今回予告 合衆国の誇るエリート部隊『パラディン』。 パラディンに所属する、七大天使の名を持つ少女達は皆、凄腕のフーファイタードライバーであり、また前線にて天使を召喚する従軍司祭でもある。 そしてそれぞれが、満たされぬ欲望を抱えている。 彼女らは自らの力を、欲望を埋める為に振るう。 チームワーク、という言葉は、彼女らには存在しない。 あるのは利害関係が一致した場合の、仮初めのもの。 だが彼女らには、それが赦される。 答えは実に単純(シンプル)。 彼女らが、強いからだ。 強ければ、何をしようと許される。 それが、戦争なのだから。 戦いが嫌でパラディンを抜け、合衆国から亡命してきた少女、ガブリエラ。 だが、彼女の行動は全て、皆を騙す為の嘘だった。 突如として帝都近辺に現れた、灰色天使の大群。 場所が場所だけに、どんな細かい事でも捨ておくことは出来ない。 だが紆余曲折を経て、天使の掃討作戦の任務はシュネルギア部隊に任されることになる。 苦悩する伊音。 彼女にとって最も大事な少女との別れが、目前に迫っていた。 だが、そうなることが『彼女』の幼い頃からの、願いだった。 『彼女』と離れ離れにならない方法は、あるにはある。 だがそれは、『彼女』の尊厳を無視し、ある意味で己を殺す行為だった。 二律背反(アンビヴァレンツ)。 どちらも選べなかった伊音が、最後に選んだ方法は。 夢。願い。希望。欲望。 叶えば、満たされれば、それで終わりとは限らない。 その為の代償や犠牲が、必要となることもある。 何をどう選んで、何を切り捨てればいいのか。 答えなんて、他人は勝手な事を言うだけで、教えてはくれない。 最後は自分で、選ぶしかない。 自分の選んだその答えを、信じて。 エンゼルギア天使大戦TRPG 『空のカケラ』後編 『もしも空を飛べたら』 捨てられた少女が、最後に縋るのは。 PC1:ギアドライバー/ナビ:セラピア ここ数日、リエラの様子がおかしい。 何となく上の空だったり、お出掛け等に誘っても断られたり。 本人から社交的な方ではない、とは聞いていたが、こうも続くと流石に心配になる。 そんな折、セラピアはそろそろリエラの周囲で何か起きるんじゃないか、とキミに言う。 友達になったリエラを疑いたくはないが、用心するに越したことは無い。 シナリオダーザイン【セラピア・パルマコンからの心配】 PC2:ギアドライバー/ナビ:伊音 キミと伊音は共に維馬篭に呼び出され、帝都周辺に起きている心配事を相談された。 もし原因が分かったら、それを排除して欲しい、と。 維馬篭は、事態の解決が伊音の為にも必要不可欠なことだ、とも言う。 維馬篭の思惑通りに動くのは癪だが、伊音の為だと言うならば、乗ってやろうじゃないか。 シナリオダーザイン【維馬篭代胤からの『お願い』】 PC3:ソルジャー キミは部下を率い、帝都周辺の調査に赴いたが、帝都周辺は灰色天使で溢れ返っていた。 この数では、手持ちの火力では掃討は不可能だろう。 しかし……歴戦の兵士である部下達ですら動揺するこの惨状を、子供達に見せてよいものか? とは言え、背に腹は代えられない。キミはヴィヴリオに報告し、シュネルギア部隊の出撃を要請した。 シナリオダーザイン【部下達からの動揺】 PC4:オフィーツィア 帝都周辺に、灰色天使の大群が発生したとの情報が入る 今までとは状況が違う為、何者かの関与が疑われる。 キミはヴィヴリオから、PC3と共に現地に赴き調査、可能であれば掃討、を命じられた。 だが、ヴィヴリオが妙に焦っているような気がするのは、気のせいか? シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの焦り】 本シナリオは『空のカケラ』後編であり、単発で遊ぶことは出来ない。 必ず前編の『空から降って来た少女』から続けて遊ぶこと。 また本シナリオでは、ガブリエラとミドルフェイズ中に会うことは出来ない。 PC全員の共通点として、遠山桂が天使化した時、その場に居合わせている。これについては『力の、在処』参照のこと。 またPC1は、桂に命を救われた。彼女の命と引き換えにして。 ※遠山桂の『その後』については、各卓のGMに委ねる。 本シナリオの時期は前のシナリオから二週間後くらい、8月1〜4日頃となる。 また、クライマックスにて戦闘が2回発生する可能性がある。 福音フェイズはあるが、実際に福音を発生させるかどうかは任意である。 推奨オーギュメント、特技等 《シメオン》《ブリアー》《イエツィラー》 射程:場面の攻撃特技、対象:範囲の攻撃特技、《デッドエンド》 GMへの注意 前述しているが、本シナリオではシナリオの都合上、ガブリエラとミドルフェイズ中に会うことは出来ない。 その為、前編である程度交流しているとは言え、ガブリエラの印象は薄くなる。 ただしこれは、本シナリオのコンセプトである『悪事を働いた思い入れの薄い相手を、助けるか否か』の為、もともと仕様である。 上手く行ったらPLとGMみんなの手柄とし、上手く行かなかったらシナリオのせいにして下さい。 オープニングフェイズ シーン1 マスターシーン ――空が、飛びたかった。 あの空を、自由に飛べたら。 どこまでもどこまでも、飛んでいくのに。 そして、願いは叶った。 なのに、満たされない。 この乾いた心は、どうすれば、満たされるの? シーン2 マスターシーン マスターシーンで命令を受けるガブリエラ 7月末。 何処かのアパートの一室。 ガブリエラが内蔵通信機で、合衆国にいるパラディンの隊長、ミカエラと交信している。 ミカエラ「そろそろ、頃合いの様ですね。潜伏先である瑞穂基地の者達は、貴女に対して警戒心が無くなったようですので」 ガブリエラ「はい、ミカエラ様。必ずや、作戦を成功させてみせます」 ミカエラ「ええ、吉報を待っていますよ。ではガブリエラ、神の御心のままに」 ガブリエラ「はい。神の御心のままに」 通信が切れる。 一瞬の静寂。 ガブリエラ「……瑞穂の連中は、お気楽な連中ばかりで、羨ましい……いや、わたしは任務を絶対に成功させて、パラディンの隊長にのし上がってやる。それまで、気を抜いちゃ駄目だ」 ガブリエラ「……まず、帝都へ行かなくては。あの辺なら、材料が沢山ある筈」 数日後。 灰色天使の群れが、帝都の付近で大量発生した。 シーン3 シーンプレイヤーはPC4 ヴィヴリオから命令される PC4がヴィヴリオの命令を受けたら、シーン終了とする。 キミはヴィヴリオに、司令室に呼び出された。 ヴィヴリオ「帝都周辺の、天使反応の分布図だ。天使反応があった個所は全て、赤い点で表示されている」 キミはその分布図を確認すると、帝都をぐるりと取り囲むような形で分布している。 ヴィヴリオ「見て分かるかも知れんが……現在、帝都周辺に灰色天使の群れが大量発生している。これまでアバドンの“出産”ペースとは段違いの上、アバドンは基本的にホイシュレッケを生み出し、黒色天使は生み出されていなかった筈だ。その為、この灰色天使の大量発生は、何者かが意図的に仕組んだものと思われる」 ヴィヴリオ「お前はPC3と共に、現地に赴いて状況の確認、可能であれば、天使の群れを掃討しろ」 ヴィヴリオ「頼んだぞ。帝都周辺で起きることは、些細な事でも捨ておく訳には行かん」 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの焦り】 シーン4 シーンプレイヤーはPC3 帝都周辺の惨状を見る。 確認し終えたらシーンを終了する。 キミ達は実働部隊としての命令を受け、帝都に赴いた。 部下その1「うわっ……スゲェ数……何体いるんだ、これ……」 部下その2「ヤバいですね、これ……灰色天使もこれだけ集まったら、俺達だけじゃ手に余ります」 ※これは灰色天使の特技《雲霞の如く》の演出である。 部下その1「……しかもあれ……民間人の服着て……もしかして、帝都周辺で亡くなった人達を、全部天使として再生させたんじゃ……おぇっ」 部下その2「隊長。ここはとりあえず、退きませんか。今の火力では天使の群れを一掃することは出来ません。それこそシュネルギア並みの火力で、辺り一面薙ぎ払うくらいしないと。それに……」 そう言って部下1は、部下2の方を見る。 部下1「オレも、一度、ヴィヴリオ大佐の意見を仰いだ方がいいと思います。こいつの意見には、賛成は賛成なんスけど……ギアドライバーのガキンチョ達に、この姿の灰色天使を始末させるのは、ちょっと」 確かにシュネルギアの協力を要請するならば、大佐に上申する必要がある。 それに部下達も動揺が激しい。 キミは撤退し、PC4と共に、状況をヴィヴリオ大佐に報告した。 シナリオダーザイン【部下達からの動揺】 シーン5 シーンプレイヤーはPC2 維馬篭に呼び出されて『お願い』される 維馬篭の話を聞き終えたら、シーンを終了する。 キミ達は維馬篭に呼び出され、忍(おし)にあるヤシマ陸軍大本営に来ている。 維馬篭「お二人ともこちらまで来ていただいて、ありがとうございます」 維馬篭「瑞穂基地では、誰に聞かれるか分からなかったので、こちらまで来ていただいた次第です」 維馬篭「さて、話ですが……少々、心配事がありましてね」 維馬篭「帝都周辺に、灰色天使の発生が多発しているという話を、耳にしました」 維馬篭「……これはまだ極秘の話ですが、近日中に、帝都を奪還する作戦が発動します。その為に、不安要素は極力無くしたい」 維馬篭「なので、原因が分かり次第、それらを排除して欲しいのですよ」 維馬篭「これは、伊音くんの為にも必要不可欠なことなのです」 伊音が隣で、身体を一瞬びくりと震わせる。 維馬篭「では、お願いしますね」 シナリオダーザイン【維馬篭代胤からの『お願い』】 ※伊音と詳しい話がしたい、と言われた場合、ミドルフェイズのシーン3で伊音とのシーンがある、と伝えること。 シーン6 シーンプレイヤーはPC1 ガブリエラの様子がおかしいことを示唆する セラピアの話を聞き終えたら、シーンを終了する。 ここ数日、ガブリエラの様子がおかしい。 お出掛け等に誘っても気乗りがしない、と断られたり、時間を作って話をしても、そもそも上の空で話を聞いていなかったりと、心ここにあらず、と言った感じだ。 元々、本人から社交的な方ではない、とは聞いていたが、こうも続くと流石に心配になる。 セラピア「リエラちゃん、最近何か様子変だよね」 セラピア「監視の目とかあるから、落ち着かないのかな。それとも」 セラピア「誰かのことが気になる、とか」 セラピア「例えば、パラディンの同僚だったサリーちゃん。サリーちゃん、リエラちゃんに大分ご執心だったっぽいし」 セラピア「あれからサリーちゃんも音沙汰ないねえ。ただ、ボクの勘だと、そろそろ何か起きるんじゃないかな」 セラピアの勘は当たる。良いことでも、悪いことでも。 セラピア「いずれにしろ、用心するに越したことはないんだよ。信じて裏切られることほど、辛いことはないから」 友達になったリエラを疑いたくはないが……こういう時代、こういう世界だから、頭の片隅には置いておかなければ。 シナリオダーザイン【セラピア・パルマコンからの心配】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC4、全員登場 帝都周辺の天使の掃討を命令される。 ヴィヴリオの話を聞き終えたら、シーンを終了する。 キミ達は司令室に呼び出された。 ヴィヴリオ「現地に赴いたPC4、PC3からの報告によるとだ。帝都周辺をぐるりと取り囲むように、灰色天使の大群が発生している」 ヴィヴリオ「通常、灰色天使とは、黒色天使によって殺された人間が、灰色天使として復活する。だが、この数は尋常ではない」 ヴィヴリオ「この大群は、何者かによって召喚されたものだろう。場合によっては、能天使(パワー)級以上の天使の出現も有り得る」 ヴィヴリオ「その為、シュネルギア部隊を出撃させる」 ヴィヴリオ「だが、何が起きるか分からん。細心の注意を払え。特にPC1とPC2、命令を下されたら、速やかに実行しろ。いいな」 何故か、強く念を押すヴィヴリオ。 何か含みがあるようだが……。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 現地に調査に向かうと、天使の召喚陣が発見される。 灰色天使を倒し、召喚陣を発見したらシーンを終了する。 キミ達は現地に到着した。 上空からでも、帝都のエーテル雲の周囲をぐるりと取り囲むように、灰色天使の群れが蠢いている。 PC3の部下その2「この前よりも明らかに増えてますね……」 PC3の部下その1「早く、やっちまいましょう」 全員が発言し終えたら、以下の描写に移る。 セラピア「PC1ちゃん、照準セット出来たから、トリガー引いて。早く」 言葉と同時に、セラピアの思考が流れ込んで来た。 セラピアとは、S.Q.U.I.Dによって思考が繋がり、また戦場の情報共有の為に、他の機体ともリンクしている。 セラピア『(この光景、PC1ちゃんやPC2ちゃんには見せちゃ駄目だ)」 そしてつられて、見てしまった。 眼下に広がる光景の詳細を。 灰色天使達は皆、生前の衣服を着ていた。 ぼろぼろになったもの、真新しいものと様々だが……。 『黒色天使に殺された者は、灰色天使として復活する』 そう言われて、頭では理解していた。いや、つもりだった。 ……キミ達の脳裏に、遠山桂が天使化した光景が、フラッシュバックする。 共鳴判定を行う。 〈意志力〉で判定を行い、難易度3。 ヴィークルの修正値込みでの判定となる。 失敗した場合浸食1を受ける。 成功失敗に関わらずアガペーが3D6上昇、即座にパトスチット3枚を得る。 セラピア「うう、ごめんなさいだよ〜……余計なこと、考えちゃった……」 伊音「PC1、PC2、集中しろ」 伊音「良いか、目の前にいるのは天使以外の何物でもない。……そもそも、彼らは皆、既に死んでいる。死者を救う術はない」 セラピア「……PC1ちゃん、トリガーを引いて。せめてみんなが、安らかに眠れるように」 キミ達が天使の群れを掃討すると、地上に巨大な魔法陣が描かれていた。 〈軍略〉〈情報処理〉で判定を行う。難易度3 これは、一定間隔で近辺で死亡した者を灰色天使として召喚する召喚陣である。 帝都には、7月4日に打ち込まれたミサイルによって、一瞬で塩の柱となった犠牲者が多数いる。 この召喚陣は、その者らを灰色天使として復活させ、召喚している。 これは災厄《生命の実》の効果である。 また、灰色天使はどこからか次々と仲間を呼び寄せる為、更に多くの灰色天使が発生することになる。 セラピア「……この召喚陣、天使十字軍の戦艦の甲板に描かれてるのと、同じやつなんだよ」 伊音「……つまり、合衆国の従軍司祭が関与している、ということか」 セラピア「合衆国から、従軍司祭が侵入してきた。……もしかして」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC2、その他のPCは登場不可 伊音との会話 伊音はPC2の暗殺をしようとするが、失敗する。 伊音のお願いを聞いたらシーンを終了する。 ※伊音を殺さないで下さい。事故ります。 夜更け。 キミの部屋に、誰かが忍び込んで来た。 キミには、気配でそれが伊音だとすぐに分かった。 伊音はキミの寝床に音もなく忍び寄り、刀を抜く。 だが刀は、いつになっても振り下ろされることはなかった。 伊音「……やはり私には、覚悟が足りなかったようだ」 観念した伊音は、刀を鞘に納め、キミに刀を差し出し、正座する。 伊音「まずは、私の話を聞いてくれないか。その後は、お前の好きにすればいい」 伊音「……維馬篭閣下が、私の為に必要不可欠だ、と言った事についてだが」 伊音「帝都奪還作戦……帝都に巣食うアバドンを討ち倒すことが、まず前提だ。その後、八門結界の修復の為に、人柱となる者が必要なのだが……ある術者が人柱として内定していた。……私の妹、紫音だ」 伊音「だが紫音は、私にとって、この世でたった一人、血の繋がった妹なんだ。……私には兄がいた。その兄を私は、次期当主を決める為の立ち合いで殺した」 伊音「兄は身体が弱かった。だが、剣の才は私以上だった。でも、一太刀で、私は……」 伊音「私はこれ以上、血の繋がった家族を、失いたく、ない……。それに、維馬篭閣下に言われたのだ。……お前を、紫音の代わりに人柱にすれば良い、と」 伊音「私が瑞穂基地に着任した本当の理由は、お前を人柱にする為、だった」 伊音「だが、お前と接する内……私は、どうすれば良いのか、分からなくなってしまった」 伊音「そして、この様だ。……お前に切られて終わるのなら、それもいいかも知れん」 伊音「……私は何としても、帝都を奪還せねばならない。……紫音の本懐を遂げさせる為に」 伊音「……それを、お前に手伝って欲しい。その為にも、後顧の憂いは断たねばならない」 伊音「ついさっき殺そうとした相手に、お前はお人好しもいいところだな……だが、それがいい」 伊音「……ありがとう、PC2。お前がそう言ってくれるなら、私は千人力だ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 シーンプレイヤーはPC4、PC2登場不可、PC1とPC3の登場は任意 ガブリエラの正体を調べる。 調査後のヴィヴリオの問い掛けに答えたら、シーンを終了する。 ガブリエラの正体 〈情報処理〉〈事情通〉〈軍略〉いずれかで難易度5 パラディンのメンバーは、フーファイターパイロットであると同時に、天使の召喚を行うことが出来る従軍司祭でもある。 ガブリエラはパラディンにおいて、名前こそ二番手だが、実際の序列は最下位であり、出世欲が異常な程強い。 そもそもパラディンは、『満たされぬ欲望こそが、力の源である』という法王ラルフ・マスケンヴァルの考えの元に結成されている。 例えばミカエラは支配欲であり、その欲望を買われて隊長の座を手にした。 ヴィヴリオ「……懸念は的中、か。ガブリエラの身柄を拘束しろ」 PC2の部下「部屋は既に、もぬけの殻です!」 ヴィヴリオ「何だと?そうか、最初から全て計算済みだったか……すぐ捜索に掛かれ」 ヴィヴリオ「……温情をかけたのは、やはり失敗だった、か。……PC4、お前はどう思う」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 マスターシーン どこかの路地裏。 ガブリエラが内蔵通信機で、ミカエラとの交信を試みている。 ガブリエラ「チッ……繋がらない。この通信機は繋がらない筈無いのに……」 何度も挑戦し、ようやく繋がる。 ガブリエラ「ミカエラ様。帝都周辺に灰色天使を配置し、ヤシマの奴らの戦力を確認。作戦の次の段階に移ります」 ミカエラ「ご苦労様でした、ガブリエラ。もう、何もしないで大丈夫ですよ」 ガブリエラ「……何もしないで大丈夫、とは?」 ミカエラ「法王庁は、貴女の作戦の却下を決定しました」 ガブリエラ「……は?」 ミカエラ「その為、脱出支援も行えなくなりました。ごめんなさいね」 ガブリエラ「え、ちょっと、ごめんなさい、って……それじゃ、私は!?」 ミカエラ「貴女は、自力でヤシマから脱出して下さい」 ガブリエラ「話が違います!潜入作戦の際、脱出時の協力だけはする、って」 ミカエラ「ええ、それも上申したのですが、法王庁から一切の関与を禁じると通達されてしまったのです。だから、脱出は手伝えません。ごめんなさいね」 ガブリエラ「そんな……!」 ミカエラ「じゃあ、脱出頑張って下さいね。では、神の御心のままに」 ガブリエラ「ちょ、ちょっと!」 交信が無慈悲に遮断される。 その後ガブリエラは何度も交信を試みるが、何度やっても繋がらない。 ガブリエラ「は、はは……この状況で、自力で脱出なんて、出来る訳ないじゃない」 ガブリエラ「つまり、私は最初から、捨て駒だった訳だ……。ははは……」 ガブリエラ「……なら、私が生き残るには。みんな、殺すしかない。アバドンを起爆剤にしてヤシマ全土をエーテル雲で包み、ヤシマの連中を皆殺しにしてやる!」 ガブリエラ「その次は、私を捨てた合衆国の連中も皆殺しだ!そうだ、ミカエラ、お前は真っ先に殺してやる!」 ガブリエラのエーテル濃度が急上昇し、その背中にエーテルで出来た翼が生える。 だが、その色は漆黒だ。 ガブリエラ「身体が、軽い……。今なら、何でも出来る。そう、空だって飛べる」 空に飛び上がるガブリエラ。 ついで彼女は空中に召喚陣を幾つも描き、天使を召喚する。 ガブリエラ「……さあ、おいで、お前達。殺戮の時間だ!」 シーン6 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 ヴィヴリオとガブリエラについて話をした後、出撃命令が下る ヴィヴリオが命令を下したら、シーンを終了する。 キミ達は司令室に集まっている。 ヴィヴリオ「ガブリエラは我々に接近し、油断した所で行動を起こす予定だったのだろう」 ヴィヴリオ「彼女は最初から、我々を欺くつもりだった。つまり、お前達への態度も嘘だった、ということだ」 ヴィヴリオ「また、彼女には監視の人員もつけていたが……監視中の記憶が曖昧だと言っている。恐らくは、何らかの力で監視の目を欺いたのだろう。……少々、やり方が稚拙ではあるが」 ※これはシナリオオリジナルの災厄《神の御言葉》の効果である。 これはエキストラひとりを洗脳し、自分の言う事を聞かせる災厄である。 だがあくまでも『お願い』であって『命令』ではない為、自身・他者問わず危害を加えたり、命の危機にさらすような命令は出来ない。 ガブリエラは監視者と接触した際に《神の御言葉》を使い、『特に問題なし』と偽りの報告を上げるよう『お願い』した。 ヴィヴリオ「まあ情けない話、我々はまんまとしてやられた、と言う所だ」 ヴィヴリオ「現在、諜報部の総力を挙げて捜索中だが、ガブリエラの足取りはまだ掴めていない」 その時、管制官の見ていたレーダーが、けたたましい音を鳴らす。 管制官「瑞穂市内で、急激なエーテル濃度の上昇を確認しました!これは……天使化の兆候と、同じものです!」 ヴィヴリオ「何?市内で、何者かが天使化しようとしている、だと?その者のエーテル波長から、それが何者であるか識別しろ」 管制官「これは……今捜索中の、ガブリエラです!今、羽を生やして帝都の方向に飛行を開始!ですが天使化の進行が早く、帝都到達時にマスケンヴァル現象が発生する可能性大です!」 ヴィヴリオ「奴さんに何が起きたのか知らんが、ここでマスケンヴァル現象を起こされる訳にはいかん。シュネルギア部隊は即座に出撃し、ガブリエラを『処理』しろ」 ヴィヴリオ「マスケンヴァル現象が起これば、全てが吹き飛ぶ。それに、帝都周辺でそれが発生した場合、結界、そしてヤシマ全土にどのような影響が及ぶか分からん。いいか、躊躇うな。躊躇えば、自分だけでなく、全員が死ぬものと思え」 会話を終えたらシーンを終了する。 クライマックス シーン1 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 天使化したガブリエラと戦闘に入る直前、サリエラが戦闘空域に全力で突っ込んで来る。 サリエラは苦々しげに「リエラ……ちょっと、遅かったか」 サリエラ「君達が敵であり、リエラに思う所があることは重々承知の上で、頼みがある。リエラを止めるのを、手伝ってもらえないかな」 サリエラ「天使になってしまったら、殺すしかない。それは、君達も知っているだろう?でも今なら、まだ間に合うかも知れないんだ」 サリエラ「私の目的?リエラを連れ戻すことに決まってるじゃないか。私の、大事な女の子なんだから」 サリエラ「……あるいは。天使化して処理しなきゃならないなら、私の手で殺す。あの子の命は、キミ達には奪わせない」 情報収集 〈情報処理〉〈事情通〉〈軍略〉いずれかで難易度3 サリエラの持つ欲望は、愛。ガブリエラを自分だけのものにしたい、というものである。 元々彼女は欲望の強さではなく、フーファイター操縦技術を買われてパラディンにスカウトされた。 事実彼女は、フーファイタードライバーとして、パラディンの中で最も優秀である。 そして、そこで巡り合ったのだ。 運命の人、ガブリエラに。 ガブリエラ「今更……今更、何言ってんのよ。もう、手遅れなのに!」 ガブリエラ「サリーお姉様、どうして、どうしてもっと早く、言ってくれなかったの!」 サリエラ「……そうだね。もっと早く、言っておくべきだった」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 ガブリエラが天使化した『黒い天使』がボス。 データはエンドレスサマー掲載の『黒い天使』に《アバドンの顎》×1、災厄《神の御言葉》×1、《生命の実》×10(オープニングシーン1にて全て使用済み)を追加し、《復活》を削除する。 エンゲージ、その他のエネミー等はそのまま使用する。 ガブリエラは1ラウンド目のセットアップで《アバドンの顎》を使用し、パワー/コマンダーを自分から500m離れた場所に1D6体召喚する。 同時に、召喚されたパワー/コマンダーは、《召喚:ホイシュレッケ:サジッタ》を使用し、コマンダーと同数のサジッタを召喚する。 この召喚されたホイシュレッケ:サジッタは移動せず、また自身の行動を放棄してパワー/コマンダーをカバーリングする。 2ラウンド目以降にパワー/コマンダーが生存していた場合、1ラウンド目と同様の処理を行うこと。 ガブリエラの天使化を止めるには、ガブリエラの【HP】を一度0にする必要がある。 その上で《エーテル》難易度99の判定を成功させる必要がある。 判定を行う場合、サリエラが手を貸してくれて、成功数を+20出来る。 ・成功した場合 サリエラは気を失ったガブリエラを抱きかかえ「ありがとう。これでキミ達に、借りが一つ出来てしまったね」 サリエラ「さて……我が儘ついでに、ここは見逃してくれると、ますます嬉しいんだけど」 ・判定を行わない、あるいは失敗した場合 サリエラはガブリエラを回収。 コックピットから出たサリエラが、拳銃でガブリエラを撃つ。 サリエラ「……さよなら、リエラ」 サリエラ「言っただろ?リエラは、私が殺すって」 サリエラ「さて……まだ、やるかい?やるなら、相手になるけど」 サリエラを見逃しますか? 投降を呼び掛けた サリエラ「……気持ちは嬉しいけど、遠慮しておくよ。監視が付いて自由に出来ない生活なんて、息が詰まってしまう。そんなの、真っ平御免だよ」 彼女の意志は非常に固い。説得は困難だろう。 説得するのであれば、〈意志力〉難易度99の判定を行う事。 ・判定に成功した場合 サリエラ「……キミ達の熱意に負けたよ。じゃあ、私(達)は降伏する。好きにしてくれ」 そう言ってコックピットのハッチを開け、白旗を振る。 エンディングフェイズへと移行する。 ・判定に失敗した、あるいは判定しなかった場合 サリエラ「話は以上かい?それで、どうするんだい?」 見逃すか、見逃さないかの判断に移る。 見逃した ・ガブリエラが生存している場合 サリエラ「ありがとう。もう一つ、借りが出来てしまったね。……じゃあ、またね。次はまた、敵同士か、それとも」 エンディングフェイズへと移行する。 ・ガブリエラが死亡している場合 サリエラ「ありがとう。……これで、リエラを安らかに眠らせてやることが出来る。じゃあ、またね。……次はちゃんと、殺し合おう」 エンディングフェイズへと移行する。 見逃さない サリエラ「まあ、仕方ないか。私とキミ達はそもそも敵同士だ。合衆国とヤシマ、いずれかが滅びるまで、戦うさだめ」 シーンを切り替え、フーファイターとの戦闘になる。 シーン3 サリエラを見逃さなかった場合にのみ発生する。 フーファイターとの戦闘 今回はサリエラは撤退しない。どちらかが全滅するまで戦う。 データはエンドレスサマー掲載のフーファイターに、《アバドンの顎》×1を追加する。 エンゲージ、その他のエネミー等はそのまま使用する。 サリエラは1ラウンド目のセットアップで《アバドンの顎》を使用し、パワー/バスターを1D6体召喚する。 サリエラを撃破した サリエラ「……リエラ。私も、一緒に逝くよ。これからは、ずっと、一緒だ」 (リエラが生存している) リエラ「はい、サリーお姉様……」 撃破後に投降を呼び掛けた場合、シーン2での描写に準拠する。 成功した場合、『判定に成功した』の描写を読み上げる。 失敗、あるいは判定しなかった場合は『サリエラを撃破した』の描写を読み上げる。 描写を読み上げた後、エンディングフェイズに移行すること。 エンディングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC3 部下達と集団墓地で会話 キミは部下たちと一緒に、集団墓地内にある慰霊塔の前にいる。 部下その1「……灰色天使となった人間は救えないし、倒せば羽となって崩れ落ちちゃうから、遺体を弔う事も出来ないんすよね……」 部下その2「そもそも彼らは、帝都に撃ち込まれたミサイルによって塩の柱と化した、屍とすら言えぬモノから再生されました。だから、彼らは二度死んだ、と言えます」 部下その1「まあ、二度目は俺らがやったんすけどね……」 部下その2「だから……形だけでも、弔う事くらいはしたかったんです」 部下その2「……時間です。行きましょう、隊長」 キミ達は、線香の煙の漂うその場を後にする。 ……これが、天使を使役する合衆国との戦いだと分かっていても……やり切れないものはある。 シーン2 シーンプレイヤーはPC2 維馬篭との会話 8月6日。 キミ達は維馬篭に呼ばれ、忍のヤシマ陸軍大本営に来ている。 維馬篭「解決して下さって、ありがとうございます。流石は、PC2(階級)と草薙中尉のお二人です」 維馬篭「さて、あなた方に朗報です。アバドンの解析が終了し、正式に帝都奪還作戦の日程が決まりました。明日7日より、作戦を開始します」 伊音「遂に、なのですね」 維馬篭「ええ。あなた方にもご協力を仰ぎたい、そう思っています」 伊音「……勿論です、維馬篭閣下。私はその為に、この刃を磨いてきたのですから」 維馬篭はそれを聞いて、満足げに頷き「PC2(階級)。吉報を待っています」 シーン3 シーンプレイヤーはPC4 ヴィヴリオとの会話 司令室。キミは今回の事について、ヴィヴリオと話している。 ヴィヴリオ「結局我々は、あの少女達に、最初から最後まで振り回されたな」 ヴィヴリオ「だがこれも、戦争という歪みの産物のひとつに過ぎん」 ヴィヴリオ「……早く、こんな戦争は終わらせたいものだ。そうすれば、ああいった者達を生み出さずに済む」 ヴィヴリオ「ふっ……私らしくもないことを言ったな。忘れてくれ」 シーン4 シーンプレイヤーはPC1 セラピアと、ガブリエラ・サリエラ二人の対処について会話 ・ガブリエラを救出したか ・サリエラ(とガブリエラ)を投降させた、見逃したかそうでないか 以下に、考えられる6通りの結末が記す。 もっと良い結末が導き出せたなら、PLと相談してシーンを作っていくこと。 『ガブリエラを救出し、サリエラ諸共撃破した場合』を除いて、どれが正しくて、間違っているか、トゥルーエンドがどうこう、ということはない。 ・ガブリエラを救出し、二人を投降させた場合 休憩室。 キミ達は、ガブリエラとサリエラの事を話している。 セラピア「二人とも助けられて、良かったねぇ。幾ら戦争とは言え、無駄に命を散らすことはない、そう思うんだよ」 セラピア「まあ、合衆国にいた時みたいに、自由には出来ないだろうけど……」 セラピア「リエラちゃんも、もう恩を仇で返すようなことはやらない、って言ってくれたし」 セラピア「もし、また何かあったら。その時はその時、だよ。何もかも疑ってたら、キリがないし……ずっと疑うくらいなら、最初から助けない方がいい」 セラピア「冷たいって?だって、ボクらがやってるのは、戦争なんだよ。個人のお気持ちで、どうにかなるもんじゃない」 セラピア「だから……こんな戦争、早く終わらせなきゃ」 ・ガブリエラを救出し、サリエラを見逃した場合 休憩室。 キミ達は、ガブリエラとサリエラの事を思い出していた。 セラピア「リエラちゃんは、合衆国にとって捨て駒だったんだよ」 セラピア「パラディンっていう部隊、そして隊長さんが任務に失敗した者をそのままにするとは思えないから、今後はサリーちゃんが面倒見ることになるんだろうけど。ある意味……一番いい結果になった、のかなあ」 セラピア「敵をみすみす見逃すとは、って怒られちゃったけどね。……でも、そういうの、キミらしくてボクは好きだよ」 ・ガブリエラを救出し、サリエラ諸共撃破した場合 休憩室。 キミ達は、ガブリエラとサリエラの事を思い出していた。 セラピア「ねえ、疑問なんだけど。なんで助けたのに殺したの?ボクには、キミの考えがちょっと分かんないんだよ」 セラピア「どうせ殺すなら、最初から助ける必要、無かったんじゃないかなあ。敵であるサリーちゃんの手まで借りて」 ・ガブリエラを救出せず、サリエラを投降させた場合 休憩室。 キミ達は、ガブリエラとサリエラの事を話している。 セラピア「サリーちゃん、リエラちゃんを弔うことが出来て、安心してるって」 セラピア「天使化しかけていたから、遺体すら残らない可能性もあったからね。遠い異国の地で、とは言っても、お墓に眠らせてあげられた分、まだ良かった方なのかなあ」 セラピア「……自分の愛する者を、自分の手で殺す。……その行為の意味と重さを、ボクは知ってる」 セラピア「もう、そんなこと、ボクはしたくないんだよ。……いつも言ってる、『いっちょ、今回も、生き残りましょうかねぇ』って、冗談でも、何でも、ないんだよ」 セラピア「だから……お願い。二人で、生き残ろうね?」 ・ガブリエラを救出せず、サリエラを見逃した場合 休憩室。 キミ達は、ガブリエラとサリエラの事を思い出していた。 セラピア「……遺恨が残ったね。サリーちゃん、きっと次は弔い合戦と称してやって来る筈。それこそ、命を賭けて」 セラピア「自分の愛する者を、自分の手で殺す。……その行為の意味と重さを、ボクは知ってる」 セラピア「もう、そんなこと、ボクはしたくないんだよ。……いつも言ってる、『いっちょ、今回も、生き残りましょうかねぇ』って、冗談でも、何でも、ないんだよ」 セラピア「だから……お願い。二人で、生き残ろうね?」 ・ガブリエラを救出せず、サリエラを撃破した場合 休憩室。 キミ達は、ガブリエラとサリエラの事を思い出していた。 セラピア「……二人は、あの世で一緒になれたのかなあ」 セラピア「非情だけれど、これが戦争。温情なんて、敵にかけてる場合じゃないんだよ」 セラピア「それが、嫌なら……がんばらなきゃだよ。がんばって、強くならなきゃいけないんだよ。今よりも、もっと、ずっと、強く」