――遠い街に3発の ミサイルが落ちて 僕の国で戦争が始まった 合衆国より発射された3発の呪法弾道ミサイルにより、帝都、九嶺(くれい)、隼雄(はやお)が陥落し、ヤシマを守っていた八門結界の大半が消失した。 それは同時に、合衆国との本格的な戦争の始まりを意味していた。 この事実は国内の混乱を避ける為、軍による情報統制によって伏せられた。 ……だが実際には、古都にある比叡鎮守府を標的とした、4発目のミサイルが存在した。 ある機密文書には、比叡鎮守府はそのミサイルの迎撃に成功したことが記されている。 しかし、この事実もまた、軍によって秘匿された。 エンゼルギア天使大戦TRPG アーリーサマー 『比叡鎮守府防衛作戦』 これは、迎撃作戦に関わった、知られざる英雄たちの物語である。 ハンドアウト PC1:メーヴェ所属のソルジャー 八門結界による鎖国を行っているヤシマは、資源が基本的に不足している。 だが、ヤシマを除く世界中全てが合衆国の占領下にある今、資源の入手では容易ではない。 何しろ空も陸も海も合衆国、そして天使の監視下にあり、安全な輸送路など存在しないからだ。 呪法船団による、結界の隙間を縫っての大陸からの物資の密輸入は、常に命懸けの任務だ。 見つかったが最後、天使はそこにある全ての命を刈り取るまで動きを止めないのだから。 キミはその呪法船団の護衛である、統一帝国空軍ルフトヴァッフェのエリート中のエリート、メーヴェの一員だ。 今回もキミは護衛任務を成功させ、休暇の為に比叡の街に降り立った。 久しぶりの陸だ。少しは羽を伸ばせるかな? シナリオダーザイン【自己からの誇り】 PC2:基地所属のオフィーツィア 比叡鎮守府は古くからの軍港であり、大陸から運んで来た資源、ギガプラントで作られた合成食料などを受け入れている。 そしてここから、物資はヤシマ国内に送られる。 すなわちここ比叡は、ヤシマ海側における、最重要拠点なのだ。 キミの直属の上司は、比叡鎮守府司令、金剛衛(こんごう・まもる)少将。 いつも気難しい顔をしている、年齢不詳のスキンヘッドの男性である。 そんな彼が、休暇で上陸したメーヴェ隊員であるPC1を慰労したい、と言う。 キミは命令に従い、PC4を護衛に伴い、PC1を迎えに行った。 シナリオダーザイン【金剛衛からの信頼】 PC3:ヤシマ海にあるギガプラント一号棟の技術者(ウィザード) キミはギガプラントで働く技師の一人である。 まず前提として、鎖国中であるヤシマは、基本的に資源不足に悩まされている。 そして呪法船団による物資の密輸入にも、限界がある。 特に食料問題は顕著であり、それの解決の為、海上ギガプラントは建造された。 ギガプラントではプランクトンから合成食料を生成し、作られた食料はヤシマ全国へと運ばれている。 ギガプラントはヤシマ海と太平洋上に一棟ずつ存在する、ヤシマにとって非常に重要な施設だ。 そしてここ比叡は、ヤシマ海側のギガプラント一号棟からの食料を全国に送る為の中継地点でもある。 尚キミは、現在は交代での休暇で比叡の街にいる。 しばらく陸に上がっていなかったので、羽を伸ばすつもりでいる。 伸ばせると……いいなあ……。 シナリオダーザイン【業務からの解放感】 PC4:比叡鎮守府所属のホムンクルス キミは、比叡鎮守府に配属されている完全機械化兵の内の一体だ。 完全機械化兵の操るフライングユニットは、現状における最大戦力である。 だから基地防衛戦力の大半は、キミ達の部隊が担っている、と言っても過言ではない。 だが全国的に人手、戦力が不足している為、キミも例に漏れず、防衛任務と要人警護、両方ともやらなければならない。 キミ自身がどう思っているかはさておき。 今回、メーヴェの一人であるPC1を慰労する、とのことで、警護に駆り出されたキミ。 とは言え、知らぬ相手でもない。 たまには、知り合いと話に花を咲かせるのも、有りだろう。 シナリオダーザイン【小隊からの信頼】 ※PCは全員、何らかの形で既に顔見知りであるものとする。 オープニングフェイズ シーン1 ミサイル迎撃に臨むPC達。 比叡鎮守府司令、金剛衛の檄が飛ぶ。 金剛「諸君、ここが正念場だ。あの呪法弾道ミサイルは、命に代えても必ず阻止しなければならない」 金剛「あれが着弾すれば、比叡の街は全滅する。だが、あれがもたらすものは、それだけではない」 金剛「ここが陥落すれば、大陸からの資源の入手は絶望的だ。それにギガプラントからの食糧輸送も不可能となるだろう」 金剛「今正に、諸君らに、ヤシマの命運がかかっている」 そして、時は遡る。 シーン2 シーンプレイヤーはPC1 呪法船団を比叡鎮守府まで護衛し、休暇で街へと繰り出す。 キミは僚機と共に、呪法船団の護衛任務で比叡鎮守府に向かっている。 八門結界による鎖国を行っているヤシマは、資源が基本的に不足している。 だが、ヤシマを除く世界中全てが合衆国の占領下にある今、資源の入手では容易ではない。 呪法船団による、結界の隙間を縫っての大陸からの物資の密輸入は、常に命懸けの任務なのだ。 僚機からの通信が入った。 同僚「以前より、合衆国の奴らの警戒が激しくなってるな」 同僚「今回は辛うじて戦闘なしで抜けられたが、次回もこう上手く行くとは限らない」 同僚「今まで以上に、気を引き締めてかからないとだな」 同僚「ところで、お前さんはこれで休暇に入るんだったな」 同僚「久々の陸(おか)だ、ゆっくり休めよ。とは言え、羽を伸ばし過ぎて、羽目まで外すなよ?」 シナリオダーザイン【自己からの誇り】 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 比叡鎮守府司令室で、金剛司令に命令され、PC4を護衛に、PC1を迎え入れる準備をする 比叡鎮守府は古くからの軍港であり、大陸から運んで来た資源、ギガプラントで作られた合成食料などを受け入れている。 そしてここから、物資はヤシマ国内に送られる。 すなわち、ここ比叡は、ヤシマ海側における最重要拠点なのだ。 比叡鎮守府司令室。 キミの直属の上司である、比叡鎮守府司令、金剛衛(こんごう・まもる)が、いつもの気難しい顔のまま話し掛けて来た。 金剛「メーヴェより、PC1が休暇で比叡に立ち寄る、との連絡を貰った」 金剛「常日頃、メーヴェの者達には大変世話になっているので、恒例の慰労会を行いたい」 金剛「確か、君はPC1とは旧知の仲だと聞いている。連絡はよろしく頼む」 金剛「ところで、美味い飯屋をどこか知らんかね?そちらはいつも任せきりなので、とんと疎くてな」 金剛「ふむ、念の為PC4を護衛に連れて行くといい。会計はいつも通り、私の名前で鎮守府に請求するよう、店に伝えてくれたまえ」 金剛「私はいつも通り同席はせんよ。私がいるとお互い、余計な気を遣うからな」 シナリオダーザイン【金剛衛からの信頼】 シーン4 シーンプレイヤーはPC4 任務を終えた後、司令に呼び出されて護衛任務を任される 今日もスクランブルで、キミは空を駆ける。 いつも通り、結界の近くまで合衆国の戦闘機が接近して来たのだ。 だが、これもいつも同様、結界に阻まれ、侵入することは出来ない。 ヤシマに害意を持つもの全てを拒絶する、鎖国中のヤシマを守る絶対防御。それが八門結界である。 話によれば、ヤシマ史上でも一、二を争う非常に強力な術者が、命を削って構築したそうだが。 帰投してキミが一息ついていると、キミの同僚であり同型機の、完全機械化兵が君に話し掛けて来る。 僚機「お疲れ様です、PC4」 僚機「自分が思うに、最近出撃頻度が大幅に増加していると感じます」 僚機「強力な結界で防げているとは言え、こう出撃が多くては休む暇もありません」 僚機「この感覚が、人間の言う『疲れた』という感覚なのでしょうか」 この問い掛けに応えたところで、館内放送がかかる。 管制官『PC4(階級)、司令がお呼びです。司令室までお越し下さい』 僚機「呼び出しのようですね。行ってらっしゃいませ」 キミが司令室に向かうと、比叡鎮守府司令である金剛衛(こんごう・まもる)が待っていた。 金剛「PC4。貴官に護衛任務を命ずる。護衛対象はPC2、及びメーヴェのPC1だ」 金剛「旧知の間柄の方が何かと良いと思ってな。では、よろしく頼んだぞ」 シーン5 シーンプレイヤーはPC3 キミは、ギガプラントで働く技師の一人だ。 ギガプラントとは、海中のプランクトンから合成食料を生成する施設である。 ギガプラントはヤシマ海と太平洋上に一棟ずつ存在する、ヤシマにとって非常に重要な施設だ。 そしてここ比叡は、ヤシマ海側のギガプラント一号棟からの食料を全国に送る為の中継地点でもある。 ギガプラント一号棟から比叡へと向かう船の中で、同僚が話し掛けて来た。 同僚「そっちは久々の休暇か、羨ましいなあ」 同僚「俺は太平洋の二号棟まで出張だっつーのに」 同僚「とは言え、こっちとあっちでの技術交流だから、仕方ないけどな。まあ俺、この仕事好きだし」 同僚「だって、俺達がヤシマ国民の胃袋を支えてるんだぜ?俺達が頑張らなきゃ、みんな腹減らしちまう」 同僚「飢え、ってのは恐ろしいもんだ、って婆ちゃんも言ってた。パン一切れの為に、死人が出るって。俺の目の黒い内は、そんなことは絶対させねえ」 同僚「ちょっとデカく出過ぎたか?でも、俺はこの仕事に誇りを持ってる。そっちはその辺、どう思ってる?」 この問い掛けに応えたら、船の船長が声を掛ける。 船長「そろそろ比叡港に着くぞー」 同僚「久しぶりの上陸だなあ。半年……いや一年ぶりか?」 比叡港に着いたキミ達。 同僚「じゃあ、また一週間後にな。休暇、楽しんで来いよー」 シナリオダーザイン【業務からの解放感】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 活気に溢れる比叡の街の様子、そしてヤシマの置かれている現状を確認するシーン 比叡鎮守府は軍港であり、大陸との貿易港であり、大陸そしてギガプラントからの物資を国内に送り出す、ヤシマ海側屈指の重要拠点である。 その為、戦時下であり鎖国中、という状況でありながら、商店には品物がずらりと並び、昼食時の食事処からは美味しそうな匂いがし、道行く人も笑顔があり、街全体に活気がある。 店員「らっしゃーせー!」 そして、キミ達がある店に入ると、同じ店で全員がばったり行き会う。 状況としては、PC1の歓迎でPC2が同行し、PC4はその警護、PC3はたまたま居合わせた、という形になる。 店員「すいません、皆さんお知り合いのようなので、相席でもよろしいでしょうか?只今、非常に混み合っておりまして……」 この店は軍部御用達ではあるが、一般にも開放されている。 ヤシマ海で獲れた新鮮な素材を使っているのに、値段が安くて、その上美味い。 なので民間人の利用も非常に多いのである。 食事後、お茶を持って来た店員が、ここ最近の様子を話す。 場所が場所だけに、この店には色々な情報や噂が集まるのだ。 店員「そう言えば、コンロンでの話はご存じですか?」 店員「コンロンで起きた反合衆国運動に、天使兵が動員されたそうで……多くのレジスタンスが虐殺された、という話です」 ※後にこの事件は、七月の虐殺と呼ばれることになり、また、タン・メイリィが親しい者達を全て失い、天使への憎悪を大きく募らせた事件でもある。 店員「それと、大陸から物資の輸入も、合衆国による妨害が増え、困難になってきているとか」 ※呪法船団の護衛任務に就いているPC1も、その身を以て実感している。 店員「その内、大掛かりな侵攻でもあるのでは、と巷でも噂になっています」 店員「もし、もしもですよ。ヤシマは結界で守られているから安全だ、という前提が崩れたら……ヤシマはいったい、どうなってしまうのでしょうか」 これに対し、各々が何らかのリアクションを返したら、シーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC2、PC4登場可、PC1とPC3は登場不可 警戒態勢を強めるシーン 比叡鎮守府司令室。 関東地方にある里見海軍基地との、定期連絡を終えた金剛司令。 金剛「先程の定期連絡で、太平洋、及びヤシマ海上にて、合衆国天使十字軍の艦隊が集結しているという報告があった」 金剛「現時刻をもって、比叡鎮守府は第二種戦闘配備へと移行する」 ※第二種戦闘配備: 出動体勢のまま待機する場合に発令される。 ロボットや車両などは、いつでも第一種戦闘配備に移れるよう燃料を満載し、出撃準備を行う。 パイロットや戦闘員は、いつでも第一種戦闘配備に移れるよう、所定の場所で待機する。 金剛「比叡は、大陸からの資源の受け入れ口であり、そしてギガプラントからの食料を国内に送り出す重要拠点、すなわちヤシマの生命線である」 金剛「比叡が落ちる時、それはヤシマが落ちる時と言っても過言ではないだろう。兵器は作れない、食料もないでは……ヤシマに勝ち目はない」 金剛「ギガプラントを最優先防衛目標として厳命する」 金剛「国民を飢えさせる訳にはいかん。我々は、もしもの時に備えなければならない。それが徒労に終わろうとも」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC4、PC1とPC2登場可、PC3は登場不可 再び哨戒飛行へと赴くシーン 第二種戦闘配備へ移行し、物々しさを増した比叡鎮守府。 そんな中、キミ達の小隊は哨戒飛行に出る。 ……静かだ。 静かすぎる。 僚機「……静か、ですね。嵐の前の静けさ、というやつでしょうか」 僚機「目視は勿論、レーダーにも合衆国軍の反応が全くありません。通常ならば、何かしらの反応があって然るべきなのに」 僚機「何かの為に、予め友軍を退避させた、とか?」 僚機「警戒を更に強化する必要がある、と自分は考えます」 データを持ち帰る為、急いで基地に戻るキミ達。 途轍もなく、嫌な予感がする。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 マスターシーン エーテルレーダーに大きな光点が3つ表示され、遅れて1つ表示される。 合衆国から発射されたそれは、凄まじい速度でヤシマ目掛けて飛んで行く。 後の1つは何かトラブルでもあったのか、速度が遅い。 数多くの天使核を積んだ、呪法弾道ミサイル。 それが光点の正体である。 先に放たれた3発のミサイルは、帝都・九嶺・隼雄の3ヶ所同時に、八門結界に接触。 ミサイルは結界を徐々に侵食し、結界が軋みを上げる。 そして遂には、結界の一部を消し飛ばし、3ヶ所の上空で炸裂する。 その瞬間、各地のエーテル計器の針が振り切れると同時に、結界と直結した龍脈を通じて、激震がヤシマ全土を襲う。 揺れが収まった後、帝都・九嶺・隼雄には動く者は何一つなく……ただ塩の柱が乱立するばかりであった。 シーン5 シーンプレイヤーはPC3、他PCの登場は任意 同僚から電話が掛かって来たが途中で切れ、避難することになるシーン 一方その頃。 比叡で休暇を満喫するキミに、同僚から電話が掛かって来た。 同僚「休暇、楽しんでるかー?」 同僚「こっちも出張が終わって、これから帰りの船に乗るところだ。お土産買ってこうと思うんだが、何がいい?」 キミがそれを答えた瞬間、通話に激しいノイズが走り、ブツッと電話が切れる。 その直後、激しい揺れが襲う。 数分後、ようやく揺れが収まったかと思うと、今度はサイレンが鳴り響く。 管制官「空襲警報です。民間人は、すぐ近くのシェルターに避難してください」 キミがシェルターに向かおうとすると、避難誘導中の金剛に行き合う。 金剛「おお、キミは確か、PC2の知り合いの」 金剛「済まんが、避難誘導を手伝ってくれんか」 キミはなし崩し的に避難を手伝わされ、司令室まで連れて来られた。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 駆り出されるPC1とPC4 比叡鎮守府司令室。 金剛「今、避難誘導に人員を割いている為、人手が足りない。それに各基地との通信も出来ず、状況も不明。八方塞がりとはこのことだ」 管制官「今、ノイズ交じりですが、通信を傍受しました!」 金剛「通信は何と言っている?」 管制官「本土にミサイルが3発着弾したとのこと、帝都、九嶺(くれい、呉)、隼雄(はやお、宮崎)完全に音信不通、とのことです!」 金剛「ふむ……規模は不明だが、電信もエーテル通信も繋がらない以上、被害甚大なのは間違いない」 金剛「PC4が持ち帰ったデータにより、もう1発のミサイルがここ比叡を狙っており、着弾まであと10分と予想されている」 金剛「比叡まで陥落すれば、ヤシマの生命線は完全に断たれる。それだけは、何としても阻止しなければならない」 金剛「休暇中であることは重々承知しているが、比叡の防衛に、手を貸して欲しい。この通りだ」 金剛が頭を下げる。 基地の面々「我々からもお願いします。皆さんの力が、必要なんです」 司令室にいる一同が、揃ってPC1とPC3に頭を下げる。 金剛「済まない、この借りは必ず返す」 会話を終えたらシーンを終了する。 クライマックスフェイズ シーンプレイヤーはPC1、全員登場 ミサイル迎撃に臨むPC達。 比叡鎮守府司令、金剛衛の檄が飛ぶ。 金剛「諸君、ここが正念場だ。あの呪法弾道ミサイルは、命に代えても必ず阻止しなければならない」 金剛「あれが着弾すれば、比叡の街は全滅する。だが、あれがもたらすものは、それだけではない」 金剛「ここが陥落すれば、大陸からの資源の入手は絶望的だ。それにギガプラントからの食糧輸送も不可能となるだろう」 金剛「今正に、諸君らに、ヤシマの命運がかかっている」 呪法弾道ミサイルは、エンドレスサマー掲載の天使戦艦のデータを使用する。 ただし《復活》は削除する。 攻撃の演出は自動迎撃システムのものとし、また取り巻きのホイシュレッケは全て天使戦闘機(データはそのまま)とする。 3ラウンドが終了した時点で、比叡にミサイルが着弾し、全滅する。 エンディングフェイズ シーン0 ミサイルの迎撃に失敗した場合にのみ描写される。 ヤシマを襲った、4発のミサイルのもたらした破壊は、非常に大きかった。 特に八門結界への影響は大きく、霊的拠点を4ヶ所同時に失ったことにより、結界はその強度を著しく低下させ……外敵の侵入を防ぐことが、不可能となった。 また更に数日後、ヤシマ海・太平洋上にあったギガプラント2棟が立て続けに消滅。 ギガプラントを失ったことにより、近い内に食料が枯渇するのは明白であった。 この日、7月4日は、合衆国との開戦日であり……同時に、ヤシマの敗北が決定的になった日でもある、と、後の資料には残されている。 ……世界が、そのまま残っているならば。 シーン1 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 ミサイルの迎撃に成功した 金剛が今後起きるであろうことを話すシーン 比叡鎮守府司令室。 金剛「先程入った情報によれば、呪法弾道ミサイルによって帝都、九嶺、隼雄が陥落し、ヤシマを守っていた八門結界の大部分が消失したとのことだ」 金剛「今後は、結界が張られていた今までのようには、行かないだろう。合衆国、そして天使の脅威に晒されるのは間違いない」 金剛「だが比叡は残った。大陸との航路、そしてギガプラントが守られた、まだ一縷の望みがある。諸君らの健闘を讃えたい」 金剛「ただ……恐らくは、比叡を狙ったミサイルが存在したこと、キミ達がこの作戦に関与したことも、情報統制で無かった事にされるだろう」 金剛「だが、この街の皆は知っているし、絶対に忘れない。キミ達という英雄が人知れず比叡を、ヤシマを救った事を」 シーン2 シーンプレイヤーはPC4 僚機の完全機械化兵と会話 天使接近が増え、緊急出撃を繰り返す毎日が訪れる 格納庫。 共に帰還した僚機が、話し掛けて来た。 僚機「前にも増して出撃が増えました。統計を取らずとも明らかです」 僚機「……自分達が機械で良かった、と思います。疲れを知らない訳ではありませんが、自分達は人間より、遥かに頑丈です」 僚機「人間では、この過酷なローテーションに耐えられないでしょう。PC4はどう思いますか」 僚機「自分達は、これまで以上に重要な戦力になると思われます。……頑張りましょう」 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 何とか帰って来た同僚と会話 予定の日程から数日程遅れて、同僚は帰って来た。 同僚「いやあ、酷い目にあった。帝都が全面通行止めになってたせいで足止め食らって、なかなか帰って来れなかった」 同僚「地震の被害、相当出たらしいって話だけど、本当は何があったんだ?」 真相を話す 同僚「……そうだったのか。良く生きて帰って来れたな、お互い。運が良かっただけ、かもだが」 話さない 同僚「お前も詳しい話は知らないのか。……政府が情報統制でもしてるのかね」 そんな事を話していると、血相を変えた別の同僚が駆け込んでくる。 同僚その2「大変だ!二号棟が!」 同僚「どうしたんだよ、そんな慌てて」 同僚その2「これが落ち着いていられるか!太平洋上の二号棟が、無くなっちまったって連絡が入ったんだよ!」 同僚その2「何者かによって『喰われた』みたいに、基部から消失したって話だ!」 彼はそれだけ言うと、他の者に知らせるべく去って行った。 同僚「……間一髪だったんだな、俺 。そのまま二号棟にいたら、生きて帰れなかったんじゃないか?」 同僚「……ギガプラントは、ここヤシマ海側の一号棟だけになった。ヤシマ国内の食料が不足するのも、時間の問題だろう」 同僚「今までだって完全とは言えなかった供給能力が、半分になっちまった訳だからな。なら、俺達のやる事はただ一つ」 同僚「ここが、ヤシマの台所、最後の砦だ」 シーン4 シーンプレイヤーはPC2 司令の金剛との会話 天使の急増を実感し、状況の悪化を目の当たりにする 司令室。 金剛司令が、キミに話し掛けて来た。 金剛「あの日以降、今まで目撃例のない個体が多数見られるようになった。その個体はホイシュレッケ、蝗と名付けられたそうだ」 金剛「確かに、戦闘機などに喰らい付き、貪り喰らう様は、蝗と呼ぶに相応しい」 金剛「幸い、比叡周辺の結界はまだ健在の為、それらの侵入は防げている。だが、それがいつまで保つかは分からん」 金剛「それに、一体でも侵入を許したら、どれだけの被害が出るか」 金剛「最大の問題は、いつまで厳戒態勢を維持出来るか。それはここだけの問題ではなく、ヤシマ全体の問題だ」 金剛「太平洋側の結界に綻びが生じ、ギガプラント二号棟も消滅した今、国外からの物資調達、国内への食料供給など、比叡の存在意義はますます大きなものとなっている」 金剛「諸君らにも苦労をかけることだろう。だが我々は、この地を死守しなければならない。ヤシマを、そして国民を守る為に」 シーン5 シーンプレイヤーはPC1 ヴィヴリオとの会話 瑞穂基地に出向し、シュネルギア部隊への教官役を命じられる キミはメーヴェとしての任務に戻る筈だったが、瑞穂基地への出向命令が下った。 瑞穂基地司令室。 一見年端もいかぬ少女に見える人物こそ、統一帝国親衛隊・兵器開発局第13実験部隊ドライクロイツの長であるヴィヴリオだ。 曰く、兵士を効率的に死なせる冷徹な指揮官。 曰く、四十年戦役の頃から暗躍する魔女(ヘクセ)。 曰く、世界の裏で蠢く秘密結社、ヴリルソサエティのエージェント。 彼女の周りには、常に黒い噂が纏わりついている。 ヴィヴリオ「私が、ドライクロイツの長であるヴィヴリオだ。階級は大佐だ」 ヴィヴリオ「貴官が、比叡へのミサイル着弾を阻止した、PC1(階級)か」 ヴィヴリオ「貴官のその腕を見込んで、頼みがある」 ヴィヴリオ「我々は対天使決戦兵器、第三世代人間戦車(メンシェンイェーガー)を開発した。その名はシュネルギア」 ヴィヴリオ「シュネルギアは非常に強力な兵器だが、様々な問題も抱えている。選ばれた子供達、ギアドライバーにしか動かす事は出来ず、また力に飲まれれば天使化(エンジェライズ)の危険性もある」 ヴィヴリオ「そう、貴官の思う通り、欠陥兵器だ。だが我々には、シュネルギア、そして子供達に頼らねば、この戦いに勝利することは出来ない」 ヴィヴリオ「貴官には、天使と戦う術(すべ)と、戦場で生き残る為の心構えを、子供達に叩き込んでやって欲しい」 ヴィヴリオ「……我々は既に一人、貴重なギアドライバーを失っている。部隊の士気を保つ為にも、これ以上の犠牲はあってはならない」 ヴィヴリオ「だから……頼む。子供達を、これ以上死なせない為に」 そう言ったヴィヴリオの表情は、噂とはかけ離れたものだった。 あとがき 10ヶ月ぶりにシナリオが書けました。 去年25本書いた人間が、10ヶ月1本も書けなかったら充分スランプだと思うんですよ。 ネタを提供してくれた向さんとNEMOさんに感謝。 雑談から膨らませられる辺り、引き出しの多い人は羨ましいなあと思う次第です。 自分、不器用ですから……引き出しが少ない上に、公式設定に凝り固まってまして。 どうしても公式設定に準拠した話になってしまう。もっと自由でいいとは思うのですが。 なので公式設定の外からネタを提供してもらえると、とても捗ります。