今回予告 異常寒波により、銀世界の瑞穂基地。 八門結界も再構築され、束の間の休暇が与えられた。 初めての雪に戸惑う凍と、連邦を思い出し物憂げなセラピア。 だが平穏を斬り裂き、騎士級天使兵ホワイトライダーが襲来する。 エンゼルギア天使大戦TRPG 『凍えそうな季節に君は』 −White Breath− 黙示録が、いま始まる。 ハンドアウト PC1:ギアドライバー/ナビ:凍 しんしんと降り積もる雪を、眺める凍。 凍は雪を見るのは初めてだと言い、どうしたらいいのか分からないようだ。 こんな時間が、もっと続けばいいのに。 シナリオダーザイン【八坂凍からの戸惑い】 PC2:ギアドライバー/ナビ:セラピア 窓の外に積もる雪に、物憂げなセラピア。 降り積もる雪の多さに、連邦の頃を思い出してしまったそうだ。 思い出は、いい事ばかりではなく、悪い事もまた、思い出。 シナリオダーザイン【セラピアからの懐旧】 PC3:管制官 この異常気象は合衆国の仕業だろう、と言うヴィヴリオ。 合衆国の事だ、気象兵器じみた天使がいても何ら不思議では無い。 キミはヴィヴリオに、今回の異常気象への対策を命じられる。 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 PC4:機械化兵 手が足りず、除雪作業に駆り出されたキミと部下達。 だが寒い、寒過ぎる。熱燗や鍋が恋しい。 これも天使の、合衆国の仕業に違いない。 シナリオダーザイン【部下からの尊敬】 ※本シナリオにおいて、PC2は《距離外射撃》の取得を必須とする。 オープニング シーン1 シーンプレイヤーはPC1 8月25日。季節外れにも程がある大雪に、関東地方は覆われていた。 しんしんと降り積もる雪を、眺める凍。 凍「……これが、雪。……初めて、見た」 凍「……白い。……冷たい。……手の上に乗ったら、すぐ、溶けた」 凍 体をぶるりと震わせて「……寒い。……寒い、けど」 凍「……こうしてれば、寒くない」 肩を寄せ合い、キミの手を握る凍。 凍「……こんな時間が、もっと、ずっと、続けばいいのに」 そこにヴィヴリオからの呼び出しが入る。 凍「……呼ばれた。……行かなきゃ」 名残惜しそうに、手を離す凍。 凍の顔が赤いのは、寒さのせいだけ、ではないようだ。 シナリオダーザイン【八坂凍からの戸惑い】 シーン2 シーンプレイヤーはPC2 窓の外に積もる雪を見て、セラピアが物憂げにしている。 セラピア「んー……これだけ雪が降ったの見たの、連邦にいた頃以来、なんだよ」 セラピア「ちょっと色々と思い出しちゃって……アンニュイな気分」 セラピア「連邦にいた頃は、さ。ママちゃんも一緒にいたけど、ずっと戦火の中だったから、イイ事も、悪い事も沢山あって」 そこにヴィヴリオからの呼び出しが入る。 セラピア「……この話は、また後で」 シナリオダーザイン【セラピアからの懐旧】 シーン3 シーンプレイヤーはPC3 司令室。いつの間にか用意されたコタツに、ヴィヴリオが入っている。勿論コタツの上にはみかんとお茶。 ヴィヴリオ「この時期の異常寒波……また合衆国の仕業に違いないだろう」 ヴィヴリオ「いつまでこの寒さが続くか分からん。部隊の寒冷地仕様への換装を急がせてくれ」 ヴィヴリオ「とりあえず、ボクは半纏を出してくる。寒くて耐えられん」 ヴィヴリオ「だが……手がかりは僅かな天使反応だけとは言え……今後の対策を考えねばなるまいな」 ヴィヴリオ「一度全員とミーティングを行う。すまんがPC3、呼び出しを頼む。ボクは半纏を取ってくるついでに、みかんを買い足してくる」 シナリオダーザイン【ヴィヴリオからの信頼】 シーン4 シーンプレイヤーはPC4 除雪作業の手が足りず、キミと部下達もそれに駆り出されている。 部下1「隊長、雪って強敵っすね」 部下2「下手な天使と戦闘や、ギアドラ達の子守よりよほどハードですね。あー、腰が痛い……」 部下1「あー、早く交代時間来ねえかなあ。こんな寒い日は鍋に熱燗でキューっとやりたいっすねー」 部下2「隊長も一緒にどうですか?」 そこにヴィヴリオからの呼び出しが入る。 部下1「大佐の話終わったら連絡欲しいっす。鍋とかの準備して待ってるんで」 シナリオダーザイン【部下からの尊敬】 ミドルフェイズ シーン1 シーンプレイヤーはPC3、全員登場 司令室で今回の異常気象について話し合う。 みんなコタツに入っているので、締まらないったらありゃしないが。 ヴィヴリオ「本来時期外れだから、みかんが高かった。だが折角箱で買ってきたんだ、みかんを食え。コタツにはみかんだ。そうだろう?」 ヴィヴリオ「本題に入る。微弱な天使反応が確認された」 ヴィヴリオ「だが、この吹雪のせいで、場所がすぐ特定出来ん」 ヴィヴリオ「今僅かな手がかりから、何の天使かを解析させている。大分時間が掛かりそうだが……」 ヴィヴリオ「天使の能力が分かり次第、再召集する。それまでは各自待機。風邪など引かぬよう、各自体調管理には注意すること。私からは以上だ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン2 シーンプレイヤーはPC2、PC1も自動登場、他PCは任意 セラピア「PC2ちゃん。さっきの話だけど、さ」 セラピア「連邦にいた頃は、ママちゃんがいつも一緒にいてくれた。でも、ずっと戦いの中だった。だから、今と比べてどっちがいいか、ってのは分かんない」 セラピア「それに比べたら、八門結界が復活して、今、だけかも知れないけど、穏やかな日が続いてるのは、嬉しくもあるけど、恐くもあるんだよ」 セラピア「この平穏は、ずっとは続かない。いつか終わりが来る。それは今日かも知れないし、明日なのかも分からない」 セラピア「でも……今くらい、さ。平和な日々を噛み締めても、バチは当たんない、と思うんだよ〜。」 凍 頷きながら「……私、も。PC1と、戦闘じゃない時に、一緒にいられる時間が、増えるのは……嬉しい」 柔らかな笑みを浮かべる凍。 セラピア「あ、凍ちゃん、笑った」 凍 驚きながら「……笑った?私、が?」 セラピア「うん、凍ちゃんが笑うとこ、初めて見た。微笑むとこ見た事は何度かあったけど、はっきり笑顔、ってのは初めて。PC1ちゃんはそんな事無いんだろうけど」 凍「……私、笑え、るんだ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン3 シーンプレイヤーはPC1、他PCは出歯亀可 何か意を決したように、凍がキミを呼び止める。 凍「……PC1」 凍「……私は、変わった?」 凍「……変わった私は、好き?前の方が、好き?……どっち?」 凍「……良かった。……嫌われたく、ないから」 自分でそう言っておきながら、凍は不思議そうに 凍「……どうして、PC1に、嫌われたく、ないんだろう」 凍「……分からない。……この胸の中から、湧き上がってくる、これは、何?」 いつの間にか、涙をぽろぽろと零す凍。 凍「……あなたが、いなくなったら、って思ったら、急に、涙が、出てきた」 凍「……あなたが、いなくなったら。……それだけは、やだ……」 PC1にすがりつく。 PC1が何か回答したら、そこにヴィヴリオから緊急連絡が入る。 ヴィヴリオ『天使の能力が判明した。至急、司令室に集合せよ』 凍 涙を拭って「……行こう、PC1。大佐が、呼んでる」 会話を終えたらシーンを終了する。 PC1には、この続きはミドルフェイズ最後のシーンでやる、と伝えてしまって良い。 シーン4 シーンプレイヤーはPC4、全員登場 司令室に呼び出される。 ぷしな「天使の能力がやっと判明しましたー!天使シャルギエル、雪の天使ですー!」 ぷしな「身体の大半が水蒸気で出来ているから、下手な攻撃では無効化されてしまうみたいですー!」 ヴィヴリオ「そうか……ならば、コアを探し出し、一点突破。これしか手段はあるまい」 ヴィヴリオ「これより、シャルギエル殲滅作戦を開始……」 ドォン!と激しい揺れが基地を襲う。 ぷしな「そんな、さっきまで何の反応も無かったのに……天使兵が、突然現れましたー!」 ぷしな「このエーテル濃度……今まで出現し記録に残っているどの天使よりも、高いですー!」 ディスプレイに映っていたのは、純白の、禍々しくも美しい、天使兵だった。 ヴィヴリオ「まさか、騎士級天使兵かっ!このタイミングでか!?結界は無事か!?」」 ぷしな「はい、結界には、何ら損傷はありませんー!じゃあ、まさか、すり抜けて来た?」 ヴィヴリオ「恐らくはな。結界は強過ぎる相手には効かん、という事か……」 ヴィヴリオ「これよりあの白い天使兵を、騎士級天使兵『ホワイトライダー』と呼称する!」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン5 シーンプレイヤーはPC2、全員登場 全員、各自の機体で出撃の準備をしながら、ヴィヴリオと通信 ヴィヴリオ「状況を確認する」 ヴィヴリオ「シャルギエルは八門結界の外部から、関東地方をまるごと雪雲で包み、雪と寒さでレーダーを妨害」 ヴィヴリオ「寒さで基地の機能を麻痺させた所に、結界を突破出来る能力を持った、騎士級天使兵ホワイトライダーを更に送り込んできた。これが現在の状況だ」 ヴィヴリオ「ケルンを張った所で、シュネルギアも所詮は機械。いつもより能力が低下しているから、各自注意して運用せよ。」 ヴィヴリオ「ここまでで何か質問は?」 セラピア「大佐、部隊編成は?ボクとPC2ちゃんはシャルギエルの殲滅に向かって、PC1ちゃん達はホワイトライダーに?」 ヴィヴリオ「最初はそう考えた。だが、お前達を欠いた状態でホワイトライダーに挑むのは、危険過ぎる。ホワイトライダーと交戦しながら、シャルギエルも殲滅してもらうしか方法は無い」 セラピア「これはまた、ハードなミッションだねえ。でもボクらにしか出来ない、か」 ヴィヴリオ「そうだ。PC2、セラピア。お前達二人にしか、このミッションは遂行出来ない」 セラピア「そこまで言われちゃ、ボクは女が、PC2ちゃんは男がすたるってもんだよね。PC2ちゃん、頑張ろっ!」 ヴィヴリオ「シャルギエルとホワイトライダー、いずれを優先的に撃破するかは諸君らに任せる。だが、どちらにせよこの戦いは非常に厳しいものになるだろう」 ヴィヴリオ「お前達に望むのは二つ。勝て、そして生き残れ。そう、いつも通りだ」 セラピア「それじゃ、今日もいっちょ生き残りましょうかねぇ」 会話を終えたらシーンを終了する。 シーン6/出撃 シーンプレイヤーはPC1、他PC任意 出撃直前の凍との会話 凍「……PC1」 凍「……恐く、ない?」 凍「(シートから身を乗り出して、PC1の手を握り)……戦うのが、恐く、なった。……今まで、こんなこと……思ったこと、ない」 凍の握った手が、身体が震えている。 かつては、感情が希薄だった凍が、感情を、心を知ったのは、間違いなく、PC1の影響だ。 PC1が、あるいは他のPCが凍を勇気付けてくれる筈だ。一番効果があるのはPC1の言葉だけどね! 凍「……もう、大丈夫」 凍「……PC1がいるから、私は、飛べる。……PC1なしじゃ、もう、飛べない。……PC1じゃ、なきゃ、いや」 凍「……行こう、PC1」 会話を終えたら、以下の描写を読み上げシーンを終了する。 出撃の準備は、全て整った。 だが、雪は勢いを増し、飛び立てる状況では無い。 熟練整備兵「まさか、試験中のエンジンがこんな形で役に立つとはな」 アフターバーナーの火力と推進力で滑走路の雪は払われた。 (離陸OKのハンドサインをシュネルギアに送りつつ) 熟練整備兵「後は頼んだぞ、お前ら!」 彼らに見送られ、基地を飛び立つキミ達。 シャルギエルとホワイトライダー、双方強敵だが……ここで屈する訳には行かない! クライマックス シーン1:戦闘 初期配置 ホワイトライダー ← 2km→ PC(任意) ←100km→ シャルギエル シャルギエルは毎ラウンドのセットアップで《荒れ狂う猛吹雪》を宣言する。それ以外にシャルギエルは行動しない 座天使シャルギエル HP130 攻撃手段なし。回避もしない 《荒れ狂う猛吹雪》 タイミング:セットアップ 射程:シーン 範囲:シーン(選択) 効果:このラウンドの間、対象のあらゆる判定値−5、シャルギエルが撃破された時点でこの効果は無効になる 《氷雪結界》:対天使効果無し、及び99点までのダメージを無効化する 騎士級天使兵ホワイトライダー HP280 軽傷25 重傷13 致命6 死亡1 肉体25 感覚30 理知24 聖霊26 階級0 移動力2km/20km ※PCが3人の時は【HP】210に変更する 《断罪の槍》(白兵攻撃)  判定値30 レベル5 射程:至近   ダメージ(種別)+27 この攻撃で1点でもダメージを与えた場合、更に失速と毒を与える 白兵攻撃に対してこのデータによる突き返しを行える 《審判の弓》(射撃攻撃)  判定値28 レベル5 射程:18km ダメージ(種別)+25 この攻撃で1点でもダメージを与えた場合、更に放心を与える 《蹂躙の歩み》(白兵攻撃) 判定値26 レベル5 射程:至近   ダメージ(種別)+24 全力移動を行い、その後このデータによる白兵攻撃を行う、1ラウンド1回使用できる 《無貌の仮面》(射撃攻撃) 判定値24 レベル5 射程:10km ダメージ(種別)+19 突き返し専用、白兵攻撃、射撃攻撃に対しこのデータによる突き返しを行う この攻撃で1点でもダメージを与えた場合、対象のアガペーを+1D6する 《浄化の極光》(射撃攻撃) 判定値28 レベル5 射程:18km ダメージ(種別)+25 この攻撃で1点でもダメージを与えた場合、更に重圧、失速、放心、マヒ(これのみシュネルギアには無効)、毒を与える 自身の【HP】が100点以下の時のみ使用でき、1シナリオ1回使用できる 回避 判定値20 レベル4 《絶対結界》対天使効果なし、及び70点以下のダメージ無効 《聖光乱射》常に範囲(選択)の対象に対して攻撃出来る 《二回行動》PC全員の行動が終了した後、もう一度行動出来る 《飛行》 ホワイトライダー、そしてシャルギエルを撃破したキミ達。 空は先程までの猛吹雪も収まり、雲の切れ間からは、晴れ間が覗き始めていた。 そう、キミ達は、勝ったのだ。 エンディング シーン1 シーンプレイヤーはPC4 部下と鍋パーティ 部下1「いやー、雪は止んだけど、気温全然上がらないっすね。8月末なのにコタツから出られないっす」 部下2「真夏に鍋、と考えると変な気分ですが……こう寒いと、美味いですね」 部下2「隊長、今回もお疲れ様です」 部下1「……この戦いも、いつまで続くんすかねー。この先、生き残れるんかな、俺」 部下2「きのこる先生……」 部下1「は?きのこる先生?何言ってんだ、もう酔ってんのか部下2?」 部下2「……ナンデモナイ」 共に戦う仲間がいる。頼れる上官がいる。慕ってくれる部下がいる。 この先、皆で生き残れたら。そう願って止まない。 部下2「きのこる先生……」 シーン2 シーンプレイヤーはPC3 ヴィヴリオと会話 ヴィヴリオ「……みかんが余ったな。少し、買い過ぎたか」 ヴィヴリオ「しかし……天使を倒したにも関わらず、まだ冷えるな」 ヴィヴリオ「気温が戻ったら、冬の為に半纏はクリーニングに出して、コタツも仕舞わんとな。……無事、冬を迎えられるなら、の話だが」 ヴィヴリオ「騎士級天使兵は4体。その内のホワイトライダーを打ち倒した。残りは、3体。レッドライダー、ブラックライダー、そしてペイルライダー」 ヴィヴリオ「どれも一筋縄では行かん相手だろう。だが……避けては通れぬ相手だ」 ヴィヴリオ「どんなに敵が強かろうと、ボクらが生き残る為には、戦って勝つしかない。……どれだけの犠牲を出そうとも」 ヴィヴリオ「まず、当面の目標は。……みかんを食べて減らすぞ」 シーン3 シーンプレイヤーはPC2 セラピアの部屋で会話 セラピア「いやー、雪は止んだのに、まだまだ寒いねぇ」 セラピア「ねえねえPC2ちゃん、見て見て」 冷凍庫を開けると、小さなゆきだるまが二つ。 セラピア「こっちはボクで、こっちがPC2ちゃん」 言われてみると確かに、セラピアだと言われた方には、黄色い荷造り紐でツインテールがつけてある。芸が細かいなあ。 セラピア「外に出したらすぐ溶けちゃうだろうから、このまま冷凍庫の中に仕舞っとくんだよ。まあ、おまじないも兼ねてる」 セラピア「この戦いが終わるまで、ボクらが一緒にいられるように、って」 セラピア「戦いの後のことは、戦いが終わってから考えようよ。お楽しみは、後に取っておくもんなんだよ。ボクは、ショートケーキの苺、最後に食べる派だから」 シーン4 シーンプレイヤーはPC1 凍と会話 凍「……今回も、勝てて、良かった」 凍「……大佐の話だと……今日戦ったのと、同型の天使兵が3体、いるって」 凍「……でも」 凍「……PC1と、一緒なら……きっと、勝てる、よね?」 凍はキミの身体を、ぎゅぅっと抱きしめる。 凍の、少し速い鼓動が、聞こえる。 凍「……PC1の、鼓動が、どくんどくん、って、聞こえる。……私と、一緒」 キャンペーンの場合は、以下の描写を追加する。 ―――凍の部屋。 凍が咳き込む。 凍「……時間が、ない。……もしも、いるなら……お願い、神様。あと、少しだけで、いいから」 凍の口元には血がにじみ……手についた血は、羽毛に変わっていた。