今回予告 ある日、天使の攻撃で倒れた紀央。 目を覚ました彼女は、異なる名前を口にする。 彼女が思い出したのは……死と共に失われた、本当の記憶と感情。 揺らぐアイデンティティー。 わたしは……誰? エンゼルギア天使大戦TRPG 『フタリの記憶』 いつまでも忘れないでいるよ ハンドアウト PC1:ギアドライバー/ナビ:紀央 ある日の戦闘で、天使の攻撃を受けた紀央が倒れた。 幸い命に別状はなかったが……目を覚ました彼女はキミに、こう告げた。 『あの、どちら様ですか?』 まさか、また記憶の喪失が? そんな馬鹿な。 紀央はもう大丈夫な筈だ。 シナリオダーザイン【???からの警戒】 ※???については、ミドルフェイズのシーン1で開示される。  また、ハンドアウトに書かれているシーンが描写されるのも、ミドルフェイズのシーン1となる。 PC2:ギアドライバー/ナビ:桂 紀央が天使の精神攻撃により倒れ、目を覚まさない。 そんな折、桂が嫌な予感がする、と言い出した。 紀央が目を覚ました時、厄介なことが起きそうだ、と。 だが何が起ころうとも、PC1と紀央を信じて支えなければ。 それが、『仲間』というものだ。 シナリオダーザイン【遠山桂からの不安】 PC3:オフィーツィア 紀央が倒れ、PC1と共に帰還させたが、紀央はすぐに目を覚まさなかった。 軍医の羽村ならば、紀央に以前起きた事件についても把握している。 ヴィヴリオからの要請もあり、キミは羽村に協力を仰ぐことにした。 シナリオダーザイン【羽村総司からの持ちつ持たれつ】 PC4:ソルジャー キミ達の部隊は指揮官の天使に一撃叩き込み、撤退に追い込んだ。 だが、そいつは戦場から消えるまで、ずっとこちらを見ていた気がする。 どうやら、目をつけられたようだ。 いいだろう、次も返り討ちにしてやる。 シナリオダーザイン【天使からの執着】 本シナリオは7月末を想定している。 紀央には7月半ばに既に生命の危機(肉体の限界、それに伴う五感の消失や記憶の喪失等)が訪れ、それをPC1が起こした奇跡により乗り越えている、という前提となる。 ※拙作『A BEGINNING FROM THE END.』を既に遊んでいる想定である。 オープニングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC1 ある日の天使との戦闘で、紀央が倒れるシーン それは、7月もそろそろ終わろうとする、ある日の事だった。 襲撃して来た天使の迎撃に出たキミ達。 天使が、歌う。 エーテルによる、全方位に対する精神汚染。 紀央「ぐ、うぅっ……あ、頭が、割れそうです……!」 紀央の苦悶の声を聞き、キミはケルンを全開にして防御に回す。 紀央「はぁ、はぁ……PC1、様……ごめん、なさい……」 そう呟いて気絶する紀央。 ヴィヴリオから通信が入る。 ヴィヴリオ「PC1、司鏡のバイタルサインが急激に低下している。すぐ撤退し、基地に帰還しろ」 ヴィヴリオ「各員に告ぐ。PC1・司鏡機を撤退させる。その為の時間を稼げ」 各PCに一言ずつリアクションを貰うこと。 帰還し、紀央は緊急治療室に運ばれる。 頼む、どうか無事でいてくれ。 最後にPC1に一言貰い、シーンを終了する。 シナリオダーザイン【???からの警戒】 シーン2 シーンプレイヤーはPC4 天使を撤退に追い込むシーン 部下「隊長、指揮官の天使を思いっ切りぶん殴って、撤退させましょう」 部下「そらそら、お前達の大好きな対天使ミサイルだ、たんと喰らいな!」 意外にも力押しの作戦は功を奏し、指揮官の天使に何発も直撃させ、撤退させた。 部下「作戦成功ですね、隊長!」 部下「どうしましたか、隊長?」 部下「あの天使が、こっちを見ていた気がする、と。成程、好都合かも知れません」 部下「我々が囮になれば、その分シュネルギアへの反応が薄くなります。その隙に、天使を倒してもらいましょう」 シナリオダーザイン【天使からの執着】 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 羽村に協力を仰ぐシーン ヴィヴリオ「司鏡はまだ目を覚まさんか……」 ヴィヴリオ「以前にも紀央が倒れた事はあったが、その原因については取り除かれている。今回は何か別の要因が影響しているのだろう」 ヴィヴリオ「司鏡はヤシマ陸軍八咫衆の一員だ。同じヤシマ陸軍の情報二課所属、羽村特務中尉であれば、何か分かるかも知れん」 ヴィヴリオはニヤリと笑い「それに、羽村は以前の件も把握している。泳がせているのだから、こういう時は協力して貰わんとな」 大佐、あなたとっても悪い顔してますよ。 シナリオダーザイン【羽村総司からの持ちつ持たれつ】 シーン4 シーンプレイヤーはPC2 桂と会話するシーン 桂「なーんか、嫌な予感するんだよね」 桂「紀央、まだ起きてないけど……厄介なことが起きそう」 桂「んー、虫の知らせと言うか、女の勘?ほら、わたし元々セラピアのパートナーだったじゃない?だから、そういうの結構、信じてるんだよね」 桂「ま、何か起きても、信じて支えて上げるのが、仲間ってもんだけどね」 シナリオダーザイン【遠山桂からの不安】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC1、PC3自動登場、PC2・PC4の登場は任意 目を覚ました紀央 失われていた記憶、自分が『司鏡』となる以前のことを思い出すシーン PC3の携帯に着信が入る。 電話をかけてきたのは羽村だ。 羽村「今、大丈夫かい?」 羽村「紀央ちゃんが目を覚ましたんだけど……様子がおかしいんだ」 羽村「まあ、会えば分かると思うから、PC1と一緒に来てくれないかい?」 医務室。 紀央がベッドで上半身を起こして座っている。 声をかけると 紀央「あの、どちら様ですか?」 紀央「それに、ここはどこですか?確かわたし、結界維持の任務に就いていた筈なのに」 名前を聞いた 「わたしは日高紀央です、司鏡?誰のことですか?」 これに対しPC1がリアクションした後 紀央「うぅ、頭が痛い……。わたし、は……PC1、様……?ごめんなさい……」 紀央がまた倒れる。 羽村「どうやら、気を失っただけみたいだけど……記憶の混濁が発生しているみたいだ。今はちょっと、無理させる訳には行かないな」 羽村「ただ……この前、紀央ちゃんの身体の問題は解決してる筈だ。これは……紀央ちゃんの『過去』が関係してるんじゃないかと思う」 羽村「ちょっと俺の方も伝手を当たってみるけど、そっちでも調べてくれないかな」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC2、他のPCの登場は任意 心配する桂と会話するシーン 桂「……大丈夫かな、紀央」 紀央「自分のこと日高紀央、って言ってたけど、どういうことなんだろう」 桂「……ほら、わたし、紀央が着任した辺りって、死んでたからさ。詳しいこと、知らないんだよね」 若干気まずい雰囲気になったら、以下の描写に移る。 管制官「天使が再び出現しました!指揮官の個体は、前回と同一個体です!」 桂「ったく、忙しいなあ。ゆっくり話してる暇もないや。行こ、PC2」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC4、PC2・PC3自動登場、PC1の登場は任意 ヴィヴリオの命令により、PC1以外で迎撃に発進するシーン ヴィヴリオ「今、紀央は出撃させられん。お前達だけで何とかしろ」 戦いの末、キミ達は天使を再び撤退させることに成功する。 帰還し、ヴィヴリオが呟く。 ヴィヴリオ「今回はたまたま上手くいった。だが、このままの状況が続くのは非常にまずい」 ヴィヴリオ「だが、紀央の問題を解決しなければ、どうにもならん」 ヴィヴリオ「……さて、どうしたものか」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 シーンプレイヤーはPC3、他のPCの登場は任意 ヴィヴリオから紀央の過去について調査するよう命じられるシーン キミはヴィヴリオに呼び出された。 ヴィヴリオ「PC3、恐らく命令に見当がついているとは思うが、紀央の過去について調査してくれ」 ヴィヴリオ「……『司鏡』になる前の紀央についてだ」 ヴィヴリオ「以前、紀央の肉体が限界を迎えた時、その辺まで手が回らなかったからな」 ヴィヴリオ「だが今回はそうも言っていられん。このままでは、紀央は使い物にならん。戦力が足りん」 ヴィヴリオ「……何らかの形で解決しなければ、彼女は遅かれ早かれ、精神崩壊を起こすだろう。そうなってからでは遅い」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 シーンプレイヤーはPC3、全員登場 情報収集シーン 〈情報処理〉〈話術〉〈軍略〉いずれかで難易度1、5 ※〈話術〉で判定する場合、水鏡アヤメと会話するシーンとなる。 結界維持班を招集した張本人であり、紀央に『司鏡』の姓を与えた、八坂機関天使課長で八咫衆の総帥である水鏡アヤメは、紀央の過去を知っている。 〈情報処理〉〈軍略〉で調査した場合、羽村から情報が手に入ったと連絡が来る。 羽村「紀央ちゃんの情報、手に入ったよ。八咫衆に探り入れたから、ちょっと苦労したけどね」 以下の情報を読み上げる。 難易度1の情報 ヤシマ陸軍陰陽部結界維持班の一人。 結界維持班のメンバーの多くが、巫女と呼ばれるヤシマのシャーマンである。 紀央はその内でも、呪法弾道ミサイル着弾時、当直に当たっていた一人である。 紀央以外の者は全員即死したが、彼女のみ奇跡的に蘇生に成功したもの、記憶と感情を失い、その代償として"黒い天使核"を得た。 このことが判明した結果、紀央の所属はヤシマ特務機関、八咫衆に変更され、司鏡の姓を与えられた。同時にG3から提供された記憶移植技術によって最低限の記憶と感情を転写。ナビゲーターとして、瑞穂基地に配属された。 難易度5の情報 紀央の元々の名前は日高紀央(ひだか・きお)。 四国地方の木国(きのくに)にある日高神社の娘である。 家族や親戚は、7/4に中国・四国地方(目標は九嶺(くれい)にあるヤシマ海軍の軍港)に撃ち込まれた呪法弾道ミサイルにより亡くなっている。 また、結界維持班で共に当直に当たっていた者は皆死亡している為、彼女の過去を知る者はほとんどいない。 〈話術〉で調査した場合、羽村の伝手で水鏡アヤメと会う機会を設けてもらうことになる。 ※水鏡アヤメについては所属と名前以外の公式情報が全くない為、ロリババアとして描写する。 アヤメ「わしが、八咫衆総帥の水鏡アヤメじゃ」 アヤメ「なんじゃその顔は。わし、こう見えても偉いんじゃぞ。第一、お前達の所のヴィヴリオだって、同じようなもんじゃろ」 アヤメ「……まあ、そんな事はどうでも良い。司鏡紀央について聞きたい、そういう話じゃったな」 難易度1の情報 アヤメ「司鏡紀央の限界を何とかしておるから、もう知っておるだろうが、あれはヤシマ陸軍陰陽部結界維持班の一人じゃった。その内でも、呪法弾道ミサイル着弾時、当直に当たっていた一人」 アヤメ「あれ以外の者は全員即死したが、あれだけは奇跡的に蘇生に成功したもの、記憶と感情を失い、その代償として"黒い天使核"を得た」 アヤメ「故に、所属をヤシマ特務機関、八咫衆に変更し、司鏡の姓を与えた。同時にG3から提供された記憶移植技術によって最低限の記憶と感情を転写。ナビゲーターとして、瑞穂基地に配属した。ここまでは、もう知っておろう」 アヤメ「蘇生したとは言え、身体は既にボロボロじゃった。どうせ短い命、その間だけでも役に立ってもらおうと思うてな。まあ稼働時間についてはお前達が問題を解消してくれたので、わしらとしても色々と貴重なデータが得られたので、感謝しておる」 難易度5の情報 アヤメ「あれの元々の名前は日高紀央(ひだか・きお)。四国地方の木国(きのくに)にある、日高神社の娘じゃった」 アヤメ「あれの家族や親戚は、7/4に九嶺(くれい)にあるヤシマ海軍の軍港目掛け撃ち込まれた呪法弾道ミサイルにより死んでおる。それに、結界維持班で共に当直に当たっていた者は皆死んでおるから、あれの過去を知っているのは、わしくらいじゃな」 あれ呼ばわりや扱いに対し何か言われた アヤメ「何を今更。あれを戦争の道具として使っているのは、お前達とて同じじゃろう?実際役に立っとるんじゃし」 アヤメ「わしも忙しいんじゃ、話が終わったのならとっとと帰れ。こんなところで油売ってる場合じゃなかろうよ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 シーンプレイヤーはPC1、他のPCの登場は任意 目を覚ました紀央と会話するシーン キミは紀央が目を覚ましたと聞かされ、面会に行った。 紀央「わたしは……誰なんでしょうか」 紀央「わたしは日高紀央、でした。ですが、一度死んで、司鏡という名前を与えられて、記憶と感情を与えられて、今は司鏡紀央と名乗っている……」 紀央「教えて下さい、わたしは誰なんですか」 紀央「……あなたなら、教えてくれると思ったんです」 PC1がそれに対しリアクションを返したら 羽村「……そろそろ面会時間、終わりなんだ。あまり、紀央ちゃんに無理させる訳にいかないからね」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン7 シーンプレイヤーはPC2、他のPCの登場は任意 桂と会話するシーン 桂「わたしは誰、か……」 桂「わたしとは状況は違うけど、自分のアイデンティティーが揺るがされる、っていうのは分かる気がするな」 桂「わたしは、遠山桂であると同時に……完全機械化兵、T−Xだからね」 桂「わたしは、遠山桂の脳をクローニングし、遠山桂の黒い天使核を使用して製造された完全機械化兵、T−X」 桂「でも、わたしの場合は、T−Xとしての自我が定着する前に、かつての自分……遠山桂としての記憶を思い出した。だから、紀央みたいなことにはならなかった」 桂「でも今の紀央は、『司鏡紀央』としての記憶を定着させてしまった。紀央がここで過ごした期間は一ヶ月にも満たないけれど、それだけ、ここでPC1やみんなと紡いだ記憶が鮮烈なんだろう、とわたしは思う」 桂「ただ……『司鏡紀央』と『日高紀央』の記憶が両方あるのは、言い方は悪いけど、片方からすれば『異物』になる」 桂「その『異物』を早急に何とかしないと、紀央が壊れちゃうよ」 この台詞に対しPC2がリアクションを返したら、以下の描写に移る。 管制官「天使が再び出現しました!指揮官の個体は、前回と同一個体です!」 桂「ったく、ホント忙しいなあ!行こ、PC2。……さて、PC1と紀央抜きで、どこまで出来るやら」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン8 シーンプレイヤーはPC4、PC2・PC3は最初から登場、PC1は途中からの登場となる 天使が再々出現、出撃するシーン ヴィヴリオ「PC4。お前は天使に狙われているとの事だったな。ちょうどいい、お前達は囮となって、敵を引き付けろ」 ヴィヴリオ「PC2、PC4が敵を引き付けている内に、死角から攻撃を仕掛けろ」 ヴィヴリオ「PC3、陣頭指揮を頼む。今回もPC1の代わりは出せん。お前の采配に全てが掛かっている」 先にPC1以外で出撃するが、敵は物量を投入し、圧され気味である。 ヴィヴリオ「……背に腹は代えられん、か」 結局、PC1に出撃要請をすることになる。 ヴィヴリオが医務室にやって来た。 ヴィヴリオ「PC1、紀央。出撃だ」 ヴィヴリオ「今は辛うじて持ちこたえているが、戦線が崩れるのも時間の問題だ」 紀央「……そうであれば、協力します」 紀央「ですが、わたしがいつどうなるか、わたしにも分かりません。それでも、よろしければ」 ヴィヴリオ「その時はすぐに撤退、帰還しろ」 紀央「はい。では行きましょう、えーと……」 紀央「PC1、さん……。何だか、とても懐かしい響きに聞こえます」 会話を終えたらシーンを終了する。 クライマックス シーン1 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 天使兵との戦闘 エネミーデータは破壊の天使を使用する。 天使は可能な限り、PC4(のいるエンゲージ)を狙う。 また、災厄《妬む神》×1を追加する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 天使を倒すが、天使の放った断末魔の叫びにより、再び記憶の混濁が発生する。 ※これは《妬む神》の効果とする。 紀央「わたしは、日高……司鏡……頭が、割れそう……」 〈話術〉〈意志力〉〈情報処理〉いずれかで難易度99 失敗すると彼女は精神崩壊を起こし、廃人になる。 紀央「これ、は……ありがとうございます、PC1様(さん)」 ・元々の日高紀央の記憶で上書き ・今の司鏡紀央の記憶で上書き ・日高紀央、司鏡紀央の記憶を統合する 上記3つに合わせたエンディングを用意する エンディングフェイズ 以下のエンディングは、紀央が廃人にならなかった場合のエンディングである。 そうでなかった場合、PLと相談してシーンを演出すること。 シーン1 シーンプレイヤーはPC4 部下との会話 部下「天使を無事、始末出来ましたね」 部下「ある意味、我々を狙ってくれたのは、幸いと言えます。我々が敵を引き付けている間に、シュネルギアが撃破してくれたのですから」 部下「……まあ本音を言いますと、我々には天使に対する決定打が無いから、それくらいしか役に立てない訳ですが」 部下「しかし……あんな状態の子まで、戦場に引っ張り出さなきゃならないこの現状……早く、どうにかしたいものですね……」 シーン2 シーンプレイヤーはPC3 羽村との会話 キミは医務室で、羽村と話をしている。 羽村「……彼女もまた、天使大戦、呪法弾道ミサイルの犠牲者なんだよねえ」 羽村「……彼女へ施された処置は、非人道的にも程があるよ。記憶と感情を無理やり植え付け、戦争の道具に仕立て上げた。長くは保たない、と知りながら」 羽村「いや、その処置に一枚噛んでる俺が言えた義理じゃないか」 羽村「ま、俺達は、どんな犠牲を払ってでも、合衆国に勝たなきゃならないんだけどね。さもなきゃ、俺達に残されてるのは滅びの道だけだからさ」 羽村「なーんかヴィヴリオ大佐とかうちの上司みたいなこと、言っちゃったなあ」 ヴィヴリオ『くしゅん!うん?誰かが私の噂をしているのか?』 維馬篭『ハックション!おや、誰かが私の噂をしているようですね』 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 桂との会話 桂「果たして、これで良かったのかな」 日高で上書きした場合 桂「司鏡紀央は、いなくなった。代わりに日高紀央が遅れてやって来た、と言えるね」 桂「司鏡紀央と日高紀央は別人だから、もう一度絆を結ばなきゃならない。まあPC1なら、何とかするとは思うけどね。わたし達も、だけどさ」 桂「わたし達が知ってる紀央はもういない、か。……何とも言えない、不思議と言うか、気まずい気分だなあ」 司鏡で上書きした場合 桂「これで、日高紀央、という人物はこの世から完全にいなくなった、ってことになるのかな」 桂「日高紀央のことを覚えているのは、もう誰もいない。厳密に言えば、八咫衆の総帥さんは覚えてるのかも知れないけど、特に興味も思い入れもなかったみたいだし」 桂「人の人生を滅茶苦茶にした、という意味では、今回の件に関わったみんなが同罪なのかもね。……何か、やるせないなあ」 統合した場合 桂「これが正しいのか、わたしには分からない。今の紀央は、元々の日高紀央と、瑞穂基地にいた司鏡紀央、どちらでもあり、どちらでもない訳だから」 桂「まあ、日高紀央と司鏡紀央、二人で折り合いがついたから、記憶や人格の統合が出来たんだろうけど」 桂「後は、PC1と紀央本人が決める事、じゃないかなあ。外野がとやかく言うもんじゃないと思う」 桂「ただ……わたしの感想を言うと。どちらでもあるわたしには、何とも言えない。感想になってないって?こりゃまた失礼」 シーン4 シーンプレイヤーはPC1 日高で上書きした場合 紀央「これからよろしくお願いいたします、PC1さん」 紀央「あなたが今まで組んでいた『彼女』とは別人ですが、上手くやっていきたいと思いますので、どうかお願いいたしますね」 司鏡で上書きした場合 紀央「改めまして、よろしくお願いいたします、PC1様」 紀央「日高紀央様を、わたしが消してしまった、という後悔はあります。でも、今のわたしにとって、この瑞穂基地、あなたのお傍こそが、わたしの在るべき場所ですから」 統合した場合 紀央「改めまして、よろしくお願いいたします、PC1様」 紀央「わたしは日高紀央であり、司鏡紀央です。でも、わたしは、わたしと一つになって、あなたと共にあることを望みました」 紀央「もしかしたら、少し性格が今までと変わってしまうかも知れませんが、その辺は少しずつ、折り合いをつけていただければ、と思います」 紀央「……具体的に申し上げますと。PC1様は、わたし達の人生を変えてしまったのですから、責任を取って下さいね?それはもう末永く。死が、二人を分かつまで」 木国(きのくに、※紀伊国、和歌山県のこと) 九嶺(くれい、※呉) メモ書き notos ― 2022/11/25 13:00 東条さんのこれまでのシナリオで、司鏡紀央が「死んで蘇生して黒い天使核を得て司鏡姓を授かり『司鏡紀央』になる前の記憶を取り戻し、自分の死んだ記憶そのものが今動いている自分のアイデンティティーを揺るがす」って展開はやった? 作ったらノンタンに“俺は紀央の「寿命以外で心が折れるネタの提供」のつもりだったのに、何で完全新作ができあがってんねん”と突っ込まれました。 本来はこれ、25日(金)に『翼をください』作成中に言われた話でして。 そっちは自己矛盾を自己解決して書けたので、これは別のシナリオにしよう、と27日(日)に書き始め、30日(水)にはほぼ完成しました。なので大体4日で完成させた。 我ながら相変わらず早えなあ。俺はこの速さが取り柄よ。 まあでも、これだけ細かくフック書いてもらえれば、自分の他のシナリオとの日程調整とか整合性をとれば大体話が固まるので。 時々?いや、割としょっちゅう?それで自縄自縛するけど。 ちなみに紀央の元の名字ですが、『紀央』で検索したら、和歌山県の紀央館高校がヒットしたので、そこからちょっとひねって、日高をチョイスしました。 御坊はおぼっちゃまくんがチラついたので止めました。これはシリアスなお話なんだ。ギャグになるのはちょっとね。 紀央: ルールブックの記述より 「合衆国」の呪法弾道ミサイル着弾により即死した"はず"の、陸軍陰陽部結界維持班の生き残り。 着弾時の呪祖返し――エーテル流のバックラッシュによって膨大な霊素に晒された紀央は、奇跡的に蘇生に成功したもの、記憶と感情を失い、その代償として"黒い天使核"を得た。このことが判明した結果、紀央の所属はヤシマ特務機関、八咫衆に変更され、司鏡の姓を与えられた。同時にG3から提供された記憶移植技術によって最低限の記憶と感情を転写。ナビゲーターとして、瑞穂基地に配属された。死亡時の二階級特進により中尉。 おっとりとして礼儀正しい印象の紀央であるが、その行動は蘇生後の"焼き付け"によるものでしかない。「こういう場合は、こうするべき」というマニュアルでしか、自己を再構築できていないのだ。常に巫女服を着ているのも、なんらかの記憶混乱によるものと思われる。また、突発的な感情の停止、記憶の喪失などに悩まされており、本人しか知らぬことだが、それは日々、進行しているようだ。強引な蘇生は、長く保つものではない、のかもしれない。 紀央の記憶と感情は、いわば人工の、つくりものだ。それは戦いの日々の中、壊れ、剥がれ落ちていく……と、同時に、新たな思い出を、想いを、彼女は手に入れる。 しかし、彼女に残された時間は決して多くはない。与えられたものも、手に入れたものも、砂がこぼれるように崩れ落ちていくとき、彼女は何を想うのだろう。 拙作『A BEGINNING FROM THE END.』にて、この下りは既にクリアしているものとする エンドレスサマーキャンペーンガイドの記述より 結界維持班のメンバーの多くが、巫女と呼ばれるヤシマのシャーマンだ。司鏡紀央も、海沿いにある、田舎の小さな神社の娘であった。もっとも、すでに家族は残っておらず、維持班で紀央を知る者も全員死に、紀央の過去を知るものは、もうほとんど、あるいはまったく、残っていない。