今回予告 維馬篭と一緒に瑞穂基地にやって来た、天真爛漫な少女、ほのか。 彼女は、維馬篭の『娘』。 『父』を妄信する『娘』と、『娘』を道具として扱う『父』の、『家族ごっこ』。 偽りの、だけどお互いが必要とし合う、歪んだ関係だけど。 お互いにお互いが必要だった、ただ、それだけ。 依り代。騎士級天使兵となるべく作られた、四人の生贄。 来たるべき日が来るまで、彼らはごっこ遊びを続ける。 足りないものを、埋める為に。 そして、終末の喇叭を吹き鳴らす大天使が、瑞穂基地を襲撃する。 同時に、最後の騎士級天使兵ペイルライダーが、キミ達の前に姿を現す。 エンゼルギア天使大戦TRPG ショートキャンペーン『CHILDHOOD'S END』第4話 『CHILDHOOD'S END』 黙示録に記された、第六の喇叭が、終わる。 それまでキミ達は、生き残ることが出来るか。 ハンドアウト PC1:ギアドライバー/ナビ:セラピア キミは基地で迷子になっていた少女、ほのかと知り合う。 お父さんが迷子になった、と言うが、明らかに迷子なのは彼女自身な訳で。 とりあえずキミ達はヴィヴリオ大佐に連絡を取り、彼女を保護する事になった。 見た目よりも幼い言動の彼女の、お父さんって誰だ? 気になる。すごく気になる。 シナリオダーザイン【ほのかからの興味】 PC2:オフィーツィア キミは維馬篭の道具ではないが、彼に重用されている。 ドライクロイツとヤシマ陸軍を結ぶ架け橋として? まさか、維馬篭に限って、そんなことはないだろう。 利用価値がある、ただその一点だけだ。 だが……維馬篭はほのかと共にいて、何かが変わった、ような気がする。 好奇心は猫をも殺す、と言うが……気になる。 少し、調べてみるか……首の、失くならない程度に。 シナリオダーザイン【維馬篭代胤からの有為】 PC3:ギアドライバー/ナビ:トゥアレタ キミは基地で迷子になっていた少女、ほのかと知り合う。 お父さんが迷子になった、と言うが、明らかに迷子なのは彼女自身な訳で。 とりあえずキミ達はヴィヴリオ大佐に連絡を取り、彼女を保護する事になった。 見た目よりも幼い言動の彼女の、お父さんって誰だ? 気になる。すごく気になる。 シナリオダーザイン【ほのかからの興味】 PC4:ソルジャー 基地内で、迷子の少女が保護された。 セキュリティ的に、ここに一般人が迷い込むことはない。 必然的に、基地に入れる誰かの娘、という事になるが……誰の子だろうか。 ヴィヴリオも困惑している。 ただ、迷子をそのまま放っておく訳にはいかない。 キミはヴィヴリオに命令され、少女を保護することになった。 ……維馬篭大将が基地を訪問して来ているが、まさか、な……。 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 推奨特技、オーギュメント 《ルベン》、《ナヘル》、《カバーリング》、《マルクト》+《不死身の異名》 オープニングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC1とPC3、合同オープニング ほのかが迷子になって、キミ達に保護される キミ達が司令室に向かっていた所に、見慣れない少女がきょろきょろしていた。 ほのか「あれ?ここ、どこだろう……」 キミ達が少女に話し掛けると、少女は元気よく答えた。 ほのか「わたし、お父さんと一緒に来たんだ!」 ほのか「お父さん、偉い人とお話あるから、って言ってたから、その間に探検しようと思ったら、お父さんが迷子になっちゃった」 ほのか「もー、お父さんったら、仕方ないんだからー!」 はて、お父さん……一体誰だろうか。 このまま、少女をここで迷子にさせておく訳にもいかない。 キミ達はヴィヴリオに連絡を取った。 シナリオダーザイン【ほのかからの興味】 シーン2 シーンプレイヤーはPC4 ヴィヴリオと会話 ヴィヴリオ「維馬篭が来るそうだが……何の話だか。事前に、訪問内容を告知して来なかったんだ」 ヴィヴリオ「視察でもする気なのかも知れんが……全く、迷惑な話だ。だが、隙を見せる訳にはいかん」 そこに、電話が掛かって来る。 ヴィヴリオ「そうか、分かった。仕方ない、今PC4を迎えに行かせる。一緒に連れて来い」 ヴィヴリオ「迷子の少女を保護したそうだ。何でも、父親と一緒に来たそうだが……心当たりはあるか?」 ヴィヴリオ「いったい、誰の子なんだ……」 ヴィヴリオ「まさか、維馬篭の娘……?ないない、それはない」 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 キミは基地の入り口で、ほのかを連れた維馬篭大将と行き合った。 維馬篭「おや、PC2くん。これから訪問する所だったのです」 しばし歓談するキミ達。 いつの間にか、ほのかがいなくなっている 維馬篭「おや?ほのか、何処に行きました?」 維馬篭はポケットをごそごそと探り、子供用携帯を取り出す。 維馬篭「……しまった、携帯を持たせるのを忘れていました……」 維馬篭「困りましたね……」 困り顔の維馬篭。恐れ多いが、面白いものを見た。 そこに、PC2にヴィヴリオから電話が掛かって来る。 ヴィヴリオ「迷子の少女を保護したんだが、心当たりはないか?」 維馬篭「どうしましたか?」 維馬篭「……とりあえず、向かいましょう」 ……維馬篭はほのかと共にいて、何かが変わった、ような気がする。 好奇心は猫をも殺す、と言うが……気になる。 少し、調べてみるか……首の、失くならない程度に。 シナリオダーザイン【維馬篭代胤からの有為】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 維馬篭からほのかを紹介される ほのか「もー、お父さん、お話に夢中になって、迷子になっちゃうんだもん」 維馬篭「すまなかったね、ほのか」 ヴィヴリオが目を見開いて、維馬篭を見つめている。 維馬篭「遅ればせながら帝都奪還作戦、48時間攻防戦、八門結界再構築、お疲れ様でした。貴方達の活躍のお陰です」 ほのか「お兄ちゃん達、すっごーい!わたしも一緒に戦いたーい!」 維馬篭「ところでここに来た用件ですが……ほのかと、遊んでやっていただけませんか。私の近辺には、ほのかと同じくらいの年頃の子供がいませんので」 ヴィヴリオは面食らった顔で「う、うむ。ではPC1、PC3。相手をしてやってくれ」 ほのか「うん、遊ぼー!ここ、道場ある?あったら行こー!」 ほのかに無理やり引っ張られていく、PC1とPC3。 何か見た目と違って、凄い力だぞ!? 維馬篭「あと、ヤシマ陸軍からの出向者に対して、抜き打ちの視察をしに来たのですよ」 ヴィヴリオ「いや、そっちが本題だろ……」 維馬篭「何か言いましたか、ヴィヴリオ大佐?」 ヴィヴリオ「いや、別に何も」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC4、他のPCは登場不可 ヴィヴリオと会話 ヴィヴリオ「維馬篭の娘、か……雛子以外に娘がいた、というのは初耳だが……。まあ隠し子の一人や二人、いてもおかしくはないか」 ヴィヴリオ「だが……見たか、あの維馬篭の顔を。あれではまるで、普通の父親ではないか。奴のあんな顔、私は見たことが無いぞ」 ヴィヴリオ「あの男とは、60年程前から因縁があるが……少なくとも、人前で隙を見せるような真似は、したことがなかった。正直言って、混乱している」 ヴィヴリオ「あの少女、ほのか、と言ったな。これは、詳しく調べる必要がありそうだ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC1、PC3自動登場、PC2とPC4は登場不可 ほのかと交流 ほのか「えー、お兄ちゃん達、もう終わりー?弱ーい」 セラピア「いや、キミが強すぎるんだよ……」 トゥアレタ「そうね……。今日は休暇だからいないけど、伊音辺りじゃないと、太刀打ち出来ないんじゃないかな……」 道場で、ほのかと稽古をしていたが、彼女は剣でも素手でも、異常なほど強い。 ほのか「わたしと同じくらい強いの!?会ってみたかったなー」 ほのか「あのねわたし、お父さんから東雲流剣術(ひらがなを読んでいるように発音する事)習って、それと、お父さんのお友達の機械化兵さんから、ヤシマ陸軍式軍隊格闘術(これもひらがなを読んでいるように発音する事)をね、教えてもらってるんだー!」 ほのか「戦うの、楽しーよね!戦ってると、体の奥からぶわーって何かが出て来て、気持ちよくなるんだー!」 ※彼女は《狂戦士》持ちである。 ほのか「ねえねえ、もっと遊ぼ―!」 そこに維馬篭がほのかを迎えに来る。 維馬篭「ほのか。お父さんは用事が終わったから、帰りましょうか」 ほのか「えー、もっと遊びたいなー」 維馬篭「帰ったら、ほのかの大好きなおやつを、一緒に食べましょう」 ほのか「うん!お父さん、だーい好き!じゃあ、帰ろー!みんな、ばいばーい!」 維馬篭「では、これで。ほのかと遊んでくれて、ありがとうございました。大したものではありませんが、後で皆さんで召し上がって下さい」 維馬篭は、高級な菓子折りを置いて行った。 《良家のたしなみ》+《みんなでお弁当》を使用する。 GMが【聖霊】12、〈芸事〉4で判定する。これはロゴスによる技能ブースト不可。 成功数の分、アガペーを低下させる。 トゥアレタ「ねえ、維馬篭大将閣下って、あんな人だったっけ……」 セラピア「違うと思うよ……」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン4 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 情報収集 ほのか 〈事情通〉難易度10 ほのかは、維馬篭の道具の一人である。 彼女はホムンクルスであり、騎士級天使兵の依り代の最後の一人である。 外見年齢は12歳だが、実年齢は4〜5歳。その為見た目以上に言動が幼い。 また、維馬篭とほのかの二人は、『家族ごっこ』をしている。 どこか欠落したお互いが、そう望んだからだ。 ヴィヴリオ「……道具にしては、随分と思い入れが深い、とは思ったが……家族『ごっこ』、か」 ヴィヴリオ「騎士級天使兵の依り代となった者の共通点、なのか……。全員が『ごっこ遊び』をしていた」 ヴィヴリオ「クリス・J・アーミテジは『友達ごっこ』。リーチェとミカエラは『恋人ごっこ』。そして、ほのかは『家族ごっこ』」 ヴィヴリオ「欠落した何かを抱え、己の存在証明の為に、誰かに対する『ごっこ遊び』を求めた、ということなのだろう」 ヴィヴリオ「……他人(ひと)とのつながりによって、ヒトは現存在(ダーザイン)を得る。そして現存在(ダーザイン)は愛(パトス)を生み、愛(パトス)は力(ロゴス)に変わって、その者を強くする」 ヴィヴリオ「黙示録の、ある一節だ。お前達ならば、この意味が分かるだろう」 騎士級天使兵 〈情報処理〉難易度8 黙示録の第六の喇叭に関するを読み解くと、騎士級天使兵を全て倒せば、合衆国の兵力は本土にいる天使兵のみとなる。 だが、ラルフの集団睡眠で、2億人の国民全てが天使化。 『レギオン』と呼ばれる存在になり、その1体1体は熾天使級に相当する。 ヴィヴリオ「黙示録には、 『四人の御使が解き放たれる。彼らは二億人の騎兵隊を引き連れて』とある。四人の御使とは騎士級天使兵を指し、二億人の騎兵隊とはレギオンを指すのだろう」 ヴィヴリオ「レギオン……軍団、あるいはとある福音書(マルコの福音書)にある、悪霊の集団の名だな。まあ、天使兵は我々にとっては悪霊のようなものだからな……」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 シーンプレイヤーはPC2、他のPCの登場不可 維馬篭と会話、ほのかについての話をする 維馬篭「ほのかは、私の道具です。道具をどう扱おうと、私の自由でしょう」 維馬篭「ですが、私は使える道具には、手間は惜しみません。ほのかも、その内の一つです」 維馬篭「ほのかは、道具となる代わりに、私に家族になることを要求しました。私は、それに応えたまでです」 維馬篭「これ以上、話すことはありません。貴方も命が惜しかったら、余計な詮索はしないことです」 退室する維馬篭。その際、一枚の写真を落とす。 それは……維馬篭とほのかが、頬を寄せて笑っている写真。 ほのかは満面の笑みを浮かべ、維馬篭はいつもの柔和な笑みを浮かべている。 この写真の意味するものは、いったい…… 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6 シーンプレイヤーはPC3、PC1自動登場、PC2とPC4は登場不可 また維馬篭に連れられて、瑞穂基地に遊びに来たほのか。 トゥアレタ「ねえ、ほのかちゃん……あなた、維馬篭大将の道具って、本当なの?」 ほのか「うん、わたし、お父さんの道具だよ?何で、そんな事聞くの?」 ほのかは、心底不思議な様子だ。 ほのか「わたし、お父さんの道具だから、お父さんの言うこと聞くんだ」 ほのか「戦って勝って、誉めてもらって、いっぱいいーっぱい、頭撫でてもらうんだー!」 セラピア「ねえ、ほのかちゃん、お父さんのこと、好き?」 ほのか「うん、だーい好き!お父さん、すっごく優しいの!お父さんさえいれば、他には誰もいらないよ!」 セラピア「……そっか」 会話を終えたらシーンを終了する。 フリーのシーンを入れるとしたら、このタイミングとなる。 シーン7 シーンプレイヤーはPC4、全員登場 結界の外に天使襲来 ヴィヴリオ「天使が襲来した。この天使、結界を破壊しようとしている。どうやら、通常の天使兵とは訳が違うようだ」 ぷしな「解析結果、出ましたー!セレスティアル・ヒエラルキー、アークエンジェル。セラフ級の上、大天使ですー!」 ヴィヴリオ「大天使、だと?もしや……」 ぷしな「天使の名前も解析出来ましたー!大天使、ラグエルですー!」 ヴィヴリオ「やはり、か……。終末の喇叭を吹き鳴らす者ラグエル、又の名をトランぺッター。少々来るのが早いようだが……」 ほのか「わたしも戦うー!わたし、その為に来たんだ!」 ヴィヴリオ「……良いのか、維馬篭?」 維馬篭「勿論です。ほのかは、『その為に』いるのですから」 ヴィヴリオ「……そうか。分かった」 会話を終えたらシーンを終了する。 クライマックス シーン1 シーンプレイヤーはPC3、全員登場 天使との戦闘 ほのか「よーし、行っくぞー!」 ほのかの乗った我龍が、青い騎士級天使兵へと、変異していく。 ヴィヴリオ「……それが、お前の考えなのか、維馬篭」 大天使ラグエル(終末の喇叭を吹き鳴らす者) ラグエル・ホイシュレッケ:シルト ← 500m → ホイシュレッケ:ヤークト×1、ホイシュレッケ:ヤーボ×5 ← 500m → ホイシュレッケ:シュトルム×1、ホイシュレッケ:ギフト×5・PC・ほのか HP:400 【肉体】30 【感覚】20 【理知】15 【聖霊】20 行動値:15 回避はしない 《終末の喇叭》 射撃攻撃 判定値20 技能レベル5 対象:単体 射程:視界 ダメージ+20 ダメージを受けたらアガペー+1D6 《範囲攻撃》 マイナーで宣言 《ケルンV》対天使効果なし、及び60点までのダメージ無効 《飛行》 《疾風怒濤》×2 《奇蹟》×3 《神罰》×2 《復活》×1 《星を落とす者》×3 マイナー直前に宣言、射程:視界、対象:場面 《時空を砕く者》×3 メジャー直前に宣言、射程:視界、成功数+20 ほのかはペイルライダーと融合し、天使の軍勢に立ち向かう。 ペイルライダーは毎セットアップ、対象:単体、射程:視界に、50点のダメージを与える。 これはオーギュメント等でも、対象の変更は出来ない。 また、このダメージは《結界》《ケルン》《シールド》を無効化する。 戦闘終了後 天使を倒し終えた後、ほのかの様子がおかしくなる。 ほのか「ふー、終わったー!」 ほのか「……あれ?どうしよう、お父さん!?融合が、解除出来ないよ!」 維馬篭「……ほのか。貴女は、騎士級天使兵の依り代として作られた存在。受け入れて下さい」 ほのか「はーい!お父さんが言うなら、間違いないよね!わたし、頑張るね!今度は、わたしが相手だよー!」 シーン2 シーンプレイヤーはPC1、全員登場 騎士級天使兵ペイルライダーとの戦闘(連戦である) エネミーデータは、エンドレスサマー掲載の騎士級天使兵のデータを参照。 オリジナル特技《バーサーカー》を追加。 1ラウンド目のセットアップに使用し、あらゆるダメージに+【肉体】(25)する。 他の天使は出現せず、また《アバドンの顎》《支配の冠》は使用しない。 戦闘終了後 ほのかが福音で救われた場合その1 ペイルライダーからほのかはサルベージされた。 だが、気絶したままだ。 そのほのかを、維馬篭は抱きかかえている。 維馬篭「で、何かな?私は君達に、ほのかを救ってくれてありがとう、とでも言えばいいのかな?」 維馬篭「ほのかを助けて欲しいなどと、私は一言も言っていませんが」 維馬篭「……まあ、良いでしょう。生きているなら、何かしら利用価値があるかも知れません」 維馬篭「では、私はこれで失礼します」 ほのかを抱きかかえたまま、維馬篭は去っていく。 ほのかが福音で救われた場合その2 ペイルライダーからほのかはサルベージされた。 だが、気絶したままだ。 そのほのかを、維馬篭は冷ややかな目で見ている。 維馬篭「ほう、生き残りましたか。流石は、ドライクロイツの方々」 維馬篭「まあ、ほのかは役目を果たしました。それはもう用済みです。あとは、お好きにどうぞ」 維馬篭「必要だったから、そうしていただけです。あくまでも、家族『ごっこ』ですから」 気絶している筈の、ほのかの閉じた目から、涙がこぼれた。 維馬篭「『それ』は、貴方がたに差し上げます。用済みの道具に利用価値があるかどうかは、分かりませんが」 ほのかが死亡した場合 ペイルライダーの中からサルベージされたほのか。 ほのか「あ、あれ……?体が、動かない……お父、さん……わたし……死んじゃう、の……?」 維馬篭は無言で、ほのかの身体を抱きかかえる。 ヴィヴリオ「……維馬篭、せめて一言くらい、言ったらどうだ」 維馬篭「ほのか。……貴女は、とても素晴らしい、道具でした」 ほのか「……わた、し……お父……さんの、役に、立てたん……だね……?」 維馬篭は頷いて「……ええ、勿論です」 ほのか「……やっ、たあ……」 そして、ほのかは息を引き取る。 維馬篭はほのかの亡骸を抱え「では、私は失礼します」 そう言い残して、去っていく。 エンディングフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC4 ヴィヴリオと会話、途中からアクシアも合流 ヴィヴリオ「騎士級天使兵は全て倒れた。残るは、合衆国にいる天使兵のみだ。とは言え、2億の国民が全て天使化し、1体1体が熾天使級である、となると、一筋縄ではいかんが……」 アクシア「いつ合衆国に向かう?アタシも同行する」 ヴィヴリオ「アクシア院」 アクシア「ノッてくれてありがとうございます、大佐。……さて、冗談はさておき。勝ち目なんて、考えるだけ無駄だと思うのよね。やるしかないんだから」 アクシア「進むも地獄退くも地獄なら、精神衛生上、攻めた方がよっぽどいいわ」 アクシア「今度こそ、アタシは死ぬかもしれない。でも、ここで黙って指を咥えてるなんて、それこそ死んでも嫌だわ。どうせ死ぬなら、一匹でも天使を巻き添えにして死んだ方が、よっぽどいい」 アクシア「PC4、あなたはどう?」 シーン2 シーンプレイヤーはPC3 トゥアレタ「ね、ねえ、PC3。デート、したい」 トゥアレタ「……怖くなっちゃったんだ。今日まで、今までは生き残れて来れた。でも、いなくなるのが、次はもしかしたら自分なんじゃないか、って」 トゥアレタ「だから……心残りが無いよう、行動しなきゃ、って」 (ミカエラが生きている場合) ミカエラ「……抜け駆け?抜け駆け?」 トゥアレタ「抜け駆けも何も、先にPC3と一緒にいたのはわたしなの!」 ミカエラ「……欲望に素直になるのは、良いこと。さあ、もっと解放して」 トゥアレタ「……ダメ!PC3はわたしの大事な人!あなたには渡さない!」 ミカエラ「……そう、それでいい。でも、誰を愛そうがどんなに汚れようがかまわぬ。最後に、このわたしの横におればよい」 トゥアレタ「あなたのその謎の自信、尊敬するわ……」 ミカエラ「(どやぁ)……PC3。お腹すいた。どこか、食べに連れてって」 トゥアレタ「わたしも、勿論行くからね。……この子、すごい強敵……」 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 維馬篭と会話 維馬篭「ほのかは私の期待に十二分に応えてくれた、素晴らしい道具でした」 維馬篭「貴方も、私の期待を裏切らないで下さいね」 維馬篭「私を薄情だと思いますか?薄情も何も、私は何も変わっていないのですよ。……昔も、今も」 維馬篭「道具の手入れの為に必要だったからそうした、ただそれだけです」 維馬篭「私はこの後用事がありますので、これで」 維馬篭がほのかと『家族ごっこ』をして、何か変わった、と思ったのは、思い違いだったのだろうか。 このまま行けば、いずれは自分も切り捨てられるだろう。 ……自分は、どうすべきなのか。 シーン4 シーンプレイヤーはPC1 セラピアと会話 ほのかが生存している場合 セラピア「ほのかちゃんと、もう少し仲良くなりたかったな。ちょっと、時間が足りなかったんだよ」 セラピア「出会い方さえ違ったら、もっと仲良くなれた筈なんだ」 セラピア「もしかしたら、ほのかちゃんと肩を並べて戦う可能性だって、あったんじゃないかな」 (リーチェが生存している場合) リーチェ「ホントお前ら、誰でも救おうとするよなー。まあ、俺も救われた身だけどさ」 リーチェ「維馬篭のオッサン、あの子救ってもらうの、想定外だった気がすんだよな。自分の為に奇跡を起こしてくれる、なんて思ってなかったんじゃないか、って」 セラピア「……確かに、そうかも。でもあれで案外、喜んでたりして?」 リーチェ「どうだかなあ。あのオッサンの胸中なんて、誰にも分かんねえよ」 ほのかが死亡している場合 セラピア「ほのかちゃんと、もう少し仲良くなりたかったな。ちょっと、時間が足りなかったんだよ」 セラピア「出会い方さえ違ったら、もっと仲良くなれた筈なんだ」 セラピア「もしかしたら、ほのかちゃんと肩を並べて戦う可能性だって、あったんじゃないかな」 セラピア「……まあ、今更、なんだけどね」 (リーチェが生存している場合) リーチェ「なー、PC1。関わった奴全員、助けられるとでも思ってんのか?そいつはちょっと傲慢なんじゃねぇの?」 リーチェ「神ならぬ人間に、そんなこと、出来る筈ねえんだ。そもそも、人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わねえ?目の前で一人死んだくらいで、くよくよしてんなよ」 セラピア「チエちゃん、そんな言い方……!」 リーチェ「救おうとする努力を、否定するつもりは無えよ。でも、届かない時だってあんだろ?そこを割り切れなかったら、いつかお前は自滅する」 リーチェ「俺は、お前が自滅するのを見たかねーんだ。弱音吐きたきゃ、いくらだって吐いていいんだよ。俺だってセラピアだって、お前を受け止める準備は、いつだって出来てんだから、さ」 うんうん、セラピアは頷き「チエちゃん、珍しく意見があったね〜」 リーチェ「あ?俺とお前は、性格は真逆だろうけどよ、PC1が好き、ってのは同じなんだ。だから、PC1が苦しんでるのをどうにかしてやりたい、ってのは、意見が一致したっておかしくねーだろ?」 セラピア「それは、確かに……」 リーチェ「忘れんな。使命感だけで戦うヤツは、いずれ力尽きちまう。お前は独りじゃない。一緒に戦う奴がお前に力を与え、そしてお前は、みんなに力を与えるんだ」 セラピア「あ、ボクの台詞、取られた……」 シーン5 マスターシーン ※このシーンの有無については、GMのお好みで。 ほのかが福音で救われた場合その1、その2は無し 医務室。 気絶していたほのかが、ようやく目を覚ます。 ほのか「あ…れ……わたし、生きてる……」 ベッドの横に座っていた維馬篭「ほのか」 ほのか「あ、お父さん……」 維馬篭は、ほのかを無言で抱きしめる。 ほのか「お父さん、痛いよ……」 維馬篭は少しだけ力を緩めたが、ほのかを離そうとはしない。 ほのか「ねえ……わたし、役目、果たしたよね……?」 維馬篭「……ええ。貴女は、立派に道具として、役目を果たしました」 ほのか「もう、わたし、用済み、だよね……?」 維馬篭「……ほのか。貴女は、私のお気に入りの道具です。だから、新しい役目を与えます」 ほのか「新しい、役目……?」 維馬篭「……ごっこではなく、私の本当の家族に、なって下さい。ですが……誰にも、言ってはいけませんよ」 ほのか「うん……お父さん!」 抱きしめ合う二人。誰にも言えない、秘密。 ほのかが死亡した場合 維馬篭の部屋。帰宅した維馬篭が、誰かを探している。 維馬篭「ほのか、何処に行きました?……ああ、そうでした。ほのかは、死んだのでしたね」 維馬篭「……おかしいですね。私が、こんな感情を持つとは」 維馬篭「……家族ごっこをしている内に、いつの間にか、情が移っていたようですね」 維馬篭「……認めましょう。……ほのか。私は確かに、貴女を娘として、家族として……愛して、いたようです」 維馬篭「……こんなに、苦しいのなら、悲しいのなら………愛など、いりません」 あとがき 一先ず、騎士級天使兵篇はこの4本目で終わりです。 元々セラさんと話して、最終回はまた別、ということでしたので。 ほのかのイメージソースとして、セラさんが以前一緒に遊んでていたキャンペーンで、実際にPCとして使っていたほのかに、デレマスの龍崎薫ちゃんが混ざっています。 また、ほのかは意図的にダーザインが『閉じて』います。 他人に多少の興味はあれど、維馬篭に父親を求めて『依存』しており、変わる、変える気もさらさら無い為です。 それと、このシナリオを書くにあたり、ほのかを死なせていいかの確認はセラさんに取っています。 曰く、『私的にはほのかの物語は完結しているので、あとは全てアナザーストーリーですから……w』とのことで。 書いたけど解釈違いを起こしたので没 維馬篭「……おかしいですね。私が、こんな感情を持つとは。どうやら、家族ごっこをしている内に、情が移ってしまったようです。……私は、ほのかを、失いたくない」 維馬篭「恥を忍んで、お願いがあります。ほのかを、助けてはいただけないでしょうか」 維馬篭は、明らかに今までとは、何かが違う。 維馬篭から、誰かの命を救いたい、と言い出すのは、俺の中で解釈違いもいい所なんですよね。 でも、維馬篭が少しだけ変わっていたことを認める、というのは採用しました。 生存した場合の描写はまあ、そういう維馬篭もアリだろう、って感じで。ここは解釈違いじゃない、っていうんだから、我ながら面倒くせえ性格してんなあ、とは思っています。 まあこのルートに入ると、最終回絡みの維馬篭の立ち回りが、大分異なったものになりそうですが。 そうなったら、シナリオ書きおろすしか無いわな…… 福音で救われた場合の維馬篭の反応は、その1が俺の、その2がセラさんの維馬篭の動きです。 Discordで話してて、それも確かだなと思って使わせてもらいました。 維馬篭性もとい、NPCの性格や挙動って、人それぞれじゃないですか。 前述の解釈違いってのもそうですが、『このキャラはそんなこと言わない』って結構よくある問題ですよね。 まあ俺はそんなこと気にせずにNPC動かしちゃうんですが。 ところで相変わらず後書きが長い。1シーンの描写以上にあるぞこれ。