今回予告 これは、戦争。 ヤシマ=統一帝国連合軍、対するは合衆国率いる全世界。 繰り返す日々。 終わらない戦い。 ココロを擦り減らしていく子ども達。 本当に追い詰められているのは、誰なのか。 そんなある日。 疲弊しきったトゥアレタは、禁忌の言葉をキミに告げる。 「…ねえ、一緒に、逃げちゃおっか」 任務も使命も何もかも、全て投げ出した逃避行。 同日、太平洋上に強大な天使が出現する。 その名は……大天使カマエル。 コンロンで起きた“七月の虐殺”で出現した天使であり……メイリィの仇。 その姿を目にしたメイリィは…… エンゼルギア天使大戦TRPG 大罪篇 最終話 『輝きの檻』 septem peccata mortalia/superbia,acedia 篭の中の鳥は、誰? (セプテム・ペッカータ・モルターリア/スペルビア・アケディア) ハンドアウト PC1:ギアドライバー/ナビ:トゥアレタ ある夜のこと。 思い詰めた表情のトゥアレタがキミの部屋を訪れ、『逃げちゃおっか』と弱音を吐いた。 キミの本心はどうあれ、キミとトゥアレタは基地を抜け出し、瑞穂駅へと向かう。 駅には、キミ達同様に荷物を抱えた冴羽瑠衣が、電車を待っていた。 キミ達はまだ知らない。 彼女もまた、課せられた任務を投げ出した、逃亡者であることを。 キミとトゥアレタ、そして瑠衣。 行くあてのない逃避行が、始まる。 シナリオダーザイン【トゥアレタ・クレーリオンからの甘え】 ※PC自身は逃げる気がなくても、トゥアレタと一緒に逃げてあげて下さい。 ここで留まる、というルートは考えていないので……。 PC2:ギアドライバー/ナビ:メイリィ 太平洋上に現れた、真紅の大天使カマエル。 コンロンで起きた反合衆国運動の鎮圧、という名の鏖殺(おうさつ)“七月の虐殺”、そしてコンロンからの脱出船を何隻も沈めた、メイリィにとって不倶戴天の仇。 カマエルを目にし、なりふり構わず突撃しようとするメイリィ。 それを止めたキミに対し、『仇を討てないなら、死んだ方がマシだ」と言い放ったメイリィと、キミはどう接するか。 シナリオダーザイン【タン・メイリィからの焦燥感】 ※オープニングではメイリィを止めてあげて下さい。 流石にオープニングでは、データ的な意味でも勝ち目はありません。 PC3:オフィーツィア 太平洋上に強大な天使反応が発生したとの報告を受けたキミ。 ヴィヴリオとの協議の結果、PC4を偵察に向かわせた。 その報告を待つキミ達の元に、今度はPC1とトゥアレタが脱走した、との報告が入る。 全く、こんな時に限って。……いや、こんな時、だからか。 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 PC4:ソルジャー 太平洋上に強大な天使反応が検出され、偵察に出されたキミ。 そこでキミが目にしたのは、周囲の空間を歪める程強力なケルンをまとった、真紅の天使だった。 見立てが正しければ、こいつは熾天使級を遥かに凌駕する存在、大天使級だろう。 そしてこの天使の姿……嫌な予感がする。 キミは報告の為、基地へと帰還した。 シナリオダーザイン【自己からの不安】 ※キミはメイリィとある程度親しい。 矛盾が生じなければ、メイリィを呪法船団から瑞穂基地へと運んだのはキミである、と設定してもよい。 ※ 注意書き ※ 本シナリオは、トゥアレタと一緒に逃げ出して戦いに戻るまでの過程を楽しみ、そしてメイリィの仇討ちを遂げさせるシナリオとなります。 便宜上PC:トゥアレタをPC1、PC:メイリィをPC2としていますが、ダブルPC1のシナリオです。 その為、PC1・2と比べて、PC3・4は当事者性が低い為、積極的に話に絡んでいくようお願いします。 トゥアレタは逃げよう、とPC1に伝えるので、PC自身に逃げる気がなくとも、トゥアレタと一緒に逃げてあげて下さい。 また、本シナリオでは、PC1はミドルフェイズ最後のシーンまで他のPCと基本的には合流出来ません(PC1自ら、密かに連絡を取り合うとかはOKです)。その点に注意をお願いします。 PC2は、メイリィと共に最後まで戦い続ける、覚悟完了済のPCでお願いします。 ギアドライバー二人とも逃げたい、と言われても、対応出来ないので……。 オープニング シーン1 マスターシーン シナリオの前提となる状況を説明するシーンなので、長くなります。 瑠衣は、いつの間にかトゥアレタと親しくなっていた。 ※種明かしをしておくと、瑠衣は災厄《天上の呼び声》で、【トゥアレタからの友情】を持っているからである。 瑞穂中学の屋上、給水塔の上。 トゥアレタと冴羽瑠衣が並んで座って、校庭を見下ろしている。 瑠衣「世の中、思い通りにならないことばっかりで、ヤになっちゃうよね」 トゥアレタ「本当よね。自分のことすら、ままならない」 瑠衣「トゥアレタはナビゲーターだから、軍の規則に従わなきゃ、だものね。……息苦しくない?」 トゥアレタ「……わたしには、ここしか居場所がないから」 瑠衣「そんな悲しいこと、言わないでよ。私もいるよ。私だって、トゥアレタの居場所の一つになりたいよ?」 トゥアレタ「……ありがとう、瑠衣」 瑠衣「気にしないで。友達、でしょ?」 キーンコーンカーンコーン……下校時刻を知らせる鐘が鳴り響く。 二人は校門で別れる。 瑠衣「じゃあトゥアレタ、また明日ね」 トゥアレタ「うん、また明日」 トゥアレタを見送った後 瑠衣「彼女の懐柔は、概ね完了。……友達、か。騙されてるとも知らずに」 そう言いつつ、彼女は顔をしかめる。 瑠衣「任務だ、って言っても、誰かを騙すのは……気が進まないな……。そういうのは、愛莉や明日香が、いつも率先して引き受けてくれてたからな……」 彼女は元々、人を篭絡するのは不得手であり、この任務は荷が重かった。 瑠衣「……だけどもう、みんな、いない。だから、私がやらないと」 瑠衣「……正直、もう、逃げたい」 一方、その頃。 凛「ちょ、ちょっと待ってよ!?カマエルを投入するって、もうわたし達は用済み、ってこと!?」 とあるマンションの一室で、凛がマイク越しに叫んでいる。 凛「元からわたしが頭数に入ってないのは分かってるけど、まだ瑠衣ちゃんが残ってるんだよ!?」 マイクの向こうとしばらく口論した後。 凛「……了解。わたしは、最後まで見届ければ、いいんだね?」 通信が切れた後、凛は机を拳でダン、と叩く。 凛「結局、わたしも含めて……生贄だった、ってことか……」 凛は携帯を取り出し、瑠衣宛てにメールを打つ。 『理由は言えないけど、今すぐ逃げて』 ……それが、今の凛に出来る、最大限の助力だった。 シーン2 シーンプレイヤーはPC1 深夜。トゥアレタがキミの部屋を訪ねて来た。 トゥアレタ「……ねえ、PC1」 トゥアレタ「逃げたい、って思ったこと、ある?」 トゥアレタ「わたしは正直、逃げたいよ。何もかも投げ出して、ここから逃げ出したい」 トゥアレタ「ねぇ、PC1。一緒に、逃げちゃおっか」 トゥアレタ「なんて、そんなこと、出来る訳ないのにね。そもそも、いつも監視されてるから逃げられないし、それに……天使がいる限り、この地球上に逃げ場なんて、どこにもないのに」 キミ達が監視の目を欺いて瑞穂駅に向かうと、そこには大きな荷物を持った瑠衣が、電車を待っていた。 瑠衣「どうしたの、二人とも……?」 トゥアレタ「えと……ちょっと、隣町まで出掛けよう、って……」 瑠衣「そう、なんだ。私はてっきり、二人で駆け落ちでもするのかと……」 トゥアレタ「えーと、その……」 瑠衣「二人にも、事情があるよね。これ以上は、聞かない」 トゥアレタ「……瑠衣は?」 瑠衣「……私も、疎開が急に決まって」 トゥアレタ「じゃあ、途中までは、一緒、かな」 瑠衣「……うん」 会話を終えたら下記の描写を読み上げ、シーンを終了する。 定刻より10分ほど遅れて到着した電車に、キミ達は乗り込む。 利用者は、キミ達3人以外には、誰もいなかった。 会話を終えたらシーンを終了する。 シナリオダーザイン【トゥアレタ・クレーリオンからの甘え】 シーン3 シーンプレイヤーはオフィーツィア 司令室。キミはヴィヴリオと共に、エーテルレーダーとにらめっこしている。 管制官「太平洋上に、強大な天使反応(エンゼルハイロゥ)発生。恐らく、天使十字軍第七艦隊が、高位の天使を召喚した模様です」 ヴィヴリオ「洋上でにらみを利かせていた連中も、遂に動き出したようだな。エーテル濃度の測定結果はどうだ」 管制官「ここからでは計測不能です。接近しての計測が必要と思われます」 ヴィヴリオ「そうか……PC3」 ヴィヴリオ「PC4を偵察に出せ。奴なら間違いない」 この台詞に対してリアクションを受けたら、下記の描写に移る。 ディートリッヒ・ツァイス(公式NPC:ギアドライバーの監視をする情報将校)「緊急報告です。PC1(フルネーム)とトゥアレタ・クレーリオンが脱走しました。現在は駅方面へと向かっています。如何いたしますか?」 ヴィヴリオは眉間を押さえて天を仰ぎ「……一定距離を保ちつつ、監視は継続。接触はするな。……今は、自由にさせる」 ディートリッヒ「よろしいのですか?」 ヴィヴリオ「思う所あってな。……迷惑をかける」 会話を終えたらシーンを終了する。 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 シーン4 シーンプレイヤーはPC4 太平洋上の強大な天使反応(エンゼルハイロゥ)を偵察する為、単騎空を征くキミ。 管制官「こちらミズホベース、もうまもなく、敵勢力空域へと突入します」 雲の間隙を縫って接近し、視認出来る距離まで来たキミが見たのは。 周囲の空間を歪める程強力なケルンをまとった、真紅の巨大な天使だった。 管制官「PC4(階級)。送信されたデータを元に解析中ですが、恐らくセレスティアル・ヒエラルキーは、熾天使を越える大天使級である、と予測されます」 管制官「現時点で解析できるのは、これが限界です。速やかに帰投し、観測データを持ち帰って下さい」 敵に気付かれぬよう、その場を離脱するキミ。 だが、嫌な予感がする。 キミが目撃した天使の特徴が、以前メイリィから聞いた『仇』に酷似しているのだ。 キミは諸々を報告する為、瑞穂基地へと急いだ。 PC4に一言貰い、シーンを終了すること。 シナリオダーザイン【自己からの不安】 シーン5 シーンプレイヤーはPC:メイリィ 太平洋上に現れた、真紅の大天使。 その名を、カマエルという。 カマエルを見た瞬間、メイリィからS.Q.U.I.D越しに、カマエルへの激しい憎悪と、家族や友人全てを奪われた悲しみと嘆き、そしてその身を焦がさんばかりの怒りが伝わってくる。 メイリィ「アイツだけは……アイツだけは、絶対にこの手でブッ殺す!」 ※このシーンではカマエルは倒せませんので、メイリィを止めて下さい。 メイリィ「なんで、なんで止めるアルか!?」 メイリィ「ワタシは、アイツを殺す為に、シュネルギアに乗ったんだ!みんなの仇が取れないなら……死んだ方が、マシだ!」 メイリィに対して返答したら、キミ達のシュネルギアはホルテンに強制収容され、戦場から離脱する。 カマエルは深追いすることはせず、その場に留まる。 メイリィ「畜生……畜生ッ!」 強く握った拳に爪が食い込み、血が滲んだ拳でコンソールを叩くメイリィ。 会話を終えたらシーンを終了する。 シナリオダーザイン【タン・メイリィからの焦燥感】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC:トゥアレタ、他PCの登場は不可 電車に揺られ始めてから5分も経たない内に、空襲警報が鳴り響く。 トゥアレタ「また、天使の襲撃?」 トゥアレタ「……でも、もう、わたし達には、関係、ないよね。……逃げちゃったんだから」 瑠衣「……そっか。人間だもの、苦しい時、逃げたくなること、あるよね」 瑠衣「……私も、人のこと言えないな。役目があったのに、途中で投げ出しちゃったから」 トゥアレタ「……瑠衣も?」 瑠衣「……うん。みんなに、怒られちゃうかなあ」 トゥアレタ「……どうだろ。それは、分からない」 突然、電車が急ブレーキをかける。 車内放送『天使が迫って来ています。至急、近くのシェルターに避難して下さい』 トゥアレタ「……っ、こんな時に……」 瑠衣「とりあえず、逃げようよ。PC1くんも、ほら」 瑠衣「(……時間切れ?それとも、役立たずの始末に来た?……もう、どっちでもいいか……) シェルターに移動する事になったら、PC1に一言貰ってシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC3、PC4自動登場。PC1とPC2は登場不可 その頃、瑞穂基地では。 ヴィヴリオ「PC1とトゥアレタの脱走に引き続き、メイリィの暴走……頭の痛くなる案件ばかりだが、避けては通れん」 ヴィヴリオ「まず。PC1と、トゥアレタの行方は掴めているか」 ヴィヴリオ「その身に危険が及ばぬ内は、彼らの自由にさせる。強制的に基地まで戻したところで、今の精神状態では何の役にも立たん」 ヴィヴリオ「当人達に戻る気がなかったら……その時は、その時だ。我々は、子供達に色々と押し付け過ぎた。そのツケが、今回って来た、というだけだ」 ヴィヴリオ「だが、彼らの居場所は常に把握しておけ。いざという時、救出に向かう必要はあるからな」 ヴィヴリオ「……私が思うに。脱走は、トゥアレタが言い出したのだろう」 ヴィヴリオ「こう言っては何だがな。トゥアレタだけ、常人なんだ」 ヴィヴリオ「ラルフとエクリシアの子という、非常に濃い天使の血を持つセラピア。完全機械化兵に匹敵する反応速度を持つ凍。天使と生身で交戦出来る伊音とメイリィ。優秀な陰陽師である紀央。そして、完全機械化兵であるクベルタと桂。彼女らに比べたら、トゥアレタの肉体能力は、常人と大差ない」 ヴィヴリオ「本人もそれを、コンプレックスとしてずっと感じていたのだろう。とは言え、こればかりは、上がどうこう言って解決するものではない。自分で解決するしかないんだ。まあ、開き直る、とも言うが」 ヴィヴリオ「では、メイリィだが。……コンロンで起きた“七月の虐殺”を引き起こした張本人。生きとし生けるもの全てを殺し尽くす、殺戮の天使。それこそ今日顕現したカマエル、すなわち、メイリィの仇だ」 ヴィヴリオ「だが、今の彼女を、カマエルと戦わせる訳にはいかない」 ヴィヴリオ「メイリィはカマエルを倒す為なら、手段を選ばんだろう。PC2を犠牲にし、瑞穂基地を壊滅状態に追いやろうともな」 ヴィヴリオ「断言する。メイリィは周囲全てを巻き添えに、カマエルと心中する。……巻き込まれる方は、堪ったものではないが」 ヴィヴリオ「メイリィの、本当の願い。それは、彼女自身が死ぬことだ」 ヴィヴリオ「みんなを死なせて、自分だけ生き残ってしまった自責の念。天使への燃えるような憎悪と攻撃衝動は、そこから来ているのだろう」 ヴィヴリオ「……天使と戦い続けるには、正気などではいられない。狂うしかないんだ。それは私とて同じ。子供達を戦場に出して戦わせ続ける、人でなしだ」 ヴィヴリオ「だからこそ、だからこそだ。子供達には、人である一線を、絶対に越えさせてはならない」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC1、他PCの登場不可 PC1たちが避難したシェルター。 人数はまばらだが、皆息を潜めるようにしている。 トゥアレタ「ひとまずは安心、かな……」 瑠衣「正に災難、だね。……まあ、天使の襲撃自体、災害みたいなものだけど……」 瑠衣「(……私達が今までやって来たのは、こういうこと、か……)」 場面は、シェルターの外に切り替わる。 PC1たちが避難したシェルター目掛け、カマエルに吹き飛ばされたシュネルギアが墜ちてくる。 直撃は免れたものの、片手がシェルターの一部を掠め、壁に大穴が空く。 瑠衣「か、間一髪だったね……」 シュネルギアのカメラが、PC1とトゥアレタの姿を捉える。 が、シュネルギアは何も反応せずに立ち上がり、飛び去って行く。 トゥアレタ「……何も、言わなかったね」 トゥアレタ「とりあえず、隣のシェルターに移動しよ」 隣のシェルターに移動し終えた後、トゥアレタが呟く。 トゥアレタ「ねぇ、逃げ出しておいて何だけど……わたし達、ここでこんなことしてて、いいのかな……」 トゥアレタ「戦うのは怖いし、もう疲れた、っていうのも本当、だけど。このまま、何もしないで、みんながいなくなるのも、怖い。わたし、どうしたら……」 瑠衣「……なら、やるべき事をやった方が、いいと思うよ。何もやらないで後悔するより、よっぽどいい。生きてさえいれば、いつかは挽回できるから」 トゥアレタ「そっか……そう、だよね……。ありがとう、瑠衣」 瑠衣「……どういたしまして」 瑠衣「(生きてさえいれば、か。何言ってんだろ、私。自分だって、逃げ出そうとしてたくせに)」 瑠衣の内心など、知る由もなく。 トゥアレタ「PC1、基地に戻ろ。戻って、出撃しなきゃ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 シーンプレイヤーはPC2、PC1は登場不可、PC3・PC4の登場は任意 瑞穂基地、同時刻。 ヴィヴリオ「PC2。よくメイリィを止めてくれた。礼を言う」 ヴィヴリオ「さて、メイリィ。何か申し開きすることはあるか」 メイリィ……「ワタシに、あの天使を殺させろ」 ヴィヴリオ「駄目だ、と言ったら?」 メイリィ「機体を奪って、特攻する」 ヴィヴリオはキミの方に向かって「だ、そうだ。PC2。お前に彼女の説得を命じる」 ヴィヴリオ「私は退席するので、二人でよく話し合え」 キミはメイリィと向かい合って座った。 メイリィ「……アナタも、ワタシを止めるんでしょ?それとも……ワタシと一蓮托生、してくれる?」 メイリィ「でも、アナタにはメリットが何もない。それでも、一緒に戦ってくれるの?」 メイリィははぁ、とため息をひとつついてから「アナタ、バカなの?お人好しにも程があるでしょ?」 メイリィ「……少なくとも、ワタシは……アナタのこと、スキ、だよ。背中を任せられるのは、アナタしかいない、と思うくらいには」 メイリィ「……そうだよね、そんな風に思ってる人を、ワタシは無謀な自殺まがいに巻き込もうとしてたんだね。……ゴメンね」 メイリィ「じゃあ、改めて聞くね。ワタシと、一緒に戦って欲しい。みんなの仇を、一緒に取って欲しい」 メイリィ「アナタがいてくれれば、それだけで百人力アルよ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 シーンプレイヤーはPC1(ただし、PC2とメイリィの場面の後からの登場となる)、PC3・PC4の登場は任意 格納庫。 ヴィヴリオ「PC2。話はついたか」 ヴィヴリオ「……そうか。では、出撃準備に即座に取り掛かれ。凍や伊音達が奮戦しているが、戦線は膠着状態だ。盤面を引っくり返すには、お前達の力が必要だ」 メイリィ「了解アル!」 そこに戻ってくる、PC1とトゥアレタ。 ヴィヴリオ「何故戻って来た?そのまま逃げていれば、これ以上苦しむこともなかろうに」 トゥアレタ「……(それに)友達に言われたんです。やらない後悔より、やった後悔の方がいい、って」 ヴィヴリオは二人の目をじっと見つめて「やれるのか、お前達?」 トゥアレタ「はいっ!」 ヴィヴリオ「……そうか。では、現時刻を以て、お前達の休暇を終了とする」 トゥアレタ「休暇?でも、わたし達は……」 ヴィヴリオ「今日、お前達は休暇だったところを、緊急事態の為、休暇返上となった。私からは以上だ」 トゥアレタ「あ、ありがとうございます、大佐!」 ヴィヴリオは片手をすっと上げ、シュネルギアの方を指し示す。 トゥアレタは頷いて「行こう、PC1。遅れた分を、取り戻さなきゃ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 シーンプレイヤーはPC4、全員登場 出撃シーン 格納庫。 既にキミ達は、各自の機体に乗り込んでいる。 ヴィヴリオ「改めて、現在の状況を説明する」 ヴィヴリオ「大天使カマエル率いる大攻勢。戦線は辛うじて膠着状態を保っているが、それも時間の問題だ。このままではやがて、敵の物量に磨り潰されるだろう」 ヴィヴリオ「だが、カマエルを討てば、敵の軍団の統制が乱れ、掃討も容易となる筈だ」 ヴィヴリオ「故に、単騎突破能力に秀でたPC2・メイリィ機による、カマエルへの直接打撃。また、その為には、制圧能力に最も秀でたPC1・トゥアレタ機による補助が必要となる」 ヴィヴリオ「この作戦は、お前達二組が要であり、お前達以外には成し遂げられん」 ヴィヴリオ「PC2、メイリィ。カマエルまで駆け抜け、首を獲れ」 メイリィ「言われずとも、そのつもりだったアル。……任せて」 ヴィヴリオ「PC1、トゥアレタ。PC2達が突き進む為の道を切り拓け。お前達ならば、それが出来る」 トゥアレタ「はいっ!遅れてきた分、全力を尽くします!」 ヴィヴリオ「PC3、戦場での指揮はお前に一任する。頼んだぞ」 ヴィヴリオ「PC4。お前は部隊の直衛を命じる。誰一人として、欠けさせてはならない。……勿論、お前自身も、だ」 ヴィヴリオ「総員、出撃せよ。お前達の未来を、自らの手で勝ち取って来い」 会話を終えたらシーンを終了する。 クライマックスフェイズへと移行する。 ここのエモーションで全ダーザインのオープンアップ、レベル5への上昇を許可する。 クライマックスフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 シーン冒頭は描写の読み上げとなる。 戦場のど真ん中、立ち尽くす瑠衣。 瑠衣「はぁ……私、何やってるんだろ。任務放棄して逃げ出して、更には敵に助言までして」 瑠衣「……このまま死ねば、みんな許してくれるかな……仇の討てない役立たずのリーダーで、ごめん、みんな……」 出撃したPC1のシュネルギアが、戦闘空域直下の生体反応を検出する。 トゥアレタ「直下に、生体反応有り!確か、周囲の住民の避難は完了してた筈だけど……」 トゥアレタ「とにかく、避難させなきゃ!」 機体を急降下させ、地表に近付く。 すると、瓦礫の中立ち尽くす、瑠衣の姿があった。 トゥアレタ「瑠衣、どうして……シェルターに避難してた筈じゃ……」 瑠衣「……私は……対反救世主神罰執行部隊、アンチ・メサイア・パニッシャーズの隊長……“ルシファー”、冴羽、瑠衣」 トゥアレタ「じゃ、じゃあ……今まで、わたしと親しくしてたのって……」 瑠衣「トゥアレタが予想してる通り……だよ」 トゥアレタ「全部……全部、わたしを騙す為の、ウソだった、ってこと?」 瑠衣はふっと笑ってから「さあ、殺して。みんなと同じように」 瑠衣「躊躇する必要なんかないでしょ?私とトゥアレタは、元々、敵同士なんだから」 S.Q.U.I.Dを通じて、キミにトゥアレタの心が伝わってくる。 裏切られたという悲しみと、それでも信じたいという思いが。 ここで瑠衣に対し、〈話術〉難易度7の判定を行う。 《洞察力》を取得している場合、判定は不要。 成功すると ・瑠衣は任務としてではなく、トゥアレタと本当に友達になりたかった ・仲間を差し置いて一人だけ生き延びるなんて出来ない という事が分かる。 トゥアレタ「……それでも、瑠衣に生きて欲しい、っていうのは……わたしのエゴ、だよね……」 瑠衣を殺すか、それとも助けるか。 殺す場合、判定は必要ない。宣言のみで殺すことが出来る。 助ける場合、『瑠衣が死亡した』と偽装する必要がある。 〈軍略〉 〈情報処理〉で死亡情報を合衆国に送るか、又は〈エーテル〉で瑠衣が死んでマスケンヴァル現象が起きたように偽装するか、いずれかであり(PLが他に提案したら、適切な技能での判定を認めても良い)、いずれも難易度99となる。 殺した場合 瑠衣「……ありがとう。これで、みんなの所に、行ける」 トゥアレタ「……これは戦争で、彼女は敵だった。だからこれは、仕方のない事。だけど……」 トゥアレタ「……さよなら、瑠衣。……あなたは間違いなく、わたしの、友達だったよ」 助けた場合 瑠衣「……散々、夏期特別クラスにやらかした敵を助けるなんて……頭の中、脳味噌の代わりにお菓子でも詰まってるの?」 瑠衣「……だけど……ありがとう。私は、生きるも死ぬも、自分では選べなかった、臆病者、だから」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 戦闘空域。 膨大なる天使の軍団、そして奥に控える、巨大なる真紅の大天使カマエル。 メイリィ「……不思議アルね。殺しても殺し足りないくらい憎いのに、頭も心も澄み渡った気分。……今なら、まるで花でも摘むように、アイツの首を獲れそう」 メイリィ「今日こそ、ワタシの悲願を果たす!明日の為に戦うのなら、今がその時だ!」 ボスデータはエンドレスサマー掲載の『光の天使』に、能力値を全て+5、【HP】を+200したものを使用する。 また、500m離れた別のエンゲージにホイシュレッケ:サジッタを2グループ、また違うエンゲージにホイシュレッケ:ヤーボを2グループ追加する。同種のホイシュレッケはそれぞれ同一エンゲージとする。 また、ボスデータに災厄《天上の呼び声》×1(使用済)を追加する。 実際には瑠衣が使用したものだが、計算上ここに追加する。 カマエルを討ち倒した メイリィ「みんな……仇、討てたよ。これで、許して、くれる……?」 エンディングフェイズ シーン1 マスターシーン 誰もいなくなった、AMPの本拠地だった部屋に、こっそりと忍び込む一人の少女。 彼女は円卓に備え付けられたコンソールを操作し、合衆国法王庁に秘匿通信を入れる。 凛『こちら御手洗凛。アンチメサイアパニッシャーズ、全員任務を全うし、殉死した』 ※死亡していようといまいと、凛は全員死亡した、と報告する。 凛『殉死したとは言え、予想以上の成果は上げてたでしょ?みんな、あんな孤立無援の状況で、よくやったと思うよ?』 凛『……で、残ったわたしに、今度は何をやれって?』 凛『……はいはい、了解。じゃあそーゆーことで』 通信を切った凛は、独り言ちる。 凛「“怠惰”の洗礼名を受けた自分の真の任務は、彼女らが任務を遂行出来るかの監視。わたしだけ、元から任務が違う。……瑠衣ちゃんは、みんなを見殺しにした、って言ったけど。本当に見殺しにしたのは……わたしだ」 凛「……安全なところから見てるだけで、何も出来なかった。これが本当の篭の鳥、か」 凛「……ま、みんなのこと覚えてる人間、一人ぐらい、いてもいいよね」 これは嘘だ。 結局、わたしは我が身可愛さに、何もしなかった。 臆病で卑怯な、怠け者。 それが、わたしだ。 その後彼女は、白旗を掲げ、瑞穂基地に投降した。 シーン2 シーンプレイヤーはPC3 ヴィヴリオと司令室で会話 キミは司令室で、ヴィヴリオと話している。 ヴィヴリオ「最後の一人が投降した。これで対反救世主神罰執行部隊の面々の処理は完了、か」 ヴィヴリオ「直接的な被害も大きかったが、『人間の悪意』というものを強く感じた、というのが、率直な感想だ」 ヴィヴリオ「『七つの大罪』を冠するのは、伊達ではなかった……ということか」 ヴィヴリオ「だが結局のところ、彼女らも法王の掌の上で踊らさせられていただけなのだろう。必要なくなったら、いつでも切り捨てられる道具として」 ヴィヴリオ「……いや、人のことは言えんか。潜入者がいると知っていながら、夏期特別クラスを継続させ、生徒達を囮にする判断を下したのは……私だ」 ヴィヴリオ「それでも、一部の例外はあるが、子供達に深刻なトラウマを植え付けずに済んだのは、キミを始めとした教職員達の尽力のお陰だ。ありがとう」 シーン3 シーンプレイヤーはPC4 共同墓地でメイリィと会話 瑞穂市の高台にある共同墓地。 キミはそこに建てられた、慰霊碑の前にいる。 慰霊碑に刻まれているのは、この天使大戦で命を落とした者達……兵士達だけでなく、帝都や九嶺、隼雄の人々……またメイリィの家族や、コンロンから脱出出来なかった者達の名前も、刻まれている。 キミがその場を去ろうとすると、メイリィがやって来た。 メイリィ「PC4も、ここに来ていたアルか」 メイリィは墓前で拝んだ後 メイリィ「……ようやく、肩の荷が下ろせた」 メイリィ「全てが終わった訳じゃないのは勿論分かってるけど、自分の中での一区切りがついたんだ」 メイリィ「……これも、ワタシを見限らずにいてくれた、みんなのお陰アル」 メイリィ「思い返すのは恥ずかしいケド、ワタシの第一印象って、最悪だったでしょ?反発して、みんなに噛みついて」 メイリィ「すぐ見限られたっておかしくなかったのに、みんなはワタシとちゃんと向き合ってくれた。勿論、アナタも含めて」 メイリィ「助けてくれて、手伝ってくれて……ありがとう」 シーン4 シーンプレイヤーはPC2 ヤシマ海沿岸の岬でメイリィと会話 キミはメイリィに懇願され、ヤシマ海沿岸のとある岬に来ている。 メイリィ「……ここから見えないけど、このずっと先に、ワタシの故郷が、コンロンがある。今はまだ、帰れないけれど……」 メイリィ「いつの日か、帰れる日が来たら。みんなのお墓を作って、仇を討てたよ、って報告するんだ」 メイリィ「その時、なんだけど……一緒に、ついて来て……くれる?」 メイリィ「アナタのこと、新しい家族だ、ってみんなに紹介したいんだけど……ダメ、かな……」 シーン5 シーンプレイヤーはPC1 トゥアレタ、生存していれば瑠衣も交えて会話 瑠衣を殺した キミとトゥアレタは、共同墓地にいる。 トゥアレタ「敵として、じゃなく……友達のお墓参りなら、いいよね……」 合同墓碑に、花を手向けるトゥアレタ。 トゥアレタ「敵同士じゃなくて、普通の人として、瑠衣と友達になりたかった」 トゥアレタ「……そんなこと、わたしに許される訳、ないのにね」 トゥアレタ「瑞穂基地の中で、シュネルギアのナビゲーターとしてしか、わたしは、この世界に居場所が無いのに」 トゥアレタ「……だけど、必要とされてるのは、わたし個人じゃなくて、シュネルギアを動かす為のパーツとして。大人に都合良く使われるヒトもどき」 トゥアレタ「……死亡したトゥアレタ・クレーリオンの記憶を転写した複製体。それが、わたし」 トゥアレタ「わたしには、あなたしかいない。正確には、あなたの中にあるオリジナルとの思い出以外に縋るもののない、空っぽの女」 トゥアレタ「……もう、何もかもどうでもよくなっちゃった。……幻滅したでしょ?こんなわたしに、今まで付き合わせてしまって、ごめんなさい」 トゥアレタを肯定した トゥアレタ「……本当に、いいの?わたしを受け入れる、ってことは、これからずっと、あなたにべったり依存する、ってことだよ?それでも、いいの?」 トゥアレタ「……ありがとう。なら、わたしは、トゥアレタ・クレーリオンでいられる。あなたがわたしを、トゥアレタ・クレーリオンとして見てくれている限り」 瑠衣は助けたが、AMPの他のメンバーが生存していない場合 捕虜となった瑠衣の懇願により、合同墓地の一角に、名の刻まれぬ墓碑が一つ、建てられた。 瑠衣「……みんな、一人だけ、生き恥晒すね。私は……死を恐れた臆病者で、みんなを裏切った卑怯者。それは、絶対に、忘れないから」 トゥアレタ「……瑠衣。わたしも、同じだよ。ずっと、みんなを騙してたんだから」 瑠衣「騙してた……?」 トゥアレタ「……PC1。今までずっと、騙しててごめんなさい。わたしは、本物のトゥアレタ・クレーリオンじゃない」 トゥアレタ「……死亡したトゥアレタ・クレーリオンの記憶を転写した複製体。それが、わたし」 トゥアレタ「わたしには、あなたしかいない。正確には、あなたの中にあるオリジナルとの思い出以外に縋るもののない、空っぽの女」 トゥアレタ「……もう、何もかもどうでもよくなっちゃった。……幻滅したでしょ?こんなわたしに、今まで付き合わせてしまって、ごめんなさい」 瑠衣「横からごめんね。ニセモノだろうと本物だろうと、私が友達になりたかったのは、あなた、だよ。私の気持ちまで、否定しないで」 トゥアレタ「瑠衣……ごめんなさい」 瑠衣「……まあ、トゥアレタの気持ちも、少しは分かるよ。ずっと騙してた、ってことへの罪悪感は」 瑠衣「でも、今トゥアレタに一番必要なのは、PC1くんの言葉、でしょ?」 トゥアレタを肯定した トゥアレタ「……本当に、いいの?わたしを受け入れる、ってことは、これからずっと、あなたにべったり依存する、ってことだよ?それでも、いいの?」 トゥアレタ「……ありがとう。なら、わたしは、トゥアレタ・クレーリオンでいられる。あなたがわたしを、トゥアレタ・クレーリオンとして見てくれている限り」 瑠衣「……まあ、ヤシマ風に言えば、雨降って地固まる、かな……」 瑠衣を助け、且つ誰かしら生存している キミ達は監視の下、瑠衣と面会している。 瑠衣「○○ちゃんも生きてる?何なの、瑞穂基地の連中は、揃いも揃って、脳味噌砂糖菓子かお花畑なの?」 と言いながら、へなへなと腰を抜かして「良かった、良かったよぉ〜……」 瑠衣「みんなが私の事どう思ってたかは分からないけど。私は、仲間である以前に、みんなのこと友達だと思ってたから。……勝手な思い込みだったかも知れないけど」 トゥアレタ「……友達、か。ねえ、瑠衣。あの時言ってくれたことは、まだ有効?」 瑠衣「あの時……?」 トゥアレタ「わたしと友達、って話」 瑠衣「はぁ……トゥアレタも例に漏れずお花畑だよね。……あなたがいい、って言うなら……私は、あなたと友達でいたい」 トゥアレタ「……ありがとう、瑠衣」 トゥアレタ「ねぇ、PC1。友達って、やっぱりいいものだよね」 トゥアレタ「ところで……PC1は、わたしのこと、どう思ってるの?友達?パートナー?それとも……」 エピローグ 対反救世主神罰執行部隊、アンチ・メサイア・パニッシャーズとの戦いは、ひとまず終わりを告げた。 しかし合衆国との戦いは、終わらない。 さあ、続けよう。世界の存亡を賭けた戦いを。 ヤシマと合衆国、どちらが生きるか、くたばるか! 設定 対応する大罪(悪徳)と美徳 高慢:冴羽瑠衣←→謙虚:トゥアレタ 怠惰:御手洗凛←→勤勉:メイリィ 今回予告は、2016/9/15にTwitterの #リプで指定されたシナリオタイトルでトレーラー作る にて、乾神要さんが指定した『輝きの檻』から書いた今回予告を手直しして使用。 出来上がるのに8年半かかったよ……