈情報処理〉 〈軍略〉難易度1・5 難易度1の情報 ラルフが法王になったのは、前法王に『アラフニ・ナタンゾーン』への復讐をそそのかされた為である。 難易度5の情報 ラルフが法王になったのは、アラフニへの復讐をそそのかされただけでなく、『人造救世主である自分が、真に救世主になる方法』を教えられた為。 その方法とは、『聖槍』を使って他の救世主候補から力(黒い天使核)を奪い、自らに取り込むことである。 集められた黒い天使核から、神と対話する為の接続回路となる黒い巨石(シュバルツ・メガグレイス)が生成される。 尚、天使核を奪われた者は廃人となる。 余談となるが、この世界において天使核とは、その者の『魂』を内包したエーテルの塊である。 『救世主の条件』 〈エーテル〉難易度5 救世主の条件とは、お互いに愛で結ばれた二人一組の救世主候補が、神と契約、『神の御前に立ち、自分達が新世紀のアダムとエヴァである、と宣言する』ことである。 そしてその二人は、新しい世界の生命を産み育む役目と、それに必要な力を与えられる。 世界を造り変える力とは、新世界を築く為に与えられる力の、片鱗に過ぎない。 尚、神が降臨するのは、救世主候補の力が最も高まった時である。 戦って戦って戦い抜いて最強の候補者となるか、全ての候補者を殺して唯一の候補者となるか、のいずれかである。 これらを総合すると、ラルフは現状、パートナーがいない為、救世主としての条件を完全には満たすことが出来ない。 ゾフィーは言うなればビジネスパートナーである。ゾフィーの愛(偏愛、執着かも知れないが)は、今は亡きソコラタに向いているからだ。 よってラルフは、他の救世主候補全てから力を奪い(=皆殺しにし)、自分が唯一の候補者になることで、救世主になろうと画策している。 これらは公式設定ではないが、本シナリオではこのように設定する。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン7 マスターシーン『54年前の真実』 世界革命機構のテロリストとして、“総統”を討ったラルフ・マスケンヴァル。 その様を見届けた前合衆国法王が、ラルフに語り掛ける。 法王「今倒れたその男もお前も、出生からこれまでの人生全てを、あの女に仕組まれた、ただの走狗。あの女に復讐したくはないか?奪われたものを取り戻したくはないか?世界を造り変えたくはないか?……本物に、なりたくはないか?」 法王「私も、あの女に因縁があるが……事を起こすには、些か年老い過ぎた。故にお前にこの無念と、聖槍を託す」 法王「聖槍ロンギヌス。二千年前の救世主を一度殺した、聖遺物。これは天界の門を開く鍵でもある。人造救世主たるお前の手に渡ったことによって、お前は天使を自由に呼び出せる力を得た」 法王「そして聖槍さえあれば、他の救世主候補から、力を奪うことが出来る。奪った力を自らに取り込むことで、お前は真の救世主へと近付くことが出来る」 神託か、それとも呪詛か。 彼は聖槍を手にし……新たな法王を名乗った。 シーン8 シーンプレイヤーはPC1、他のPCの登場は任意 ヴィヴリオがアラフニとラルフ、救世主について語るシーン。 ヴィヴリオ「……アラフニへの復讐、か。あの女には、私自身切っても切れない因縁がある。母か、姉か……無論、家族だなどと一度も思ったことは無いがな」 ヴィヴリオ「あの女にとって、他者は全て、自分の目的を達成する為の道具に過ぎなかった」 ヴィヴリオ「話が逸れたな。ラルフは、『本物』になりたかったのだろう。何もかも仕組まれた作り物ではない、唯一の何者かに」 ヴィヴリオ「真の救世主となれば、その唯一になれる、と信じて」 ヴィヴリオ「だが実際には、前法王にそそのかされ、復讐の為の手駒として利用されただけなのではないか?……結局、誰かの言う通りにしか生きられない、不器用な男だ」 ヴィヴリオ「……ラルフの望みは、神の力で全人類を滅ぼし、世界を終わらせること、だと言うが」 ヴィヴリオ「世界を造り変えた後に、奴は何を望む?」 ヴィヴリオ「何もない無の世界か、それとも、造られた自分が世界を造る、という意趣返しか?」 ヴィヴリオ「ひょっとして、奴は彼女を……いや、何でもない。私には関係ないことだ」 ヴィヴリオ「もとい。候補者が他にいなくなれば、必然的にラルフが神との契約者たる救世主となる。そうすれば創造も破壊も、思うがままだ。自分に付き従うエヴァを造り出す事すらも」 ヴィヴリオ「ならば、我々は戦わなければならない。生き残る為に。自分の居場所を、守る為に」 ※PC2、PC3がシーンに登場していない場合 ヴィヴリオ「PC1とPC2を呼べ。彼らに話がある」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン9 シーンプレイヤーはPC2、PC3自動登場、PC1とPC4の登場は任意 急にヴィヴリオに呼び出されたキミ達。 ヴィヴリオ「お前達に命じる。いや、命じる、ではないな。自分のパートナーとの仲を良好に保て。ただし、節度は持て。ある程度までは目をつぶるが」 ヴィヴリオ「それが救世主として、必要だからだ」 ヴィヴリオ「PC1。八坂のことは、お前が一番分かっているだろう。何か悩みがないか、この後聞いておけ」 ヴィヴリオ「お前以外で彼女を分かってやれるのは、そうそういないからな」 ヴィヴリオ「PC2、司鏡の顔がやけに晴れ晴れ(険しいもの)となっているが、何か心当たりはあるか?」 ヴィヴリオ「……ふむ、そうか。一先ずはおめでとう、と言っておこう」 あるいは ヴィヴリオ「作戦行動に支障が無い程度にしておけ。痴話喧嘩は犬も喰わんぞ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン10 シーンプレイヤーはPC2、他のPCの登場は不可 凍「……PC2」 凍が俯きがちにキミの服の裾を掴んで、くいくいと引っ張る。 何か聞きたい事がある時、凍がいつもする仕草だ。 ※公式設定ではない。きっと可愛いと思ったから、入れただけである。 凍「……転校生に、欲しいものないか、聞かれた」 凍「……答えられなかった」 凍「……欲しいもの、分からない」 凍「……教えて」 凍「……PC2なら、分かると、思った」 凍「……私の、欲しいもの。私の、居場所……もう、あった」 凍「……他は、いらない」 凍「……あなただけ、いれば、いい」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン11 マスターシーン 文の独白→出撃 スパイが合衆国から帰還したとの連絡を受け、文に出撃命令が下される 瑞穂市内のとあるビルで、文が合衆国からの命令を受けている。 文「……任務、了解。通信、終わる」 文「……現状の任務に追加で、合衆国から脱出したスパイの始末、ね。軍上層部は命令するだけで気楽な事。出来れば自分の手柄、出来なければわたし達のせい」 他に誰もいないせいか、文の独り言はいつになく饒舌だ。 文「……そもそも、明日香や愛莉、杏に出来なかったことが、わたしに出来る?」 文「……瑠衣はずっと、こんな無理難題と戦ってたんだ。……わたしには、出来ないや」 文「そんな瑠衣を、一人ぼっちにしなきゃならない、か……気が重いな」 文「だけど、やらなきゃ。瑠衣を少しでも、生き延びさせる為に」 シーン12 シーンプレイヤーはPC4、全員登場 瑞穂市内にフーファイターと天使の群れ出現、出撃する ヴィヴリオ「今回も、事前に出現を察知することは出来なかった。……そもそも、市内に工作員の潜入を許している時点で、手詰まりであるが」 ヴィヴリオ「識別番号から察するに、AMPの5人目だろう。今回は……欲望、強欲辺りか」 ヴィヴリオ「まあいい。我々がやらねばならん事は同じだ。敵機の速やかなる撃破、及び乗組員の捕縛」 ヴィヴリオ「向こうが実力行使に出てきた以上、放置は出来ん」 ヴィヴリオ「PC1、戻って来て休む間もないが、戦闘の指揮を頼む。隊の指揮官は別件任務で不在なのだ。人手不足で済まないが、よろしく頼む」 ヴィヴリオ「PC2、PC3。各自のポジションを再確認しておけ」 ヴィヴリオ「PC4、部隊の護衛は任せた。お前がヤシマ最強の盾だ」 ヴィヴリオ「皆頼んだぞ。市街地への被害を、拡大させてはならない」 会話を終えたらシーンを終了する。 クライマックスフェイズ 瑞穂市上空。 今までのフーファイターよりも巨大なそれが、キミ達を待ち受けていた。 文「……あなた達に怨みは……沢山、ある。だから、死んでくれる?」 文「わたし達は、あなた達を滅ぼしに来た悪魔。だけど……悪魔にだって、友情はあるんだよ?」 ボスデータは、エンドレスサマー掲載の天使戦艦を使用する。演出上はフーファイターとすること。 ただし【HP】を+150する。 更に、災厄《天上の呼び声》×3、《凍り付いた心》×1(全て使用済)を追加する。 これにより、経験点が+4されるので、アフタープレイでは注意すること。 フーファイターの撃破後、文の処遇を決めたらシーンを終了する。 エンディングフェイズ シーン1 マスターシーン AMPの本拠地である、マンションの一室。 呆然とした瑠衣が椅子に座っている。 瑠衣「文、ひどいよ……。最後まで見届けて、って、遺言じゃない……。なんでさっきまで、気付かなかったんだろ……」 瑠衣「とうとう、私一人になっちゃった……。ねえ、帰って来てよ、凛……寂しい、よぉ……」 瑠衣の呟きに返事を返す者は、誰もいなかった。 一方、とあるマンションの一室。 AMPの本拠地とは違う場所に、凛は潜伏していた。 凛「……いいのかなあ、わたしこんな事してて」 凛「いくら命令とは言っても、何にも力になれないのは……苦しいなぁ」 凛「瑠衣ちゃん、寂しがってるだろな……あの子、結構……寂しがり屋だから」 凛「……わたしも、寂しいなぁ……」 凛の呟きに返事を返す者も、誰もいなかった。 シーン2 シーンプレイヤーはPC4 部隊の一人から、飲みに行かないかと誘われる 退勤の際、同僚の一人が声を掛けてきた。 同僚「なあPC4、ちょっと飲みに行かないか」 バー・ギルティ。 瑞穂基地の兵士御用達の店である。 同僚「……今日戦った相手も、あの子らと同じくらいの年頃の女の子だったんだってな」 同僚「……俺達は、子供に任せなければ天使とまともにやり合えない。だが、天使を率いてきたのも子供だったら、子供同士で殺し合いをさせることになる」 同僚「戦争だからと言っても、子供同士の殺し合いなんて、正当化は出来ねぇよ」 同僚「それに……子供が人を騙して争いの種を作らせる合衆国のやり口にも、それに対して何も出来ない自分の無力さにも腹が立つ」 同僚「戦争なんて、大人たちだけでやってりゃいいんだよ。子供まで巻き込んで……正直、やり切れねぇよ」 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 紀央の一世一代の告白を受け入れている 紀央が自分の部屋に引っ越してくる 翌朝。紀央が大きな荷物を抱えて、キミの部屋にやって来た。 紀央「元々荷物が少ないので、これでわたしの持ち物は全部なんです」 紀央「妻として一緒に住んで、身の回りのお世話をします」 今とほとんど変わらない気もするが…… 紀央「最近は、自分の部屋と言っても、寝に帰るだけでしたから。通う手間がない分、あなたと一緒にいられる時間が増やせます」 紀央「正式に婚姻するのは戦争が終わってからにしろ、とヴィヴリオ大佐に言われた気はしますが、きっと気のせいです」 紀央「では、末永くよろしくお願いいたします、あ・な・た♪」 受け入れていない 朝。紀央がいつも通り、朝食を用意してくれた。 紀央「では、いただきましょう」 紀央「ところでPC3様。わたしを娶る気になりましたか?」 紀央「今わたしを妻にすると、なんと、朝食のおかずが一品増えますよ?」 紀央「冗談はさておき。一緒に住めば、これまで以上に一緒にいられる時間が増やせます。だから、朝食を準備する時間も増える、という寸法です」 承諾した 紀央「では、末永くよろしくお願いいたします、あ・な・た♪」 断った 紀央「では、また明日伺いますね?わたし、諦めませんから」 シーン4 シーンプレイヤーはPC2 維馬篭から急に呼び付けられる キミは維馬篭に、忍にある関東臨時司令部……現ヤシマ陸軍大本営まで呼び出された。 通された茶室にて、維馬篭は手づから茶を点て、キミ達に勧めてくる。 維馬篭「まあ、そう緊張なさらないで下さい。別に取って喰おう、という訳ではないので」 維馬篭「話というのはね。凍の性能が上昇している、という報告を受けたのですよ」 維馬篭「何をした結果なのか、という点に興味はあります。ですが恐らく、それは私に理解出来ないでしょう」 維馬篭「なので、PC2君。君には、この現状を維持してもらいたいのです」 維馬篭「私は、貴方に期待しているんですよ」 維馬篭との一方的な会見が終わった後、凍の様子がおかしい。 凍「……維馬篭、怖かった」 凍「……笑ってるけど、笑ってない」 凍「……だけど」 凍「……PC2、一緒だったから……大丈夫」 凍「……一緒。ずっと」 シーン5 シーンプレイヤーはPC1 ヴィヴリオと会話するシーン キミが一息つこうとしていたところ、ヴィヴリオが自室に招いて来て、珈琲を淹れてくれた。 ヴィヴリオ「キミが帰って来た時に一緒に飲もうと思って買っておいた、とっておきの豆だ」 ヴィヴリオ「この任務は、困難な任務だっただろう。……まあそもそも、その困難な任務をキミに押し付けたのは、ボクなんだが」 ヴィヴリオ「諜報活動において、ボクが最も信頼しているのがキミだったからな」 ヴィヴリオ「……ボクはG3兵器開発局第13実験部隊、ドライクロイツの長であり、天使との戦いにおける総司令官でもある。ボクが個人的な感情で動く訳にはいかないし、誰か一人を贔屓する事も出来ない」 ヴィヴリオ「ところでこれは上官と部下ではなく、個人的な話だ。……よく、帰って来てくれた。キミが無事に帰って来てくれた事が、ボクはとても嬉しい」 ベリアル「(おや?おやおやおや?ボクが心配する必要なんて、どうやらなかったみたいだ)」 メモ 造られた男:ラルフ・マスケンヴァル 造られた女:八坂凍、司鏡紀央 強欲:烏丸文←→寛容:凍 紀央(危機を乗り越えた後)を一緒に出す。PCに対して想い(重い)が強い為。  ラルフが誰を選んだのかについて、本シナリオで詳細は触れない。 エンゼルコアのエンディングやその後を考えると、どうしても辻褄が合わないからだ。 強いて言えば、光子ルートが最も有力であるが…… 尚少なくとも、ヴィヴリオではない。 仮にヴィヴリオだった場合、世界の存亡を賭けた痴話喧嘩である。 ヴィヴリオB? ヴィヴリオエンドではない、ヴィヴリオB。 ……その可能性は否定出来ないな……。