今回予告 ストリートチルドレンの兄弟が、新たにギアドライバーとして召集された。 その内の一人は、機械化兵の財布をスろうとした少年。 どうやら、かなり訳アリの二人のようだ。 時を同じくして、基地に一人の女性技術者が派遣されて来た。 インプラントのデータを取る為という話だが、本当だろうか? そして感情を芽生えさせ始めた凍は、兄弟に興味をもつ。 何も関係のない筈の出来事が、複雑に絡む。 兄がひた隠しにする秘密とは。 技術者の正体は。 新超人計画とは。 裏に見え隠れする、ヴリルソサエティの影。 エンゼルギア天使大戦TRPG 『Fraternity』 兄ちゃん、俺を独りにしないでくれよ……。 ハンドアウト PC1:ソルジャー キミには、戦争に巻き込まれて死んだ、年の離れた弟がいた。 生きていれば、ギアドライバー達と同じくらいの年頃だった。 だからキミは、彼らに必要以上に深入りする。 自分の目の前で死なれるのは、真っ平御免だからだ。 ある日キミは、スリに遇いそうになった。 スリを働こうとした少年らは、やはり死んだ弟と同じくらいの年齢だった。 キミはあえて咎めず、腹を減らした少年らに、ご飯を奢ることにした。 シナリオダーザイン【鷲羽至からの興味】 ※お人好しの機械化兵になり、兄弟に関わって欲しい。 PC2:ギアドライバー/ナビ:伊音 6年前、キミが帝都に住んでいた頃、隣の家に住む、幼馴染の兄弟がいた。 鷲羽嘉人と至、特に兄の嘉人と仲良くしていたが、彼らの両親が交通事故で亡くなり、他に身寄りのなかった二人は、孤児院に引き取られた。 その後キミも、帝都から瑞穂市に引っ越してしまった為、彼らの消息は知らない。 だが帝都は、ミサイルのせいで消失してしまった。 あの二人は、いったいどうしただろうか…… シナリオダーザイン【鷲羽嘉人からの友情】 PC3:オフィーツィア 島アリア、という技術者が、三島重工から派遣されて来た。 彼女はインプラントの専門であり、最新のインプラントが使用されている瑞穂基地に、データを取る為に出向してきたそうだ。 だが、大体こういう人物には裏がある。 キミはヴィヴリオに、彼女を調べるよう、命じられた。 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 PC4 ギアドライバー/ナビ:凍 凍が、新人ギアドライバーの兄弟に、何かを感じたらしい。 だが凍は、その感情が何であるか、よく分からないようだ。 感情の希薄な凍が、何かに興味を持ち、感情を芽生えさせるのは、良い事だと思う。 これは、キミがちゃんと、教えてあげなければならないようだ。 シナリオダーザイン【八坂凍からの疑問】 ※凍に感情が芽生え始めた頃、という設定となる。 注意 本シナリオは、シナリオの都合上、NPC同士の会話が多い。それを踏まえて遊ぶこと。 また、本シナリオは、一部のNPCが生存しているか否かによって、マルチエンディングとなる。 その為、福音が必須ではない。 また、時期は7月中旬〜アバドン戦より前とする。 オープニングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC2 キミが帝都に住んでいた頃。 隣の家に住む、幼馴染の兄弟がいた。 嘉人「PC2くん、あーそーぼー」 至「あーそーぼー」 嘉人「至も一緒なんだけど、いいかな?」 至「僕もいっしょー」 嘉人「今日は、何して遊ぶ?」 至「何してあそぶー?」 鷲羽嘉人と至、特に兄の嘉人と仲良くしていたが、彼らの両親が交通事故で亡くなり、他に身寄りのなかった二人は、孤児院に引き取られた。 その後キミも、帝都から瑞穂市に引っ越してしまった為、彼らの消息は知らない。 伊音「PC2、どうした、物思いに耽って?」 伊音「仲の良かった二人か……生きているといいな」 伊音「もしかしたらだが、たまたま出掛けていた、とかで、ミサイルから逃げられたかも知れんぞ。……気休めにしかならないかも知れんが……」 伊音「……そうだ、一緒に食事でもどうだ。腹が減っていては、気も滅入るというものだ」 伊音の不器用な心遣いが、今はありがたい。 だが……あの二人は、いったいどうしただろうか…… シナリオダーザイン【鷲羽嘉人からの友情】 シーン2 シーンプレイヤーはPC1 キミには、戦争に巻き込まれて死んだ、年の離れた弟がいた。 生きていれば、ギアドライバー達と同じくらいの年頃だった。 だからキミは、彼らに必要以上に深入りする。 自分の目の前で死なれるのは、真っ平御免だからだ。 ある日のことだ。 キミはスリに遇いそうになった。 だが相手は素人、機械化兵であるキミの反射神経には敵う筈もない。 キミはすぐさま、スリの少年を捕まえた。 至「三日間何も食べてなくて、ポケットから財布が見えてたから、つい出来心で……」 至「財布は返すよ、だから離してくれよぉ……」 嘉人「何してるんだ、至!」 嘉人「……すいません、弟がご迷惑お掛けしました。俺の監督不行き届きです」 至「兄ちゃん、ごめん……」 その時、嘉人のおなかが盛大にぐぅーと鳴る。 嘉人「……失礼、お聞き苦しい音をお聞かせしました」 嘉人「三日前、帝都から瑞穂に来たはいいものの、全財産の入った財布を落としてしまって……。帝都にも帰れないし、どうすればいいのか……」 キミは二人に、御飯を奢ることにした。 シナリオダーザイン【鷲羽至からの興味】 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 キミはヴィヴリオに呼ばれ、司令室にいる。 ヴィヴリオの隣には、中島班長と、見たことの無い女性が立っている。 ヴィヴリオ「PC3、紹介しよう。三島重工から派遣されて来た、島アリア女史だ」 アリア「初めまして、PC3さん。ご紹介に与りました、島アリアです」 アリア「わたし、インプラント専門の技術者でして、最新のインプラントが多く使用されている、ここ瑞穂基地にて、データを取る為に派遣されて参りました。よろしくお願いいたします」 三郎「島さンは。俺のところで機械化兵やファルコンネンの連中を見てもらう事になってンだ。さて、面通しも終わったことだし、行くぜ、島さン」 アリア「はい、中島班長。ではまた」 三郎に連れられ、退室するアリア。 ヴィヴリオ「さて、お前を呼んだのは他でもない。まず、彼女の経歴書だ」 ヴィヴリオが書類をキミに渡す。 内容を確認しても、何ら問題はない。 ヴィヴリオ「表向きの書類の偽造など、どうとでも出来る。お前には、彼女の正式な経歴を調査してもらいたい」 ヴィヴリオ「急な話だったので、事前の調査が間に合わなかった。全く、いつもの事だが、後手後手に回る」 ヴィヴリオ「なるべく早急に頼むぞ。基本的には中島班長と共に行動することになっているから、下手なことはそうそうは出来んとは思うが……中島班長に危害を加えられてはまずい」 ヴィヴリオ「中島班長は、我が瑞穂基地になくてはならぬ存在であると同時に……ボクの大切な友人の一人でもあるんだ」 ヴィヴリオ「では、頼んだぞ」 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 シーン4 シーンプレイヤーはPC4 キミは凍と、休憩室で話していた。 凍「……そう、言えば……新人、来るって」 凍「……兄弟、だって」 凍「……兄弟……家族……いっしょ……分からない……この感情は、なに?」 ※凍は『羨ましい』という感情を感じているのだが、本人はまだそれを認識出来ていない。 凍「……そう」 その時、天使警報が発令され、緊急招集の放送が鳴り響く。 凍「……行こう」 そう言って、立ち上がる。 凍の疑問に答えるのは、後でのようだ。 シナリオダーザイン【八坂凍からの疑問】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 双子が瑞穂基地に来る。 司令室。 キミ達は招集を掛けられて、ヴィヴリオが来るのを待っている。 すると、司令室のドアが開き、ヴィヴリオの後ろから一人の少年が一緒に入ってきた。 至「あっ、久しぶりじゃん、PC2!俺だよ俺、鷲羽至!」 確かに、至の面影がある。だけど随分と雰囲気が変わったなあ…… 至「何か俺達も、ギアドライバーってやつの素質があるってスカウトされたんだ。いやー、これで食いっぱぐれなくて済むぜ!」 至「たまたま帝都から瑞穂に遊び来てたら、帝都があの有り様だろ?帰れなくて困ってたんだー。兄ちゃん、財布も失くしちゃったし」 至「あ、あの時のおっさん!えーと、その節はご迷惑をお掛けしました?」 後から入ってきた嘉人が、至の頭を拳骨で殴り「馬鹿野郎、謝る時はもっとちゃんとしろ。……その節は、ありがとうございました」 至「いってー!兄ちゃん、痛えよ!」 嘉人「痛くしたんだから当たり前だ。……久しぶり、PC2。いきなりこんなザマで済まない。でも、積もる話はまた後で、だな。ヴィヴリオ大佐が、怖い顔で見てる」 ヴィヴリオ「そうだ。今は私語は慎め。後で、ゆっくり話す時間を与える」 嘉人「お心遣い、ありがとうございます、ヴィヴリオ大佐」 ヴィヴリオ「……さて、全員揃っているな。既に顔見知りの者もいるようだが、改めて紹介しよう。鷲羽嘉人少尉、並びに鷲羽至少尉だ」 嘉人「鷲羽嘉人です。至は、俺の弟です。何かとご迷惑をお掛けすると思いますが、至共々よろしくお願いいたします」 至「俺、鷲羽至。兄ちゃんと一緒に頑張るんで、よろしくお願いしまっす!」 伊音「草薙伊音、ヤシマ陸軍中尉だ。よろしく頼む」 至「よろしくっす!」 嘉人「よろしくお願いします、草薙さん」 伊音「うむ、至と言ったな。元気があるのは良い事だ。他の皆も見習うといい」 凍「……八坂、凍。……よろしく」 至「よろしくー!」 嘉人「よろしくお願いします、八坂さん」 ん、と頷く凍。 ヴィヴリオ「一時間後、彼らの適性試験を行う。集合に遅れんようにな。私からは以上だが、誰か他に何かあるか?」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC4、全員登場 初訓練にて、兄弟の適性を見る シミュレーター室に全員集合し、適性試験を行うこととなった。 至「すげー、ゲーセンみてー!」 嘉人「こら至、はしゃぐな。……弟が、すいません」 至「あれ?そう言えば、何かこれ、同じようなの見た事あるような……」 嘉人「至、お前もか。……思い出した。孤児院にあったゲームの機械と同じだ」 至「あれかー!あのゲーム、一人でも遊べるけど、二人で協力して遊ぶと、もっと楽しいんだよな!」 嘉人「……もしかしてなんだけど、俺達が遊んでた、アペルギアファイトとシュネルギアファイトって……」 伊音「思っている通りだ。アペルギアもシュネルギアも、天使力兵器。特にシュネルギアは、お前たちが乗ることになる、人型の二人乗りの第三世代型人間戦車だ」 至「てんしりょくへーき?にんげんせんしゃ?」 嘉人「貰ったマニュアルに書いてあっただろ?読んでないのか?」 至「……読んで3秒で寝た……」 嘉人ははぁ、とため息をつき「だろうと思ったよ……」 凍「……兄弟、仲がいい……」 至「へへっ、嘉人兄ちゃんは、俺の自慢の兄ちゃんなんだぜー!」 嘉人は照れている。 凍「……自慢の、兄弟……」 至「凍ちゃんは、兄弟いねーの?」 凍はふるふると頭を振って「……私には、家族、いない」 至「えーと、その……ごめん」 嘉人「弟が、失礼しました……」 凍「……気にして、ない」 至「え、えっと、アペルギアファイトはそうでもないけど、シュネルギアファイトなら、兄ちゃんと組めば向かう処敵なし!だぜ!」 嘉人「まあ、そうだな。本物のシミュレーターだと、ゲームとは勝手が違う気がするが……」 実際に二人がシミュレーションしてみたところ、初めてとは思えない成績とコンビネーションを見せる。 伊音「これは、二人で組むのが正解のようだな……。確かに、初訓練とは思えんほど、息が合っている」 至「ヒャッホゥ!これめっちゃ楽しー!孤児院にあったのより、バージョン進んでる!」 至はまだゲーム機だと勘違いしているようだ。 嘉人「楽しんでる場合か?訓練なんだぞ?」 アペルギアファイト。ゲーセンで稼働した、アペルギアのシミュレーターを模した、大型筐体のゲーム。 シュネルギアファイトもその名の通り、ギアドライバーとナビゲーターの二人協力プレイで、シュネルギアを動かす、シミュレーターを模したゲームである。 戦う敵は天使ではなく空想の怪物であるが、手練れのゲーマーでもかなり苦戦する、歯応えのあるゲームとして有名だ。 だが、両者は共に表向きこそゲームだが、そのゲームでハイスコアを出せる者、イコール人間戦車への適性のある者を、軍部がスカウトする為に作られたものだ。 だが、孤児院に、何故そんなものが? 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC2、他PCの登場は任意 兄弟の身の上話 ヴィヴリオ大佐の言った通り、訓練の後に、自由時間を設けてくれた。 キミ達は休憩室で、歓談している。 嘉人「……俺達は一年前、孤児院から脱走して、ストリートチルドレンとして生きてきた」 至「孤児院、他の子達がいつの間にかいなくなることがあってさ。先生達、その子が元からいなかったみたいに振る舞ってたんだ、意味分かんなくね?」 至「だから兄ちゃんが怪しいと言って、一緒に逃げ出したんだ」 嘉人「それで、何か軍のお偉いさんがよく来てたんだが、そういう人達には豪華な飯出すのに、俺らは1日でパン一切れとか、ろくに飯も出なかったんだ。いわゆる、劣悪な環境、ってやつだった」 嘉人「脱走して、施設からの追っ手は来なかったけど、日々生きるのに精一杯だった。物乞いしたり、生ごみ漁ったりとか……白状すると、盗みやスリとかもやったよ」 至「確かに、毎日辛かった。でも、いつ自分も存在が消されちゃう恐さよりは、全然マシだった。兄ちゃんがいたし。兄ちゃんがいれば、何でも大丈夫だから」 そこに、休憩室に入室してくるアリア。 アリア「あら、先客がいたのね。ごめんなさい」 アリア「島アリアです。この中にインプラントを利用してる人、いるかしら?是非、個人的に調べてみたいの」 アリア「ふふ、冗談よ。まあでも、インプラントのことで何か困ったことがあれば、わたしの所に来てね」 それだけ言って、彼女は出て行った。 至「キレーな人だったけど、変なねーちゃんだったなあ……」 嘉人「……そうだな」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 新人歓迎会 メイリィ「伊音から話は聞いたアルよ。歓迎会の料理は、ワタシに任せるアル。本場のコンロン料理を御馳走するアル」 そう言って、張り切るメイリィ。 みんなの目の前に並ぶ、コンロン料理の数々。 至「すっげー!うめー!こんな美味いもん、初めて食った!」 メイリィ「そうアルか?そんなことは有るアルね」 メイリィは無い胸を張って、ドヤ顔している。 嘉人「凄い……食べ切れない分、貰って帰ってもいいかな?」 メイリィ「これとは別に、お土産も用意したから、持って行くといいアルよ!」 嘉人「お土産……ゴクリ」 正にメイリィの独壇場である。 至「そう言えば兄ちゃん、さっきのあの女の人、どっかで見たことない?」 嘉人「……いや、ないな」 至「そっかー。俺の気のせいかな」 嘉人「……お前は、そういう事に関してだけは、記憶力いいからな……」 至「え、だって奇麗なお姉ちゃんとか、可愛い子とかさ、出来ればお近付きになりたいじゃん?」 嘉人「ま、まあ、それはそうだが……」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 シーンプレイヤーはPC3、他のPCの登場は任意 情報収集 ・孤児院について ・鷲羽兄弟について ・島アリアについて 初期はこの3つ、後から一つ追加される 孤児院 〈事情通〉難易度3 孤児院はヴリルソサエティの実験施設を兼ねていた。 その為、ヤシマ軍や統一帝国のヴリル関係者がよく訪れていた。 二人は一年前に孤児院から脱走したが、実際には実験施設からの監視の元、生存能力の耐久試験が行われていた形である。 この事実を二人は知らない。 鷲羽兄弟 〈事情通〉〈軍略〉難易度5 天才の兄、嘉人(15歳)、凡人の弟、至。(13歳) 嘉人は至をとても大事に思っている。 至は優秀な嘉人に憧れ、そして同時に劣等感を抱いている。 嘉人は年不相応に落ち着いているが、人との間に少し距離感がある。 至はまあ所謂悪ガキであるが、人懐こく、そして可愛い女の子が大好きである。 嘉人には新超人計画と称した様々な実験が施され、至には何も手を加えられていない。 7月4日に帝都から瑞穂に来ていたのも、嘉人が危険を察知して、避難した為である。 島アリア 〈事情通〉〈情報処理〉〈軍略〉難易度5 若く見えるが、天使の血を引いている為、実年齢は60歳を越えている。 三島重工はヴリルソサエティの息のかかった企業であるが、アリアはそこに籍を置いていない。 実際にはアリアはヴリルソサエティの技術者であり、一時は合衆国でゾフィーの下で研究していたこともある。 そして、新超人計画の主任だった。 帝都の孤児院はヤシマにおける新超人計画の実験施設であったが、帝都へのミサイル直撃で消滅している。 ※追加情報 新超人計画(ノイエ・ユーバーメンシェ・プロイェクト) 〈事情通〉〈情報処理〉〈軍略〉難易度5 ヴリルソサエティにおいて、統一帝国の超人計画(ユーバーメンシェ・プロイェクト)を継承した、インプラントを使用せずに、どれだけの性能を発揮出来るかという実験計画。 被験体2名は、黒い天使核を持った兄弟、鷲羽嘉人と鷲羽至を使用している。 嘉人はその被験体であり、投薬や睡眠学習など様々な実験を受けてきた。 度重なる実験と、帝都脱出の際のエーテル被曝のせいで余命幾ばくもないが、至には黙っている。 至は嘉人の比較対象として、何の手も加えずに自然に成長させられた。 嘉人が至を守る為に、そう望んだのも理由の一つである。 嘉人が様々な実験を受けていることを、至は何一つ知らない。 尚、両親の本当の死因は、彼らがヘルプストハイムチェックで黒い天使核を持っている事が判明した為、ヴリルソサエティが事故死のように見せかけて殺害したのが、事の真相である。 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 マスターシーン 兄が敵に回るシーン。 嘉人が眠れずに屋上にいると、そこに誰かがやって来る。 アリア「……こんばんは、鷲羽嘉人くん」 嘉人「あなたは、まさか……」 アリア「そう。最後の実験の時間よ」 嘉人は嘆息して「やはり、逃げられないのか……」 アリア「そう。あなたは、掌の上で踊っていただけのモルモットよ。ぷいぷい」 嘉人には自分の命が尽きる時、『天性の才能を持つ弟は、強化人間である兄を越えられるのか』という命懸けの比較試験を行うよう、睡眠学習で刷り込まれていた。 これは《妬む神》の効果とし、解除方法は嘉人を倒すことである(これはわざと表現をぼかしている。殺すこと、と受け取っても良いし、フーファイターを撃破する、と取っても良い) アリア「さ、行きなさい、私の最高傑作」 嘉人「……はい」 嘉人は、階段を静かに降りて行った アリアはその姿を見送ると、夜闇の中に姿を消した。 シーン7 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 兄弟、アリアについてどうするか話すシーン 兄は姿が見えず、探しても何処にもいない。 弟は普通に部屋にいる。 アリアは行方をくらましているが、〈探知〉難易度10で居場所を突き止める事が出来る。 アリアへの処遇で、PC3のエンディングが変わる。 アリアは逃亡しようとしていたところを、拘束された。 アリア「私は兄に、僅かな金と引き換えに、実験材料としてヴリルに売られたの。これは、その復讐よ」 アリア「麗しき兄弟愛、ね……反吐が出るわ」 アリア「私を殺したところで、彼は止まらないわ。それでも撃つのかしら?」 アリアへの対応が決まり実行すると、天使警報が発令し、緊急通信が入る。 ぷしな「大変ですー、フーファイターが現れましたー!」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン8 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 スクランブル状態で、全員自分の乗機のコックピットにいる。 ぷしな「フーファイターの生体反応が、瑞穂基地に登録されているものと一致しましたー!……鷲羽嘉人、少尉です……」 ヴィヴリオ「早急に、フーファイターを討て。これは、命令だ」 至「えっ……誰か兄ちゃんを、兄ちゃんを止めてくれよぉ!」 至「頼むよ、俺一人じゃ、どうすることも出来ないんだ!」 伊音「……PC2。血の繋がった家族、というのは、かけがえの無いものだ、と私は思っている。勿論、例外や異論もあるだろう」 伊音「……目の前で、家族を失うのは……辛い、からな」 凍「……嘉人は……実験台……操り、人形……私と、同じ……」 凍「……嘉人は、私……PC4……助けて、あげて」 会話を終えたらシーンを終了する。 クライマックス シーンプレイヤーはPC1、全員登場 データはエンドレスサマー掲載の、フーファイターのデータを使用する。 嘉人「至……もう、一人で、何でも出来るよな……」 至「やだよ、兄ちゃん、俺を独りにしないでくれよ……」 嘉人が生存しているかどうかで、PC1とPC2のエンディングが変わる。 嘉人を助けたい、とPLが申し出た場合、戦闘以外で別途福音を必要とする。 〈エーテル〉による福音や、HPを回復出来る特技による福音などが良いだろう。 福音を起こさない場合は、嘉人は戦闘終了後に死亡する。 だが嘉人が死んだとしても、バッドエンドではない。 エンディングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC4 凍と会話 凍「……嘉人と、至……仲、良かった」 凍「……家族なら、いつでも、一緒にいられる?」 凍「……PC4。……私の、家族に……なって、くれる?」 シーン2 シーンプレイヤーはPC3 アリアの処遇によって、描写を変更する。 ・逃した場合、アリアを逃したのは手痛い ・捕まえた場合、奴の持っているデータを洗いざらい吐き出させて役立ってもらおう ・あのような計画は、あってはならない 幾つか案を上げ、PLにどのような描写が良いか確認する アリアを逃がした場合 ヴィヴリオ「アリアを逃がしたのは、手痛いな。恐らく機密情報を、何かしら持ち出された可能性がある」 ヴィヴリオ「ヴリルの連中は、何を考えているのか分からん。奴らは、こちらにも、合衆国にも協力している」 ヴィヴリオ「奴らが望むのは、更なる闘争なのか?それとも、新しい世界を作る為の浄化なのか?お前は、どう思う?」 アリアを捕まえ、生かしている場合 ヴィヴリオ「アリアの持っている情報を、洗いざらい吐き出させて、有効活用させてもらおうか。反撃の糸口が、何か掴めるかも知れん」 ヴィヴリオ「我々には、時間が無いのだ。合衆国との戦いが長期に渡れば、その圧倒的物量で、こちらが磨り潰されるのは目に見えている」 ヴィヴリオ「それを打開する為には、鬼にも悪魔にもなろう。ふん……天使と戦う者が、悪魔になる、というのは皮肉が効いているな」 自嘲するヴィヴリオ。 アリアの生死は問わず ヴィヴリオ「新超人計画……年端もいかぬ子供達を実験材料にする、あのような計画は、あってはならん」 ヴィヴリオ「だが……子供たちを兵器に乗せて戦場に送り出しているボクに、それを言う資格は無い、か」 ヴィヴリオ「結局は、同じ穴の狢だ。やっている事は、大して変わらん。ボク達は、無数の屍の上に立っている存在なのだから」 ヴィヴリオ「なあ、PC3……この戦争は、いつまで続くんだろうな」 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 嘉人が生存しているかどうかで、描写を変更する。 嘉人が生存している 病室。 至「兄ちゃん、兄ちゃん……!」 嘉人「いた……る……?俺、生きて……」 至「兄ちゃんの馬鹿ー!なんで、なんで何にも言ってくんなかったんだよ!」 嘉人「それは……」 至「たった二人の兄弟だぞ、遠慮なんかいらないだろ!?」 嘉人「ごめんな、至……兄ちゃんが、悪かった……」 伊音「……雨降って地固まる、と言ったところだな」 伊音「……私にも、大切な妹がいる。だから、他人の気がしなかったんだ」 至「へー。……ねえねえ伊音ちゃん、その子可愛い?」 伊音「勿論だとも。写真を見るか?」 至「おー!すっげー可愛い!今度紹介してよ!」 伊音「う、うむ……」 嘉人「おい至、草薙さん困ってるだろ。全く、可愛い子を見るとすぐこれだ……」 嘉人が死亡している 集合墓地。 身寄りのない嘉人は、ここの一角に葬られた。 至「……兄ちゃんと離れる日が来るなんて、全然想像してなかった。ずっと一緒にいるもんだと思ってた」 伊音「……仲がいくら良くても、兄弟は、いつかは離れるものだ」 至「そうかも知んないけどさ……こんな急に来るなんて、思ってもみなかった」 伊音「……事前に分かっていたって、辛いものは辛い」 至「……伊音ちゃんも?」 伊音「……まあな」 至「……そっか。じゃあ俺達、似た者同士なんだね」 伊音「……そうかも知れんな」 シーン4 シーンプレイヤーはPC1 弟に懐かれて、飯食いに行こうと誘われる 嘉人が生存しているかどうかで、描写を変更する。 嘉人が生存している 嘉人「PC1さん、飯、食いに行きませんか」 至「えっとさ、給料、入ったから……今度は、俺らがご馳走しようかなーって」 至「PC1さんに飯奢ってもらった時さ、何て言うか、人の優しさを久々に感じた、っていうか……」 至「ストリートチルドレンやってた頃はさ、まるでゴミでも見るような目でしか、見られたこと無くってさ。兄ちゃんいたから耐えられたけど、独りじゃ絶対耐えらんなかった」 嘉人「……あのまま孤児院にいたら、いつ至まで実験台にされるか、分からなかったからな。あそこの連中が、本当に約束を守るか、信用出来なかったんだ。ただ……苦労かけさせて、済まなかった」 至「でもさ、兄ちゃんが、俺が実験台にならないように頑張ってくれてたんだろ?えーと……ありがと。そして、ごめん。兄ちゃんにばっか、痛くて辛い思いさせて」 嘉人「……もう、終わった事だ。気にするな」 至「……うん。あ、やべ、料理冷めちまう。食べなきゃ」 嘉人が死亡している 至「PC1さん、えっとさ、給料、入ったから……今度は、俺がご馳走しようかなーって……」 至「PC1さんに飯奢ってもらった時さ、何て言うか、人の優しさを久々に感じた、っていうか……」 至「ストリートチルドレンやってた頃はさ、まるでゴミでも見るような目でしか、見られたこと無くってさ。兄ちゃんいたから耐えられたけど、独りじゃ絶対耐えらんなかった」 至「……兄ちゃん……」そう言うと、至は涙をぽろぽろ零す。 至はごしごしと涙を袖で拭い「PC1さん、これしょっぱいね」 至「……俺、独りになっちゃったな……」 読まなくてもいいあとがき なら何故書くのかって?俺が書きたいからだよォ!(フレイザードっツラで 本シナリオのテーマは、シナリオタイトルそのままの『兄弟愛』(fraternityは兄弟愛の英訳)、そして『孤独』です。 兄弟愛は仲の良い兄弟、嘉人と至がいるから当然として。 孤独については、PC1は弟を失っており、伊音は兄理音をその手で殺し、紫音も人柱になってしまう。ヴィヴリオはかつてヴィヴリオBを失った経験があり、そして凍はその生い立ち上、血縁者がいません。 このようにPC全員が、孤独の設定を何らかの形で持っています。 まあ伊音を除いたナビゲーターは、基本的に身寄りのない少女達なので、PC4については、伊音を除くナビでもいいっちゃいいんですが。 ですが、キミは凍に『家族になって欲しい』と言われたくはないか?俺は言われたい。だからPC4のナビは凍なのです。 まあ俺の中で、セラピアと伊音とトゥアレタだと、その台詞を言わせるにはハードルが高いのもあるんですが……。 僕ヒロナビ達はそうでもないんですけどね、不思議なことに。あれか、乗り越えるべき壁が少ないせいか。 作中のシュネルギアファイト、は、のとすさんの考えた『アペルギアファイト』の設定をお借りしました。 アペルギアのシミュレーターをゲームとして流通させて、ゲームで優秀な成績を出した者をスカウトする、って設定を使いたかったので。 また、鷲羽嘉人と至は、竹山祐右先生の作品『サムライリーガーズ』の登場人物、カノン・アエトスとゼノン・アエトスをリスペクトしたNPCです。 まあ設定はかなりまんま過ぎるんですけども。 カノンとゼノンの兄弟、大好きなんですよね。 脳内CVはカノンが置鮎龍太郎さん、ゼノンが山口勝平さんでひとつ。 ついでに言うとバルディス・カーンは飯塚昭三さんかなあ。 以下、シナリオについての覚え書き fraternity(フラタニティ、兄弟愛) 技術者:島アリア(アーリア人のトゥーレより) ナチ神秘主義者が、伝説の島トゥーレをアーリア人の古代起源と信じていた、という説より。 アエトス:鷲 カノン:葦 ゼノン:ゼウスに由来する人名 鷲羽(わしゅう) 兄:嘉人(よしと、葦の読み『よし』から) 弟:至(いたる、至上神より) 兄弟 天才の兄(15歳)、凡人の弟(13歳) 兄は弟をとても大事に思っている 弟は優秀な兄に憧れ、そして劣等感を抱いている 兄は新超人計画の被験体であり、投薬や睡眠学習など、実験施設(引き取られた孤児院がその施設)で様々な実験を受けてきた。 度重なる実験と、帝都脱出の際のエーテル被曝のせいで余命幾ばくもないが、弟には黙っている。 出自:実験体、及び《実験体》、神経強化取得。 ギアドライバー/ウィザード 312774 神経強化で+10、実験体で+5なのでアガペーは30点分だけ 砲術3 勉強会 超推理 ハードシールド アナライズ 実験体 ウィザードブレイン ナビ修正は【感覚】+3、【聖霊】+2 弟は兄の比較対象として、何の手も加えずに自然に成長させられた。 出自:愛された子 兄が弟を守る為に、そう望んだのも理由の一つである。 兄が様々な実験を受けていることを、何一つ知らない。 ギアドライバー/ツィヴィール 22242 32331 22001 76574 射撃3、格闘3(+15) アガペー560 信じる瞳 逃げ足 見切り 鉄拳(+10) ナビ修正は【肉体】+2、【感覚】+1、【聖霊】+2 乗機はシュネルギア:マサムネ 操縦者を変更して、遠近どちらにも対応出来る。